清水 侑

全体最適の罠

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最近、海外ビザにしても、金融にしても、
この分野を専門に行っている行政書士があまり多くないのか、
問い合わせを非常に多く頂きます。


ありがたいことです。

さて、今日は「全体最適」についてです。


「全体最適」とは、「全体にとって最も良い判断や行動」のことで、
ビジネスの世界でその重要性が叫ばれて久しいと思います。


当社でも、「全体最適」は判断や行動の要なのですが、
最近、この「全体最適」について学びがありました。


この全体最適、実は落とし穴があるのではないか、
ということです。

それは、「人に何かを提案する時」です。

例えば、AさんがBさんにこのような提案をしたとします。

Aさんが「2時間」かけて行っていた「仕事X」を、

Aさんが行うと→2時間かかる
Bさんが行う→1時間かかる

そこで、「仕事X」をBさんが行ったほうが、
「全体にとってよい」という提案です。


一件、全体最適な判断のように見えますが、
ここで落とし穴があります。

Bさんは、人間心理として、

「それはAさんが2時間分の時間を作れるけど・・・
こちらは1時間仕事が増える。全体最適のように見えて、
Aさんにメリットがある提案なのではないだろうか」

という疑念が生まれるからです。


そのため、Aさん自身が「Aさんにメリットのあるが、
相手にとってデメリットのある全体最適の提案」をしようとすると、
かすかにではありますが、
精神的な軋轢が生まれ、素晴らしい提案であっても、
スムーズに実行されないということがあるのです。

では、どうすればよいか、という点ですが、

一つは、やはり、

「ウィンウィンの提案にする」ことが大切だと思います。

例えば、上記の例では、


「仕事X」を変化させて、Bさんが成長させたい分野の
「仕事Y」に絡むように、「仕事X」の目的は達成しつつ、
Bさんの「仕事Y」にメリットがあるようにする、という風にです。
(抽象的でわかりづらくてすみません・・・)

自分のメリットが絡む提案をする際は、
相手にとってもメリットのある提案をすると、


相手は、妙な疑念を生じることなしに、
その提案を受け止めることが出来ます。


全体最適は素晴らしい視点ですが、
妙な疑念を生じさせないためにも、
相手にとって利益のある提案の仕方をしたほうが、
スムーズに ことが運ぶのではないか。

今後、全体最適の提案をする際は、
相手のメリットも考えて提案をしていこうと思います。