鈴木 徹司

「好きなことをしなさい」はミスリード?

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親が子に諭す言葉のひとつ。

「好きなことをしなさい」

 
以前からこの言葉は、ミスリードではないかと考えてきました。

私は今、行政書士の業務をメインにしていますが、

初めから「好きな仕事」ではありませんでした。

保険のお客さんに頼まれたから、資格を取って、業務しただけでした。

いろいろ経験していくうちに、面白さが分かってきて、すっかり好きになりました。

 
20代の頃に始めた「社交ダンス」は、まったく興味がない分野で、

妻の希望を聞いて、一緒に初心者講習会に通い始めました。

半年後の競技会で入賞できなかったら、向いていないから止めると宣言して、

何とか初めの半年を乗り切りました。

そのときは、まさか20年も続く趣味になるとは思ってもいませんでした。

今では、ダンスは生活の一部となっています。

 
いずれも、今の自分を形作っている大きな要素は、

好きで始めたことではありません。

たまたま縁があって、続けて行くうちに好きになっていったものです。

 
周りの人を見ても、

初めから好きなことをそのままずっと続けている人よりも、

それをしていくうちに、少しずつ好きになって、結果として続けている人が多いように感じます。

 
私は、親に「好きなことをしなさい」と言われたことはないのですが、

そんな風に言われなくて良かったと思います。

もし、そんな風に言われて育ったなら、

「好きなこと」を探して、人生の大切な時間を浪費していたかもしれません。