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行政処分事例の解説 新規許可編①

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こんにちは、サポート行政書士法人の三瓶です。
 
本日は、一般乗用旅客自動車運送事業の新規許可後に行われている行政監査を発端とした行政処分事例について、その内容を紹介します。
 
行政監査というと、●年に1回といったように一定の周期で行われているイメージがありますが、新規許可後一定期間を開けて実施されることがあります。
この事例を参考に自社の監査対策をしっかり行っていきましょう!

主任コンサルタント 三瓶 良輔

<処分内容> 輸送施設の使用停止(90日車)

処分理由

  • (1)運転者に対する指導監督義務違反
  • (2)定期点検整備等の未実施
  • (3)整備管理者の研修受講義務違反
  • (4)運王管理規程の制定義務違反


この処分理由の中から、「(1)運転者に対する指導監督義務違反」について解説します。


※日車とは、1台の車両を1日運行停止すれば、「1日車」という単位で表します。
  例えば車両が10台ある輸送施設の場合、毎日5台を18日間運行停止すると
 「5台×18日=90日」という計算になり、90日車分の停止処分を受けたことになります。

<解説> 根拠法令:旅客自動車運送事業運輸規則第38条第1項

この条文では「乗務員の監督」について規定されています。
事業者として、雇用している運転者に対して運転技術や法令で定められている運転に関する事項について適切な指導監督をしなければならないとされています。ではどのように指導監督をしていくのか。
 
具体的な指導監督の内容は「運輸規則第38条第1項及び第2項の規定に基づき旅客自動車運送事業者 が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」として告示されています。
実際に内容を読み解くと、指導及び監督に関する具体的な内容や実施にあたって配慮すべき事項、特定の運転者に対する特別な指導の指針などについて書かれています。
事業者としては、この告示内容をしっかりと理解し、指導監督を実行していく義務があります。
加えて、指導監督を行った場合は「指導及び監督を実施した日時、場所及び内容並びに指導監督を行った者及び受けた者を記録し、かつ、その記録を営業所において保存するもの」とされています。
つまり行政監査においては、指導監督の記録が確認され、適切な実施がされているのか、記録の保存ができているかが見られます。
 
「運転者に対する指導監督義務違反」が行政処分の理由となる場合、特定の運転者(初任運転者や高齢者など)に対する特別な指導が行われていないことや、そもそも指導監督に対する記録が確認できない場合が多いです。告示内容をしっかり理解し、事業者として実施する体制の構築が不可欠です!改めて告示の理解を深めていきましょう。
 
やっと許可を取得していざスタート!となるとこういった事業上準備が必要な対応がおろそかになりがちです。今一度、運送事業者として課せられる義務を理解し、事業スタート時から適切な運営管理体制を構築できるよう準備が必要です。
 
弊社ではスタートアップ時はもちろん、既存の事業者に対しても適切な運営管理体制を構築するためのサポートを実施しております。 お気軽にお問合せください。