経営事項審査

工事経歴書作成の仕方

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経営事項審査の書類作成で一苦労するのが、工事経歴書の作成です。
経審を受ける場合工事経歴書の記載の仕方が、決算変更届のみを提出する場合と異なります。

サポート行政書士法人は、大手・中堅企業の事業者を中心に、多数の申請実績があります。
そんな弊社が工事経歴書の書き方について教えます!

本ページでは工事経歴書は何の手続きで提出するものなのかから経審における工事経歴書の記載の仕方までを紹介する記事になります。

これから工事経歴を作成するという方がどう作成すべきかをまとめています。是非参考にしてください。

工事経歴書とは

「工事経歴書」は、建設業許可の申請を行う際の添付書類として、申請書とあわせて提出することとされています。許可取得後においても、毎営業年度終了後4ヶ月以内に提出する「決算変更届」の添付書類として「工事経歴書」の提出が求められます。また経営事項審査に係る経営規模等評価を申請する際にも、確認書類として「工事経歴書」を提出することとされています。
つまり工事経歴書の提出が必要になるのは、以下の時です。

・建設業許可の申請を行うとき
・許可取得後、毎営業年度終了後における決算変更届出を行うとき
・経営事項審査申請を行うとき

工事経歴の作成フロー

経審を受ける場合の工事経歴書のフローは以下の画像の通りになります。

画像の引用元:関東地方整備局「経営規模等評価申請・総合評定値請求の手引き(経営事項審査)」

工事経歴書の記載方法

では、経営事項審査の場合の工事経歴書の記載の仕方について、説明します。

工事経歴書書き方その1 金額は消費税抜きで記載しましょう

経営事項審査で提出する工事経歴書の請負金額、財務諸表、直前三年の施工金額は全て、「税抜き」での記載になります。

工事経歴書書き方その2 記載の順番は以下を守って記載しましょう。

元請工事の記載を最初に!
元請工事について、元請工事高合計の7割に達するまで記載します。金額の大きい順に記載する様にしましょう。ここは経営事項審査を受けない場合の工事経歴書の場合は、元請、下請関係なく金額の大きい所から記載すればよかった時と異なりますのでご注意ください。

次に、元請、下請け関係なく記載!

元請工事を元請工事全体の7割を超えるところまで記載した後は、元請・下請に関係なく金額の大きい順に工事経歴を記載します。ただし、全体の7割を超すまでに1000億円を超えた場合若しくは軽微な建設工事が10件を超える場合は記載を終了します。

※軽微な建設工事とは、
○建築一式工事の場合は、1件の請負代金の額が1,500万円未満
の工事又は延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
(いずれか一方の要件を満たしていれば軽微な建設工事となる)
○建築一式工事以外は、1件の請負額が500万円未満の工事

工事経歴書に記載したものについて、証明する!
作成した工事経歴書を基に、実際に工事に当たって作成した契約書や注文書、請求書で証明しなければなりません。因みに関東地方整備局の場合は、「業種ごとに請負金額の大きい順に3件添付※」する必要があります。
※管轄によって求められる書類の量や内容に差があります。
※3件に満たない場合は全て添付します。

工事経歴書の記載の順番以外に気を付けること

上図が工事経歴書のフォーマットになります。
各項目の記載内容について説明します。

建設工事の種類について

工事の業種ごとに作成します。
一つの工事で、複数業種の工事がある場合は、主たる業種の工事に振り分けます。
1件の工事を分割して複数の業種の工事経歴書に記載することはできません。

税込・税抜について

経審を受けない場合は、税込・税抜の記載に制限はありませんが、経審を受ける場合は、税抜で統一して記載する必要があります。

注文者について

契約書や注文書等に記載されている注文者を記載します。
法人の場合は、そのまま法人名を記載しますが、個人の場合は、個人の氏名が特定されない様に記載する必要があります。
例)佐藤氏からの注文の場合、「個人S」と記載します。

元請又は下請の別について

施主から直接受注を受けた場合は「元請」と記載し、施主から直接受注を受けていない場合は「下請」と記載します。

JVの有無について

一つの工事を施工する際に、複数の企業が共同で工事を受注し施工する場合、つまりJV(共同企業体)で施工した場合にのみ、「JV」と記載します。
請負代金の額に出資の割合を計算した額又は分担した工事額を記載します。

