化粧品製造販売業・製造業許可 製造販売届

化粧品とは?薬事法上の定義や医薬品・医薬部外品との違いを解説

更新日:2025年4月9日


化粧品は、言うまでも無く日常生活で広く使われている製品の一つです。
 
では、法律では「化粧品」はどのように定義されているのでしょうか。

人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。(医薬品及び医薬部外品を除く。)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第2条3項
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145

「体を清潔にしたり、見た目を美しくする目的で、体に塗布等する」ものとは、つまり、化粧水・乳液、保湿クリーム・ファンデーション・口紅・石けん・マニキュアなど、身近な物の多くがこの「化粧品」に該当します。

薬事法の定義の通り、「化粧品」は、あくまでも「人体に対する作用が緩和なもの」に限られます。

この定義に従って化粧品を取り扱う際は、商品中に配合される<成分>及びうたって良い<効果・効能>といった側面から、医薬品医療機器等法(薬機法)上の厳しい制限がかけられています。
 
ただし、「医薬品」や「医薬部外品」として定義されるものはこの範疇には含まれません。

動画でサクッと確認!

【化粧品許可】そもそも化粧品とは何かを考えてみる

医薬品医療機器等法(薬機法)では、「医薬品」や「医薬部外品」については、「化粧品」とは別に定義しています。

治療等が目的となる「医薬品」

 例)薬局等で販売されている風邪薬等の内服液、軟膏、目薬 etc

② 予防(殺菌・除菌等)等が目的となる「医薬部外品」

 例)薬用化粧品、美白クリーム、歯周病予防歯ミガキ粉 etc

それぞれ使用目的が異なる「化粧品・医薬部外品・医薬品」ですが、人体に与える影響の強さは化粧品<医薬部外品<医薬品の順に大きくなっていきます。

化粧品・医薬部外品・医薬品のどれに該当するのかによって、商品中に配合して良い成分とその分量やうたって良い効果・効能等が変わってきます。

海外の化粧品の取り扱いを検討される場合は、その国ごとに薬事上の規制が異なる為、特に注意が必要です。

例えば海外では化粧品に入れても良い成分が、日本では配合NGの成分であったり、海外では認められる効果・効能の表示が、日本では表示が認められないといったケースが、多く見られます。

化粧品の効能範囲の規定については、以下の56項目に区分されています。

  1. 頭皮、毛髪を清浄にする。
  2. 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
  3. 頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
  4. 毛髪にはり、こしを与える。
  5. 頭皮、毛髪にうるおいを与える。
  6. 頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
  7. 毛髪をしなやかにする。
  8. クシどおりをよくする。
  9. 毛髪のつやを保つ。
  10. 毛髪につやを与える。
  11. フケ、カユミがとれる。
  12. フケ、カユミを抑える。
  13. 毛髪の水分、油分を補い保つ。
  14. 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
  15. 髪型を整え、保持する。
  16. 毛髪の帯電を防止する。
  17. (汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
  18. (洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
  19. 肌を整える。
  20. 肌のキメを整える。
  21. 皮膚をすこやかに保つ。
  22. 肌荒れを防ぐ。
  23. 肌をひきしめる。
  24. 皮膚にうるおいを与える。
  25. 皮膚の水分、油分を補い保つ。
  26. 皮膚の柔軟性を保つ。
  27. 皮膚を保護する。
  28. 皮膚の乾燥を防ぐ。
  29. 肌を柔らげる。
  30. 肌にはりを与える。
  31. 肌にツヤを与える。
  32. 肌を滑らかにする。
  33. ひげを剃りやすくする。
  34. ひげそり後の肌を整える。
  35. あせもを防ぐ(打粉)。
  36. 日やけを防ぐ。
  37. 日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
  38. 芳香を与える。
  39. 爪を保護する。
  40. 爪をすこやかに保つ。
  41. 爪にうるおいを与える。
  42. 口唇の荒れを防ぐ。
  43. 口唇のキメを整える。
  44. 口唇にうるおいを与える。
  45. 口唇をすこやかにする。
  46. 口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
  47. 口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
  48. 口唇を滑らかにする。
  49. ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
  50. 歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
  51. 歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
  52. 口中を浄化する(歯みがき類)。
  53. 口臭を防ぐ(歯みがき類)。
  54. 歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
  55. 歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
  56. 乾燥による小ジワを目立たなくする。

化粧品には、配合成分に関する厳しい基準があります。
主要なポイントは以下の通りです。

①ネガティブリスト

化粧品に配合してはならない成分、または配合が制限されている成分のリストです。
防腐剤、紫外線吸収剤、タール色素などが含まれます。

②ポジティブリスト

特定の条件下でのみ配合が許可されている成分のリストです。

③医薬品成分の配合禁止

化粧品には、添加剤としてのみ使用される成分を除き、医薬品の成分を配合してはなりません。

ただし、医薬品の成分であっても、平成13年3月31日までに既に承認を受けた化粧品の成分である場合、または化粧品種別許可基準に掲げられていた成分については、承認された成分の分量または許可基準に掲げられた分量に限り配合が認められている場合があります。

