鈴木 徹司

雇用の流動化

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おはようございます。
鈴木です。

終身雇用が崩壊して、雇用の流動化がどんどん進んでいます。

自分に合う会社を、そのときそのときで、試行錯誤しながら探し回る姿が特徴的です。

会社も短期的な利益を追求するようになり、その場限りの雇用をするようになっています。

賛否両論ありながらも、この傾向は止められそうにありません。

労働者と会社が対等になっていくなかでの避けられない現象なのかもしれません。

そういえば、男女の関係でもそうですね。

男女の力関係が対等に近づくにつれ、離婚も増えてきました。

我慢してでも付いていこうという女性側の感覚も、

一生守らなければならないという男性側の感覚も薄くなっています。

終身雇用や離婚しない夫婦関係というのは、保護と依存の上下関係だったとも言えます。

今後も労働者は、自分の力が最大限に発揮できる環境を求め続けるでしょう。

それは、より良い会社を社会に残していくという点で大きな意味を持ちます。

無茶なことを強いる会社には、社員がいなくなってしまいます。

一方、労働者側にも、試練があります。

しっかり能力を高めておかないと、どの会社からも必要とされないということになりかねません。

社員がいなくなった会社が、労働者が悪い、と言っても

自分を必要としてくれる会社がない労働者が、会社や社会が悪い、と言っても

何の解決にもなりません。

対等な関係は、ときに残酷に映りますが、

現実として受け入れるしかありません。

雇用の流動化は、会社を選ぶ自由と、労働者を選ぶ自由を、双方にもたらします。

その自由は、結果としてよい社会を育んでくれることでしょう。

雇用流動化に賛成の私は、不満があるので会社を辞めようか、という相談を受けると、

辞めることを勧めています。

その人なりに出した、すでに結論に近いものなので、それを尊重します。

また、そんな気持ちで続けることは、その会社や同僚にも迷惑な話です。

ただ、留意しているのは、次にその人を必要としている会社があるのかという点。

次の会社が、その人をより高く評価してくれるというのであれば、何ら問題がないのですが、

現職の会社こそが、その人を一番高く評価してくれているということが時々あります。

自分としては不満な会社が、最も自分を高く評価している。

その会社以上に自分を高く評価してくれる会社がない。

そんな痛々しいことにならないように、自己評価を客観的に見ることも大切です。