清水 侑

投票する技術

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先日、衆議院議員総選挙が行われました。
自公の圧勝と立憲の躍進、そして希望の失速という結果も、
記憶に新しいことと思います。


通常、このブログでは仕事に関連のあることを書くのですが、
せっかくなので選挙について書きたいと思います。
とはいっても、今回の選挙や政治についてはメディアですでに
論じられているためそちらに譲るとして、ここでは、
私たちに身近な「より良い投票をする技術について」述べていきたいと思います。


ここでいう「より良い投票」とは、
「自分の意思で決め、納得感のある投票」と定義します。


今回の総選挙、明らかに「勝てるタイミングで解散権を行使した」選挙であり、
有権者がないがしろにされているというのは、間違っていないように思います。

では、投票をする側がないがしろにされないためには、どうしたらよいか。
方法はいろいろとあるでしょうが、個人の行動として最も有益なのは、
「よりより投票をする技術を得ること」だと考えています。
目先のばら撒き政策やメディア報道に踊らされず、
印象だけでなんとなく決めることもせず、
正解ではなくとも(正解なんてそもそも存在しない)、
自分の意思をもって、「ちゃんと考えて決めて投票した」と
満足感を得ることができる投票をする技術。

この技術をつかんでいけば、有権者をないがしろにできなくなっていく。
少なくとも、「選挙・・?よくわからない。投票したけど、
なんでその人に入れたの?って聞かれても・・・・」
というモヤモヤは生まれず、個人として納得できるようになると思います。

民主主義とはプロセスに皆が納得することが本丸なので、
個人の投票への納得感が民主主義にとっても重要です。

それでは、投票をする技術について、3つ書きたいと思います。

1.これまでの選挙の投票の経験や失敗から学ぶ


仕事や学業では過去の失敗や経験を生かしてどんどん上手くなっているのに、 なぜか選挙の投票になると、過去の失敗や経験を生かせないという事態が
生まれてしまいます。


しかし私たち投票する人間は、たいていの人は仕事をしており、また引退された方も、
多くの仕事の経験を持っているはずです。選挙権が認められた18歳以上だけど
仕事をしたことがない方は、仕事の経験がなくても学業の経験をもっています。
ですから、過去の失敗や経験から学ぶことはいつもやっていることなのです。
投票をしたあと、「政治に詳しいあの人に話を聞けばよかったな」とか、
「不倫報道でバッシングされた政治家に反発してつい反対候補に入れたけど、
そもそも不倫と政治活動は関係あるっけ?」とか。
そういった経験から学んで、次の選挙ではもっと良い投票ができる。


ちなみに、通常の仕事や学業と選挙の投票が大きく異なるのは、時間軸です。
選挙は、一回終わったあと次の選挙がくるまでの間隔がとても長く、
2,3年間も空くことは頻繁にあります。
そのため、過去の経験を生かしづらくなっています。
そのため必要なのは、投票前に過去の投票や選挙を振り返ること。
自分の投票のやり方もそうですし、投票した政党・政治家、
世の中がその後どのように動いたか。
いま、目の前の投票前に、過去を評価すること。
そうすれば、よりより投票ができるのかと思っています。


2.争点は自分で考える


「選挙の争点がわかりづらい」。今回の選挙でよく聞きました。
しかし、争点ってそもそも誰かに決めてもらうものか、疑問があります。
投票する人が、自分たちの政治的リーダーを決めるのだから、
自分たちで決めるほうがよいのではないでしょうか。
争点を決めてもらうと、決める側の意図が必ず入ってきますから、
どうしても決める側の都合の良いようになってしまいます。
今回でいえば、「消費増税の使い道」が本当に大事な点なのか、って話です。
もちろん、考えるのはエネルギーを使いますから、
誰かに決めてもらうほうが楽なのは確かです。
しかし、一般的な企業の会議でもそうですが、
「今日は〇〇〇という点を決めますが、ここで大事なのは△△△と□□□です」
と争点を決める人が、会議を有利に進めることができます。自分に都合のよい△△△と□□□を話せて、●●●とう点を目立たなくさせたりできますから。
だから、身近な点ですとか、簡単でも結構ですから、争点は自分たちで決めること。
それが、投票する技術を上げることにつながると思っています。


3. 公約ではなく、やりたいことを見抜く


テレビ・新聞・ネットのニュースでは、各党の公約を盛んに報道しています。
まるで公約が政党を選ぶ最も大切な基準であるかのように見えます。
しかし、本当にそうだろうかと私は疑問に思っています。
公約は、各党が有権者に「投票してもらうために注目してほしいポイント」であり、
「本当にやりたいことや優先度の高い政策」とは違っています。
政党の立場に立ってみれば、国民からの反発が大きいけれど実現したい政策を
声高に叫ぶわけがありません。
聞こえの良い政策だけをアピールして支持を得たいのは当然です。
そのため、公約では目立っていなかった政策をすごい早さで実現させたり、
「状況が変わった」として公約の中身を変えたりするのはよく行われます。
実際、自民党が前回の総選挙の公約の中では目立たせなかった
「特定秘密保護法」や「安保法制」を無理やり成立させたのは記憶に新しいところです。
そのため、投票する側としては、「公約ではなく政党が本当にやりたいこと」を
見抜くこと。
そして自分の投票の判断に活かすこと。こういったことが大切だと思っています。
ちなみに、どうやって見抜くかは、普段のその政党の動きをみるしかないのですが、
与党は見やすいです。権力を握って実際に動かしていますから。
それがやりたいことです。


以上3つのポイントが、投票する技術の上げるポイントです。
投票の技術を上げ、より納得のいく投票・選挙にできるよう、
是非参考にしていただければ幸いです。