適格機関投資家等特例業務とは/各種制限(49名以下の人数制限等)について
更新日:2025年9月2日
このページでは、「適格機関投資家等特例業務」のスキームを検討する上で、基本となる事項を解説します。
適格機関投資家等特例業務は、金融商品取引業で必要な「登録」よりもライトな手続きである「届出」で出来る分、スキーム/投資家層に制限が付きます。
貴社の行いたいファンド事業が、適格機関投資家等特例業務の届出で行えるのか検討する上で、まずはこの制限を理解しましょう!
◆もくじ◆
適格機関投資家等特例業務とは
通常、ファンド(募集や運用)業務を行う場合、第二種金融商品取引業や投資運用業の登録が必要です。
しかし、ファンドの出資者が「適格機関投資家のみ」又は「1名以上の適格機関投資家と49名以下の投資判断能力を有すると見込まれる一定の者」等の一定の要件を満たすことにより、特例で簡易な届出のみでファンドの自己募集や自己運用業務を行うことができ、これを適格機関投資家等特例業務といいます。

※組合型ファンドについて※
ファンドは、一般的に法人型と組合型、信託型に分類されています。
しかし、この適格機関投資家等特例業務においては、「組合型ファンド」の形式でなければなりません。
適格機関投資家とは
適格機関投資家等特例業務を行う為に1名以上必要となる適格機関投資家ですが、その範囲は、『金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令』に限定列挙されています。
<適格機関投資家の範囲(一部)>
□第一種金融商品取引業者(有価証券関連業者に限り、少額電子のみ業者除く)
□投資運用業者
□投資法人・外国投資法人
□銀行
□保険会社・外国保険会社
□信用金庫・信用金庫連合会・労働金庫・労働金庫連合会
□金融庁長官に届出を行った者
……等
一定の要件を満たすことで、金融庁長官への届出(「適格機関投資家に関する届出」/有効期間:2年)により適格機関投資家になることもできます。
また、その届出を行った者は金融庁のHPに一覧で公開されます。
49名以下の投資判断能力を有すると見込まれる一定の者とは
49名以下の投資判断能力を有すると見込まれる一定の者(適格機関投資家以外の出資者)については、金融商品取引法施行令に規定されています。
<適格機関投資家以外の出資者の範囲(一部)>
□国、地方公共団体
□日本銀行
□金融商品取引業者(第一種金融商品取引業者・投資運用業者以外)、特例業者
□当該特例業者と密接な関係を有する者
(当該特例業者の役員・使用人、親会社等・子会社等(当該親会社等の子会 社等を含む)、運用委託先、投資助言者…..等)
□上場会社
□法人(純資産又は資本金5,000万円以上)
□金融商品取引業者・上場会社・法人 (純資産又は資本金5,000万円以上)の子会社等・関連会社等
□特殊法人、独立行政法人等
□特定目的会社
□年金基金、外国年金基金(投資性金融資産100億円以上)
□外国法人
□個人(投資性金融資産(有価証券やデリバティブ取引に係る権利等)1億円以上かつ証券口座開設1年経過)
□外国の組合型ファンド
……等
適格機関投資家等特例業務では、広く一般を対象にファンドの投資勧誘を行うことができませんので、出資予定者が「適格機関投資家以外の出資者」へ該当していることを確認しましょう。
また、「当該特例業者と密接な関係を有する者」等からの出資割合が出資増額の50%以上である場合、特例業務として認められません。
適格機関投資家等特例業務の制度、出資者の範囲、行為規制等を理解し、特例業務に適合するスキームを構築しましょう。
適格機関投資家の出資額・出資割合
適格機関投資家の出資額や出資割合について、上限及び下限は法定されていません。
ただ、これをもって少額でも良いという意味ではなく、
社会通念上、名目出資と見受けられるような出資額・出資割合はNGです。
管轄当局による業務の実態把握は届出書類や事業報告の確認等を通して行われ、
そこで、例えば、適格機関投資家等の出資額や出資割合が著しく低くなっている場合に、
適格機関投資家が、特例業務届出者からほとんど実体のない業務に対する対価として報酬を受け取ったり、
特例業務届出者の子会社等や関連会社等で実体のないものとなっていることによって、
実際には適格機関投資家として取得又は保有していないと実質的に評価しうるような状況等は
行為規制に抵触するとパブコメ内で回答されています。
予定している投資家の属性・人数、適格機関投資家の概要、投資対象物の内容、
営業者は誰か、ファンド種類(組合種類等)、金額規模 等を整理する際に
適格機関投資家の出資額・出資割合もチェック項目として含めましょう。
事前の無料相談/届出依頼はサポート行政書士法人まで!
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また、初回の相談は無料で行っていますので、ぜひご連絡ください。
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