キャリアパス要件
処遇改善加算を算定するにあたり、必ず満たさないといけない要件の一つとして、「キャリアパス要件」が存在します。
本ページでは、処遇改善加算におけるキャリアパス要件について、詳細に解説していきますので、是非最後まで読んでご依頼の参考にしていただければと思います。
1. キャリアパスとは
処遇改善加算を構成する算定要件は、大まかに3つに分類することが可能です。
取得しようとする加算区分(Ⅰ~Ⅲ)にもよりますが、いずれにせよ下記の3つの要件は必ず確認する必要があります。
①共通要件
②キャリアパス要件
③職場環境等要件
本ページでは、処遇改善加算において一番肝となってくる「キャリアパス要件」について説明します。
2. キャリアパス要件と加算区分
キャリアパス要件を構成するものとして、下記の3種類が存在します。
- キャリアパス要件Ⅰ
- キャリアパス要件Ⅱ
- キャリアパス要件Ⅲ
Ⅰ~Ⅲで、内容はそれぞれ異なりますが、「キャリアパス」という名称の通り、どの種類も「事業所における各職位・職務に就任するために必要な業務経験とその順序、配置移動のルート」を示すためのものとなっています。
処遇改善加算では、福祉・介護職員の賃金改善はもちろんですが、職員の今後のキャリア形成を透明化させるという意味合いもありますので、このキャリアパス要件は非常に重要視されています。
そしてキャリアパス要件と処遇改善加算区分の相互性ですが、共通要件のように全ての条件を満たす必要は無く、取得したい区分に応じて満たさなければならない条件が変わってきます。
①処遇改善加算Ⅰを取得したい場合
→キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲをすべて満たさなければならない
②処遇改善加算Ⅱを取得したい場合
→キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱを満たさなければならない
③処遇改善加算Ⅲを取得したい場合
→キャリアパス要件ⅠまたはⅡを満たさなければならない
3. キャリアパス要件Ⅰ
キャリアパス要件Ⅰとは、
「職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること」
として定められています。
つまり、各事業所においての職位(サービス管理責任者、職業指導員等)が、どのような職務内容を行い、その職務に求められる能力を明確に示す必要があります。そして、その職位ごとに賃金体系も定める必要があります。
また、事業所で定めた上記の職位、職務内容、賃金体制は、全職員に対して周知・徹底する必要があり、書面(就業規則、賃金規定等)で明確にしなければならないので注意しましょう。
4. キャリアパス要件Ⅱ
キャリアパス要件Ⅱとは、
「資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること」
として定められています。
名称通りですが、福祉・介護職員の資質や能力向上を事業所側で画策し、実際に実行する必要があるということです。
キャリア形成の手助け的な役割でもあり、事業所の職員が、介護福祉士や社会福祉士になるための研修・国家試験料の補助等を行うということも、キャリアパス要件Ⅱを満たす要因の一つとして認められます。
5. キャリアパス要件Ⅲ
キャリアパス要件Ⅲとは、
「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること」
として定められています。 一見、キャリアパス要件Ⅰと同様のように見られますが、内容はもちろん異なります。
キャリアパス要件Ⅰでは、福祉・介護職員の職位、職務内容、賃金体系を示すためのものですが、
キャリアパス要件Ⅲでは、各職位になるために必要な基準を、どうすれば越えられるのかという「具体的な昇給要件」を示すためのものとされています
つまり、予め定めた職位(サービス管理責任者、主任等)になるには、どのようなことをすればなれるのかを明確に示す必要があるということです。
それでは、事業所側は、どのような昇給要件を設定しなければならないのでしょうか。
具体的には大きく下記の3つに分類されています。
①経験での昇給
→勤続年数などで判断する。7年以上勤めれば主任になる等。
②資格での昇給
→事業所で定める資格を取得する。介護福祉士、社会福祉士等を取得すれば昇給する等。
③評価による昇給
→実技試験や人事評価などの結果に基づいた昇給。A評価以上で昇給等。
この①~③の一部ないし全部を満たすことで、キャリアパス要件Ⅲを満たすことができると判断されます。
6. まとめ
キャリアパス要件とは、処遇改善加算を算定する上で必要となる3つの要件のうちの1つであり、そのキャリアパス要件を構成している3つの内容が、
①キャリアパス要件Ⅰ
②キャリアパス要件Ⅱ
③キャリアパス要件Ⅲ
となっています。
取得したい加算区分(Ⅰ~Ⅲ)によって、必要なキャリアパス要件Ⅰ~Ⅲは異なるので、本事業所の方針や実情に合わせて、適切なキャリアパス要件を満たすようにしましょう。