取引記録等の保存と疑わしい取引の届出等について
投稿日:2017年6月26日
こんにちは。資金移動業担当の清水です。
前回は「取引時確認」について書きました。
今回は、その続きです。
「取引時確認」とセットで、資金移動業者が行うべきことがあります。
それは、「取引記録等の保存」と「疑わしい取引の届出等」です。
これらをしないと、法令違反となり、処分や処罰の対象となり得ます。
それでは、それらについて順番に見ていきましょう。
1.取引記録等の保存って?
取引記録等の保存とは、平たく言うと、
「取引した記録はちゃんと取っておいてよ」ということです。
資金移動業者が、利用者から依頼を受けて送金する取引をするとき、
その取引の記録を保存しておかなくてはなりません。
では、どうやって取引記録等を保存するのかというと、
以下のような流れになります。
①確認記録の作成・保存 → ②取引記録等の作成・保存
まず、「確認記録」を作成します。
特定事業者は、取引時確認時、確認記録を作成する義務があります。
確認記録は、以下の項目です。
・「取引時確認」で確認したこと(本人特定事項・目的・職業/事業等)
・当該取引時確認をどうやって行ったか
・その他(※主務省令で定める事項)
そして、これらの確認記録を、取引の契約終了日から、
7年間保存しておかなければなりません。
これが確認記録の作成・保存についてです。
確認記録の作成・保存が終わったら、
「取引記録等」の作成・保存に入ります。
取引記録等とは何か?というと、
・確認記録を検索するための事項
・当該取引の期日及び内容その他の主務省令で定める事項
・第七条第二項の事項
取引記録等の「確認記録を検索するための事項」で、
たくさんある「確認記録」を検索し紐づけるイメージです。
法令上は、「確認記録→取引記録」という流れですが、
ただし、実務上は「確認記録」と「取引記録等」を
同時に作成・保存しておくことが多いかと思われます。
続いて、「疑わしい取引の届出等」について説明します。
ざっくりいうと、取引時確認の時に、
または、以下の行為をしているか?をみます。
・組織的犯罪処罰法第十条
政令で定める方法で、政令で定める事項を届出する、
というルールになっています。
ここで事業者にとって問題となるのは、
「どう判断するの?」ということかと思います。
国籍、公的地位、利用者が行っている事業等の利用者等属性、
外為取引と国内取引との別、利用者属性に照らした取引金額・回数等の取引態様
というようなことを十分に考慮するべき、とされています。
そして、それらが検出・監視・分析できる体制作りが求められます。
もし疑わしい取引の届出をする時は、
届出をする旨またはしたことを、利用者・関係者に漏らしてはいけません。
送金業務を行う場合もありますが、
その際には、それらの提携先が同様の体制を整えているか、
と言う点も確認しなければならないので、注意が必要です。
その上、事業者は、
・取引時確認をした事項に係る情報を最新に保つ措置
これらは資金移動業の登録時に求められますので、
それらをしっかりしてから、登録申請に臨んで下さいね。