塚本 純平

日本人は時間を奪う天才②

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こんにちは。 秋葉原の塚本です。

今回は前回の続きです。 前回までは、どのようにして時間を奪っているのか、をお話ししました。 今回では、どのような意識を持った方がいいのかをお話しします。

メールを送る側の気持ちを考えてみます。 よくあるのは送る側で「とりあえず送っておかないといけないんじゃないかな、失礼になるんじゃないかな」と思うんですよね。 とりあえず、返事まではくれなくてもいいけれども、CCぐらいには入れておいたほうがいいかな……とか、そう考えるんです。

この「失礼」という言葉に対して、特に日本人は非常に敏感です。 もちろん礼儀正しい国民性だと、プラスに考えられるところもあるんですけれども。 ただやはり「とりあえず送る」とか「とりあえず巻き込む」ということをやると何が起きるかというと、時間がなくなるんです。

日本人は「礼儀正しく時間を奪う名人」です。 礼儀は正しい。だけどその礼儀を重んじるあまり、時間というものを使ってしまう。 これがすごく重要なポイントになります。

ですので、「送る」ことによって礼儀を果たそうと思う前に、「相手の時間を奪うことにならないか」と考えてください。 こっちのほうがよっぽど大切です。

つまり、「相手が本当にアクションをしなきゃいけないか」。 「相手が知っておいたほうがいい」というレベルだったら、送らないほうがいいと思います。 相手が受け取ったあとでアクションを取るかどうかで考えてください。 「アクションを取るかもしれない」という場合もありますね。 その場合には、その確率が高いかどうかを考えてください。

まず「この人は何もすることがないけども、とりあえず知らせておこう」というくらいだったら、送らないほうがいいと思います。
時間は「貸し借りするもの」だと思います。 「時間をお借りします」と言ってください。マインドセットが変わります。 「借りているものを返さなきゃいけないよな」「借り逃げってわけにいかないよな」となると、選ぶ言葉や取るアクションはどんどん変わっていきます。 時間は貸し借りするものです。

「いやぁ、借りるのはちょっと気が引けるなあ」と思っても、1人で全部やろうとすると破綻しますからね。 なんでもかんでも1人で全部できるスーパーマンみたいな人だったらいいですけれども、会社であったりそういったところで仕事をしていると、1人で全部やるのはちょっと無理ゲーです。 リソースが足りません。

せっかく組織に属しているんだったら、あるいは何かのコミュニティに属してるんだったら、そういう人たちと協業するのも大事な仕事です。 ビジネスパーソンというのは、矛盾してるように見えるかもしれないですけれども、必要に応じて人を巻き込む、そして大きなことを為すというのが仕事のあり方です。

だけど「とりあえず」で、アクションを取らなくてもいい人たちの時間を奪っちゃダメ。 ここの塩梅が大事です。そのポイントが「アクション」というキーワードになるわけです。

そして、人を頼るのも仕事のうちだと覚えておいてください。 巻き込むのは大いにけっこう。 でも巻き込んだんだったら、頼ってください。 要するにその人たちにアクションを取ってもらうようなやり取りをしてほしい。 呼ぶだけ呼んどいて放置が一番失礼ですからね。

「なんで呼んだの?」「いや、呼ばなきゃ失礼だと思って」。 だけど、することがないんだったら、呼ぶほうがよっぽど失礼ですからね。 ですので、次にその人たちにアクションがいくかどうか、何かすることがあるかどうかで、全部ふるいにかけると考えてみてください。