工事名について

契約書や注文書等に記載されている工事名を記載します。
ただし、個人名が含まれている場合は、そのまま記載しない様にする必要があります。
例)工事名「佐藤邸新築工事」の場合は「S邸新築工事」と記載します。

配置技術者について

 「配置技術者」の欄は、完成工事については、技術者の氏名及び主任技術者又は監理技術者の別を記載して下さい。また、当該工事の施工中に配置技術者の変更があった場合には、変更前の者も含むすべての者を記載して下さい。
 

配置技術者について、特に注意したいポイントが3つあります。

下記の3つのポイントに違反しないように、日頃の業務から気を付けておきましょう。

〇元請の場合、下請への発注金額によって配置できる技術者が変わります。
まず、配置技術者には主任技術者と監理技術者とがいます。

発注者からの直接工事を請け負った場合で一次下請けへの発注総額が4,500万円以上となる場合(建築一式工事の場合は7,000万円以上)は、主任技術者ではなく、監理技術者又は特例監理技術者を設置しなくてはいけません。例えばコンクリ―ト工事を元請の立場から8000万円で請負い、4,500万円を下請に出した場合に配置技術者になれるのは主任技術者ではなく、1級の国家資格等を持った監理技術者のみになります。
※監理技術者の配置が必要となる工事を請け負う場合は、特定建設業の許可を取得する必要があります。
※当初、主任技術者を配置していた工事で、 途中で大幅な工事内容の変更等があり、 下請契約の請負代金の額が4,500万円 (建築一式工事の場合は7,000万円)以上となった場合、 発注者から直接建設工事を請け負った元請の特定建設業者は、 主任技術者に代えて、所定の資格を有する監理技術者を配置しなければなりません。

〇元請・下請によらず、請負金額によっては配置技術者を専任させる必要があります。

また請負代金が4,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)の工事(※)については、配置技術者を現場に専任させる必要があります。
※ただし、個人住宅、長屋(共有部分無)等の工事であれば、現場への専任は求められません。

現場への専任が求められる工事の配置技術者は、原則期間が重なる他の工事の配置技術者にはなれません。

〇営業所の専任技術者は原則現場の配置技術者にはなれませんが、以下の5つを全てクリアしていれば、現場の配置技術者になっても構いません。

1.該当技術者が所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること

2.現場配置技術者の専任が求められない工事であること 

3.当該営業所で契約締結した建設工事であること

4.当該営業所が職務を適正に遂行できる程度近接した工事現場であること

5.当該営業所と常時連絡が取れる状態であること

あまりにも遠方の工事にも関わらず、営業所の専任技術者を記載する事はできませんのでご注意ください。

請負代金の額

千円未満を切捨てた額で記載します。

PC工事、法面処理工事、鋼橋上部工事がある場合は、内訳を別途記載する必要があります。

建設工事に該当しない兼業事業を、工事経歴書に含めない様にしましょう。

また「工事進行基準」を採用している場合には、工事進行基準が適用される完成工事について、その完成工事高をカッコ書きで付記することが必要です。

※工事進行基準とは、工事の進捗状況によって、決算期ごとに計上する会計方式です。
工事進行基準を適用するには、工事の進捗部分について成果の確実性が認められる必要があります。

 一方、工事が完成して引き渡し時に計上する方式は、工事完成基準です。

工期

契約上の工期ではなく、着工年月と引き渡し年月を記載します。

小計

小計は、ページ毎の請負金額合計を記載します。

合計

業種ごとの請負金額合計を記載します。

まとめ

本ページをまとめると以下になります。

〇工事経歴書は許可申請時、決算変更届、経審の場合にそれぞれ提出する。
〇工事経歴書の記載は元請⇒下請という順番がある。
〇各項目の記載は一つ一つ理解して入力すること。

となります。

ここまで解説してきましたが、疑問点が生じた方や理解はできたけど自分で作成するのは大変という方は、是非サポート行政書士法人にご相談下さい。

サポート行政書士法人は初回相談無料です。

また、大企業・中堅企業が顧客の中心で、特定・大臣許可の手続きを得意としています。