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「適合性の原則」について②

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今回は、以前にお話しした「適合性の原則」についてお話させていただきます。
 
金融商品取引業者は、
自社の売上増やノルマ達成の為に、営業職員が投資経験の少ない顧客に
複雑な金融商品を勧めたり、余剰資金の少ない顧客に複雑×ハイリスクな金融商品を勧める等、
ともすると不適切な営業が行われがちです。
 
そこで、金融商品取引法では、
金融商品に関する
①顧客の知識
②経験
③財産の状況
④金融商品取引契約を締結する目的
 
以上、4つの要素を確認することで、顧客ごとにふさわしい勧誘を徹底し、
一層の利用者保護を図ることを定めています。
 
それでは、各要素ごとに内容を見て行きましょう。
 
①顧客の知識
 
顧客の知識としては、まず、販売する金融商品の内容(どんな商品で構成されているか、割合等)抱えるリスクやその仕組み、特性など、金融商品に関する内容をきちんと理解されている必要があります。
当然、金融商品取引業者には、その金融商品の内容やリスクを理解する為に必要な情報を
事前によくよくよく説明する義務があると言えます。
また、個別の金融商品に関する内容以前に、
市場の仕組みの理解(価格が変動すること、どんな要素で価格が変動するのか等)等についても、
ある程度の判断がつく必要もあるでしょう。
 
②顧客の経験
 
顧客の経験としては、例えば、これまで、「どんな商品に」、「いつ位に」、
「各商品ごとにどれ位の期間投資経験があるのか」等、過去の具体的な投資経験を把握する必要があります。
顧客の投資経験や判断能力が不足すると思われるような場合には、より詳細な説明を行ったり、
場合によっては、無理に購入しないようにお勧めしたりすることも必要です。
 
③顧客の財産の状況
 
顧客の財産の状況としては、例えば、現状の資産総額、その内訳、投資割合等を
正確に把握する必要があります。
 
④金融商品取引契約を締結する目的
 
金融商品取引法が施行される以前の「証券取引法」でもこの「適合性原則」は取り入れられていましたが、
当時は上記①~③の3要素のみが列挙されていました。
金融商品取引法の施行に併せて、投資家保護をより強化する観点から、
 
④金融商品取引契約を締結する目的(つまり、投資目的)が、新たに考慮すべき項目として追加されました。
 
顧客の投資目的としては、「将来の蓄えとして少しずつ運用していきたい」
「余剰資金で、ハイリターンを狙って積極投資をしたい」「元本の安全性を重視したい」などの
具体的な投資目的を把握し、
その目的にふさわしい金融商品、時期、期間等をお勧めする必要があります。
 
この「適合性の原則」に従って、最近ではインターネットでの証券口座開設等に際しては、
投資経験や資産、投資目的等の申告を求められた上で、
選択した金融商品と投資目的とが大きく異なる場合や取り扱いが難しい年齢・投資経験だと、
お断りのメッセージが出てくる場合もあるようです。