旅館業・ホテル営業許可

旅館・ホテルの防火基準

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たくさんの人が利用するホテルや旅館には「消防法」と「建築基準法」により、防火規定などを守ることが義務付けられています。住宅火災に比べて件数は少ないものの、1度火災が発生すると大惨事になりかねません。

ホテル・旅館の消防法による基準

消防法とは火災から国民の生命・身体・財産を保護すると共に、火災・地震などの災害による被害を軽減することにより、社会秩序を保持し、公共の福祉を増進することを目的として定められた法律。建物の規模や用途により消防設備などの設置、防火物品の使用などの防火安全対策が義務付けられています。

消防用設備等の設置

消防用設備設置対象条件
消火設備消火器
屋内消火栓
スプリンクラー設備
屋外消火設備
延べ面積150㎡以上
延べ面積700㎡以上
延べ面積6,000㎡以上
延べ面積3,000㎡以上
電報設備漏電火災報知器
自動火災報知機
消防機関へ通知する火災報知器
非常警報寄付・設備
延べ面積150㎡以上かつラスモルタルの物
延べ面積300㎡以上
延べ面積500㎡以上
収容人員が20名以上(300名以上で放送設備を設置)
避難設備避難器具
誘導灯・誘導標識
収容人員が2階以上の階で30名以上など
全部

上記のような消防用設備等を設置し、半年ごとに点検を実施し、1年ごとに消防機関(市町村の消防本部または消防署)に報告することが義務付けられています。

防火管理

防火管理とは、火災発生防止と火災被害を最小限に止めることを目的としています。誰が何をしたらよいのか?万が一火災が発生した場合、どのようにしたらよいのか?を消防計画に定め、火災に備えた消火訓練や避難訓練を行うものです。建物所有者の管理権原者は、消防法第8条により、防火管理責任者を定め、防火管理に係る業務を行わなければなりません。

防火対象物定期点検報告制度

消防法第8条の2の2に基づき、防火対象物点検報告制度として規定されているものです。 300人以上の収容人員があるホテルや旅館は、点検・報告が義務づけられています。

点検項目

点検項目は消防法によって定められており、点検資格者(防火対象物点検資格者)に行わせなければなりません。

一部挙げてみたいと思います。

1、防火管理者を選任していますか?

2、消火・通報・避難訓練を実施していますか?

3、避難階段に避難の障害となる物が置かれていませんか?

4、防火戸の閉鎖に障害となる物が置かれていませんか?

5、カーテン等の防炎性能を有する旨の標示が義務付けられていますか?

6、消防法令の基準による消防用設備等が設置されていますか? など

罰則

消防法第44条30万円以下の罰金または拘留

・点検結果を報告していない又は虚偽の報告をした場合(消防法第8条2の2第1項)

・点検基準に適合していないにも関わらず「防火基準点検済証」を標示した、または、これと紛らわしい標示をした場合(消防法第8条2の3第8項)

・特例認定を受けていないにも関わらず「防火有料認定証」を標示した、または、これと紛らわしい標示をした場合(消防法第8条2の3第8項)

消防法46条の55万円以下の罰金

・特例認定を受けた管理権原者が、管理権原の変更届を怠った場合(消防法8条2の3第5項)

ホテル・旅館の建築基準法による基準

建築基準法とは、建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低限の基準を定めて、国民の生命、健康および財産の保護を目的とする法律。建築基準法によりホテル・旅館などに外壁や間仕切り、廊下の幅などの規定が定められており、定期的に専門家による調査・点検、その結果の報告が義務付けられています。

※国土交通省HPより
ホテル 旅館
2階200㎡未満の建物
界壁・間仕切壁
(法第26条 令第114条)
準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達する準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達する(戸建住宅は適用無し)
用途による耐火建築物要求
(法第27条)
①3階以上の場合
②2階部分の床面積の合計が300㎡以上の場合
適用なし
廊下の幅
(法第35条 令第119条)
居室の床面積の合計が200㎡以上の場合
・中廊下→1.6m以上
・片廊下→1.2m以上
適用なし
居室から直通廊下までの距離
(法第35条 令第120条)
①主要構造部が準耐火構造又は不燃材料の場合、50m以下
②その他の場合、30m以下
ほぼ適用なし
2以上の直通階段
(法第35条 令第121条)
①主要構造部が準耐火構造又は不燃材料の場合、宿泊室の床面積の合計が200㎡超の階
②その他の場合、宿泊室の床面積の合計が200㎡超の階
ほぼ適用なし
避難階段の設置
(法第35条 令第122条)
5階以上の階適用なし
排煙設備の設置
(法第35条 令第126条の2)
延べ面積500㎡以上適用なし
非常用照明装置の設置
(法第35条 令第126条の4)
居室
②避難経路※避難階の居室等で、屋外への出口に至る歩行距離が30m以下(避難階の直上階・直下階の場合は20m以下)のものは対象外。
ほぼ適用なし
内装制限
(法第35条の2 令第128条の4令第129条)
①居室及び避難経路の内装仕上げを難燃材料等とする
・耐火建築物の場合→3階以上の床面積が300㎡以上
・準耐火建築物の場合→2階以上の床面積が300㎡以上
・その他の場合→床面積が200㎡以上(100㎡以内毎に防火区画されている場合は対象外)
火気使用室の内装仕上げを準不燃材料とする(住宅の場合、最上階は適用外)
火気使用室の内装仕上げを準不燃材料とする(住宅の場合、最上階は適用外)
屋内階段の寸法
(法第36条 令第23条)
直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える場合等
・階段及び踊り場の幅:120㎝以上
・けあげ:20㎝以上 踏面:24㎝以上(勾配40°)
上記以外の場合
・階段及び踊り場の幅:75㎝以上
・けあげ:22㎝以上 踏面:21㎝以上(勾配46°)
・階段及び踊り場の幅:75㎝以上
けあげ:22㎝以上
踏面:21㎝以上(勾配46°)

※住宅内階段はけあげ:23㎝以下
踏面:15㎝以上
(勾配57°)
赤字:共同住宅とホテル・旅館との異なる基準
青字:戸建住宅とホテル・旅館との異なる基準

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