「消費者への必要な情報提供を確保した上で、消費者の需要の多様化に対応したより多くの選択を可能にする」という方針のもと、化粧品基準が定められています。
化粧品基準は、消費者が自分に合った製品を選びやすくするためのものであり、その中には化粧品の成分に関する規定や製造過程における安全管理の手順が含まれます。

化粧品に配合される成分については、以下のような対応が求められます。

①安全性の確認

化粧品製造販売業者は、配合成分の安全性を十分に確認し、その適否を判断する責任があります。
このため、業者は科学的なデータや臨床試験結果を基に成分の安全性を評価し、その結果に基づいて使用の可否を決定する必要があります。
安全性の確認は製品の品質を保証するために欠かせないステップです。

②資料の収集と保管

配合成分および製品の安全性に関する資料を収集、作成し、保管する必要があります。
これには、成分の起源や製造方法、使用履歴に関する情報が含まれます。
また、収集した資料は製品の安全性を証明するために必要なものであり、製造販売業者はこれらの資料を適切に管理し、必要に応じて提出できる状態にしておくことが求められます。
資料の適切な管理により、製品のトレーサビリティを確保し、万が一の問題発生時に迅速に対応しやすくなります。

サポート行政書士法人では、新規で化粧品業界へ参入される方から、既存の製造販売業者・製造業者・販売業者の皆さまに対して、医薬品医療機器等法に関する手続きサポートやコンサルティングを行っています。
化粧品の申請は専門性が高く、対応している行政書士が少ない分野の一つです。
弊社の担当者は、全国の都道府県で申請実績があります。ぜひご相談ください。

化粧品と医薬部外品の違いは何ですか?

化粧品は、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚や毛髪を健やかに保つために使用され、人体に対する作用が緩和なものを指します。
​一方、医薬部外品は、厚生労働省が許可した効果・効能に有効な成分が一定の濃度で配合され、主に防止や衛生を目的として作られた製品です。
例えば、フケ・かゆみを防止するローションや、口腔内の衛生を保つための製品などがあります。​薬機法の下では、これらの分類に基づいて、コスメの効能や効果を表示する際のルールが定められています。

化粧品等の名称の表現の原則はどのようなものですか?

化粧品等の名称については、他のものと同一性を誤認させるものであってはいけません。
したがって、製造販売の届出を行った販売名以外の名称を使用してはいけません。

販売名の略称又は愛称を使用する場合はどのような点に気をつける必要がありますか? 

販売名の略称又は愛称を使用する場合、以下の点に注意する必要があります。

  • 化粧品等の販売名の略称又は愛称については、広告の前後の関係から総合的にみて、その同一性を誤認させるおそれがないこと。
  • 化粧品等の販売名の略称又は愛称については、販売名に使用できないものは愛称にも使用しないこと。
  • 名称の表現については明確に行うものとし、名称と判断できないような小さな字句等で表現するしないこと。

同一性を誤認させるおそれがない範囲で、「漢字」に「ふりがな」をふること、また、アルファベットを併記することは問題ありません。

販売名の略称又は愛称として使用できない名称はどのようなものですか?

化粧品等の略称や愛称の表現には、以下のような表現の規制があります。 

  • 既存の医薬品及び医薬部外品と同一の名称は用いないこと。
  • 虚偽・誇大な名称あるいは誤解を招くおそれのある名称は用いないこと。
  • 配合されている成分のうち、特定の成分名称を名称に用いないこと。  
  • ローマ字のみの名称は用いないこと。  
  • アルファベット、数字、記号等はできるだけ少なくすること。 
  • 剤型と異なる名称を用いないこと。
  • 他社が商標権を有することが明白な名称を用いないこと。
  • 化粧品の表示に関する公正競争規約に抵触するものを用いないこと。  
  • 医薬品又は医薬部外品とまぎらわしい名称を用いないこと。
    (例えば、○○薬、薬用○○、漢方○○、メディカル○○、○○剤、アトピー○○、ニキビ○○、アレルギー○○、パックで「○○ハップ」等)

化粧品の広告で注意すべきルールはありますか?

薬機法により、化粧品の広告では、実際の効果を誇張したり、医薬品と誤認されるような表現を使用することは禁止されています。
例えば、「治療する」や「完全に治す」といった表現は避け、化粧品として認められた効能・効果の範囲内で表現する必要があります。
また、厚生労働省が定めたルールに従い、ローションなどの製品が特定の用途に適していることを示す場合でも、一般消費者が誤解しないような表現を心掛けることが重要です。

口腔用の化粧品にはどのようなものがありますか?

口腔用の化粧品には、主に口臭を防ぐためのマウスウォッシュや、歯を白くする効果が期待できる製品などがあります。
これらの製品も薬機法の規制対象であり、効能・効果の表示や広告表現については、厚生労働省が定めたルールに従う必要があります。
​特に、医薬品と誤認されないよう、一般的なコスメとしての範囲内で適切に表現することが求められます。

    関連動画