第二種金融商品取引業とは?主な登録要件を解説!
更新日:2025年9月8日
株式や債券といった流動性の高い有価証券ではなく、「信託受益権」「ファンド」といった、流動性が低い有価証券を取り扱う業務は第二種金融商品取引業と呼ばれています。
第二種金融商品取引業に関する基本的な知識、主な登録要件や規制など、事業を始めるうえで知っておきたい情報を専門家の視点からわかりやすく解説します。

◆もくじ◆
■金融商品取引業とは
金融商品取引業とは、金融商品取引法その他関連法令等に基づいて、有価証券等を取り扱う事業のことを指します。 これらの事業は、投資家の保護や市場の健全性を確保するために規制されています。
金融商品取引業は、行う業務内容によって、以下の4つの区分があります。
- 第一種金融商品取引業
- 第二種金融商品取引業
- 投資運用業
- 投資助言・代理業
これらの業務を行うためには、金融庁(窓口:財務局・財務事務所等)の審査と登録が必要です。
審査・登録において、金融商品取引業者は、財産的基盤や人・組織体制等、金融商品取引業を適切に遂行するための要件を満たすことが求められます。
■第二種金融商品取引業とは
第二種金融商品取引業とは、金融商品取引業の中でも、信託受益権やファンド持分(集団投資スキーム持分)など、流動性の低い有価証券を取り扱う事業を指します。
金融商品取引法第2条第2項で規定されているこれらの有価証券は「みなし有価証券」と言われるものです。

<第二種金融商品取引業の例>
①信託受益権の売買等
不動産会社:現物不動産ではなく、不動産信託受益権のまま売買等を行いたい。
②ファンドへの出資者の募集
太陽光や蓄電池に投資するファンドを組成したい。
登録手続きにおいては、「業務方法書」に、上記のような実際に行う業務を記載して申請をします。
業務内容に応じて、適切な業務遂行体制にあるか等を確認されます。
例えば、不動産信託受益権を取扱う場合は、各部門責任者に宅地建物取引士資格が求められます。
■みなし有価証券の種類
金融商品取引法第2条第2項に、「みなし有価証券(別称:2項有価証券)」についての定義があります。
<みなし有価証券の主な例>
1.信託受益権
2.集団投資スキーム持分(ファンド持分)
3.合同会社の社員権等

1.信託受益権
信託受益権とは、委託者が不動産等の資産を受託者(信託銀行・信託会社など)に信託し、その信託財産から生じる経済的利益を受け取る権利等を指します。
信託受益権を有する者(受益者)は、信託財産から得られる収を受領することができます。
また、他人に売買することも可能です。
2.集団投資スキーム持分(ファンド持分)
ファンド持分とも言われ、出資者が金銭等を出資し、その金銭等を充てて事業(出資対象事業)が行われ、その事業から生じた収益等の分配を受けられる権利のことです。
民法の任意組合契約、商法の匿名組合契約(TK)、投資事業有限責任組合契約に関する法律に基づく投資事業有限責任組合契約(LPS)、有限責任事業組合契約に関する法律に基づく有限責任事業組合(LLP)といった組合型ファンド持分が含まれます。
出資対象事業が何かによって、第二種金融商品取引業のみでは運用ができない場合もありますので、注意する必要があります。
3.合同会社の社員権等
合同会社の社員権とは、その会社への「出資持分」を意味し、有限責任社員としての地位を指します。
合同会社は日本における会社形態の一つで、出資者と経営者が原則として同一人物であることが特徴です。
出資者全員が有限責任社員で構成される合同会社は、全員が無限責任社員である合名会社や、無限責任社員と有限責任社員が混在する合資会社と同様に持分会社に分類されます。
株式会社では、所有と経営の分離が原則ですが、合同会社では所有と経営が一体化しています。
金融商品取引法では、合同会社の社員権もみなし有価証券として規制の対象となっています。
■第二種金融商品取引業の主な登録要件
第二種金融商品取引業は登録制であり、要件を満たせば、法人(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社)や個人でも登録申請を行うことが可能です。
無登録で営業を行った場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、またはその両方の刑罰が科されることがあります(金融商品取引法第197条の2)。

第二種金融商品取引業の登録を受けるためには、以下のような要件を満たすことが必要です。
各要件は、新規登録時点だけでなく、登録後も継続してクリアする必要があります。
財産の要件
①資本金が 1,000万円以上であること(法人の場合)
営業保証金として 1,000万円の供託(個人の場合)
②決算内容・収支見込みが良好であること
※株主の属性・関係性等も注意

【ポイント】
・登録申請時に、直近一年間の決算書と今後二年間の収支見込を提出。
赤字決算や債務超過があると不利になります。
[事務所の要件]
①適切な事務所の使用権限を有していること
②物理的な独立性を確保できていること

【ポイント】
・登録申請時に、役職員の名前入りの配席図等を提出。
情報管理を含む適切な業務遂行が可能な事務所を、常時確保できていることが必要。
・バーチャルオフィス・他社共有オフィス等はNG。
[組織・人的構成の要件]
①経営者要件
金融商品取引業者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる資質
②常務に従事する役員要件
金融商品取引業者としての業務を公正かつ的確な遂行に必要なコンプライアンス及びリスク管理に関する知識・経験等
③業務の適確な遂行に必要な人員の確保
各部門に各部門が担当する業務に通じた知識・経験(金融商品取引業者における経験)のある責任者の配置 等
(例)営業部門・コンプライアンス部門・内部監査部門の設置
各部門に各部門が担当する業務に通じた知識・経験ある責任者の配置 等
[その他の要件等]
①定款の目的欄に「第二種金融商品取引業」等の記載があること(法人のみ)
②金融ADR 制度への対応((一社)第二種金融商品取引業協会に入会)
(参考:入会金 100 万円、年会費 50 万円)
※加入は必須ではありませんが、加入しない場合は、協会に加入した場合と同等レベルの規程や社内体制整備が求められます。
③登録拒否事由への非該当
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サポート行政書士法人では、第二種金融商品取引業に関するご相談を承っています。
初回相談無料ですので、Webサイトをご覧になって「相談したい」という方や「もっと詳しく知りたい」という方は是非お問い合わせください!
サポート内容
新規登録 | 当局(財務局・財務事務所)への申請支援・協会入会手続き支援 |
変更登録・変更届 | 登録事項に変更があった場合に必要な変更登録申請・変更届提出にかかる支援 |
事業報告書提出 | 事業年度終了後3ヶ月以内に提出が義務付けられている事業報告書提出にかかる支援 |
契約書面作成 | 必要となる契約前交付書面・契約時交付書面の作成 |
社内規程類の作成 | 社内規程類の作成 |
社内研修 | コンプライアンス研修や業務研修等、社内研修への講師派遣 |
内部監査支援 | 定期的に必要な内部監査の実施支援 |
