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迫る人手不足に光明?第二種免許取得の緩和と特定技能の可能性

 日本の経済活動を支える大動脈、自動車運送業。しかし近年、その足元は深刻な人手不足という大きな課題に揺らいでいます。ドライバーの高齢化、若年層の入職者減少は歯止めがかからず、輸送能力の低下、ひいては物流コストの増加といった形で、事業運営に深刻な影響を与え始めています。

この状況を打破する一手として、今、注目を集めているのが「特定技能」制度による外国人材の活用です。

政府も自動車運送業を特定技能の対象分野に加え、積極的に外国人材の受け入れを推進する方針を示しています。

本稿では、自動車運送業に関係する皆様に向けて、特定技能で外国人を受け入れることのメリット、注意すべき点、そして実際に成功を収めている事例、今後の展望について解説していきます。

人手不足解消の切り札となり得る特定技能制度を理解し、自動車運送業の皆様の一助となれば幸いです。

外国人のドライバーを雇うには?

 外国人が自動車運送業で働くためには、特定技能1号の在留資格を取得する必要があります。特定技能1号の在留資格を取得するためには、技能と日本語能力両方の証明が必要となります。日本語能力はN4/N3レベルが求められますが、実際には第二種運転免許を取するにはより高い日本語能力が必要となることが課題となりそうです。また、運転技能に加え、関連法規や安全管理の知識、各職種ごとの資格要件を満たす必要もあります。

特定技能外国人受け入れの注意点と対策

 特定技能外国人材を受け入れるために、受け入れ機関である自動車運送事業者は、いくつかの要件を満たす必要があります。主な要件としては、以下の点が挙げられます。

  • 事業の適正性: 運送事業許可を有し、過去5年間に法令違反がないなど、事業が適正に運営されていること。
  • 雇用契約の適切性: 外国人材と適切な雇用契約を結び、日本の労働関係法令を遵守することや報酬額が日本人と同等以上であることなども求められます。
  • 支援体制の整備: 外国人材が日本で安定して就労・生活できるよう、生活指導、相談対応、日本語学習支援など、必要な支援体制を整備すること。自社で支援が難しい場合は、登録支援機関に委託することも可能です。
  • 出入国在留管理庁への届出: 受け入れた外国人材に関する情報や、支援計画の実施状況などを定期的に出入国在留管理庁に届け出ること。

これらの要件を満たしていることが、特定技能外国人を受け入れるための前提となります。

事前にしっかりと確認し、必要な準備を進めることが重要です。

第二種免許の教習時間短縮

 タクシードライバー不足を解消するため、警察庁は普通第二種免許の教習時間を現在の40時限から29時限(約9時間減)に短縮する方針を固めました。これはタクシー業界からの要望を受けたもので、普通第一種免許の教習と重複する分野を削減・短縮し、学科を19→17時限、技能を21→12時限とします。警察庁は実験に基づき、教習時間減でも検定合格率に影響はないと判断。今後、パブリックコメントを募り、道路交通法規則を改正後、2025年9月施行を目指していると公表されています。

さいごに

 本稿では、深刻化する自動車運送業の人手不足に対し、「特定技能」という新たな切り札を活用することで、事業の持続可能性を高め、未来を切り拓く可能性について考察してきました。

特定技能外国人材の受け入れは、単なる労働力の補充に留まりません。多様な視点の導入、事業の国際化への足がかり、そして企業イメージの向上といった、多岐にわたるメリットを自動車運送業にもたらします。

今後の展望として、特定技能制度は自動車運送業において、ますます重要な役割を担うことが予想されます。技術革新との連携や、多文化共生社会の進展の中で、外国人材は新たな価値を生み出す可能性を秘めています。

自動車運送業の経営者・人事担当者の皆様には、特定技能制度を単なる人手不足対策として捉えるのではなく、企業の持続的な成長と新たな価値創造の機会と捉え、積極的にその活用を検討していただきたいと願います。

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