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「広域認定制度」における制度上の定めが曖昧な点について解説 ~中間処理期間の定めについて~

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 「広域認定制度」とは、メーカーなど製品の製造事業者が環境大臣の認定を受けて、廃棄物となった自社製品の処理を広域的(二つ以上の都道府県の区域)に行うことにより、当該廃棄物の減量や適正な処理が確保されることを目的とした制度です。産廃物処理業に関する地方公共団体ごとの許可は不要となります。

▶広域認定制度の概要 環境省HPより

事業者側には利点のある広域認定制度ですが、制度上の定めが明確に無く、判断に迷うことも多くあります。今回は一例として、「中間処理期間に具体的な定めはあるのか」について解説します。

通常の産業廃棄物処理においては、マニュフェストの運用上、中間処理の定められた期限を超えた場合、排出事業者は委託した産業廃棄物の処理状況を把握した上で適切な措置を講ずるとともに、期限を過ぎても収集運搬業者、処分業者からの終了報告がないことを都道府県等に報告しなければなりません。

排出事業者(中間処理業者が排出事業者となる場合も含む)は、電子マニフェストの登録日(紙マニフェストの場合は「交付日」、以下同じ)から90日以内(特別管理産業廃棄物の場合は60日以内)に、委託した産業廃棄物の中間処理(中間処理を経由せず直接最終処分される場合も含む)が終了したことを、マニフェストで確認する必要があります。また、中間処理を経由して最終処分される場合は、電子マニフェストのマニフェスト登録日から180日以内に、最終処分が終了したことを確認する必要があります。
排出事業者は、上記の期限を過ぎても収集運搬業者、処分業者からの終了報告がない場合には、委託した産業廃棄物の処理状況を把握した上で適切な措置を講ずるとともに、その旨を都道府県等に報告しなければなりません。

(公益財団法人 日本産業廃棄物処理復興センター「よくある質問」より引用) 

この運用は広域認定制度においても適用されるのでしょうか。環境省に確認したところ、「認定制度においては、マニュフェストの交付義務は無いため、制度上の報告義務は無い」との回答でした。

しかし、広域的処理認定に係る処理であっても、一般廃棄物処理業者や産業廃棄物処理業者等と同様の基準が適用されているということを認識し、法を遵守し、適正な処理を行うことを求められています。そのため、認定制度においても、規則の考え方が適用され、「処分又は再生を行うためにやむを得ないと認められる期間」と客観的に判断がされた場合、行政指導等が入る可能性がありますので、注意が必要です。



広域認定事業者は、法第9条の9第5項及び法第15条の4の3第3項において準用する法第9条の9第5項により、廃棄物処理基準等の遵守、帳簿の備え、記載、保存の義務、名義貸しの禁止、改善命令等の適用を受けます。

(「広域認定制度申請の手引き(最終改訂 令和3年9月)P33」より引用)