金融

適格機関投資家届出

更新日:2026年9月14日


金融商品取引法では、有価証券投資に係る専門的知識及び経験を有する一定の者を「適格機関投資家」と規定しています。

適格機関投資家は、金融商品取引法上の「特定投資家(いわゆるプロの投資家)」に該当し、金融商品取引業者等との取引において、一般投資家を対象とした行為規制の一部が適用除外され、書面交付等の手続が簡略化されたり、一般投資家には販売制限がある商品への投資が可能になる等、一般投資家とは異なる取扱いを受けます。

また、ファンド事業においては、この適格機関投資家から出資を受けること等の一定の要件を満たすことにより「適格機関投資家等特例業務届出」を利用したファンド組成(自己募集・自己運用)が可能になります。

適格機関投資家には、大きく以下2パターンがあります。

適格機関投資家の範囲や、適格機関投資家に該当する者については、金融庁HP「適格機関投資家に関する情報」で公表されています。

① 届出等をせずに、適格機関投資家に該当する者

法令上、一定の金融商品取引業者や金融機関等は、特段の届出等を行うことなく、その立場をもって適格機関投資家に該当します。

例:
・有価証券関連業を行う第一種金融商品取引業者
・投資運用業者
・投資法人・外国投資法人
・銀行    
・保険会社・外国保険会社 等

② 届出等をすることで、適格機関投資家に該当する者

一定の資産要件等を満たす法人・個人等は、金融庁長官に届出を行うこと等により、2年間の有効期限つきで、適格機関投資家になることができます。

例:
・保有有価証券残高10億円以上で金融庁長官に届出を行った法人 
・有価証券取引等口座開設後1年経過し、かつ、保有有価証券残高10億円以上で金融庁長官に届出を行った個人 等

適格機関投資家届出自体は「届出書の作成⇒電子申請」のシンプルな手続きですが、意外な落とし穴がある為、しっかり確認しながら進める必要があります。

届出時のポイント

⚠  本店所在地や居住地(住所地)等、届出者の属性によって、提出先の管轄が異なります。
基本的に、電子申請(金融庁 電子申請・届出システム)を用いて届出を行いますが、届出時に提出先の管轄財務局の選択を間違えないように注意が必要です。

届出のポイント

⚠  適格機関投資家届出には有効期間があり、「届出を行った月の翌々月の初日から」有効になり、当該日から「2年間」有効になります。
適切に有効期間管理をしないと、気づいたら「適格機関投資家届出が失効していた」ということになりかねません。

 ※特に、適格機関投資家届出が失効したことにより、「適格機関投資家不在の適格機関投資家等特例業務届出ファンド」が発生しないよう、注意が必要です。

⚠  有効期間経過後も、適格機関投資家としての立場を有効に継続したい場合は、必要な要件を満たした上で、改めて適格機関投資家届出を行う必要があります。(適格機関投資家届出に、「更新」手続きは存在しません)

⚠  適格機関投資家届出後に一定の変更が生じた場合は、遅滞なく、管轄財務局へ変更手続きを行う必要があります。変更届出時も、新規届出時と同様、官報公告が掲載される形になります。

(参考)変更届が必要な事項:
・商号又は名称   
・代表者の役職名及び氏名
・本店又は主たる事務所の所在地 等

Q1.適格機関投資家届出後、要件を満たさなくなった場合はどうなりますか?

A.基本的に、「適格機関投資家に該当する期間」中は、適格機関投資家として取り扱われることとなります。

金融庁パブリックコメントにおいても、「適格機関投資家として官報に公告された法人については、有価証券残高が10億円未満となった場合でも、公告された「適格機関投資家に該当する期間」中は、適格機関投資家として取り扱われる」旨が記載されています。

Q2.適格機関投資家届出の「一定の要件」を満たしていることはどうやって証明しますか?届出時に、根拠となる添付書類の提出が必要ですか?

A.基本的には、自己申告制です。一部の例外を除き、根拠となる添付書類の提出は不要です。

例えば、「有価証券残高要件」で適格機関投資家届出を提出する場合、届出時点で、当該残高が要件ギリギリの場合や資産内容に疑義がある場合等は、根拠資料の追加提出を求められる場合があります。

Q3.適格機関投資家の「有価証券残高要件」の基準として「直近日」とありますが、この「直近日」の考え方は?

A.適格機関投資家の「有価証券残高要件」の基準にある「直近日」は、「(届出時に)確認することができる最新の有価証券残高」となります。

金融庁パブリックコメントをふまえると、例えば、法人の場合は「その直近の事業年度末日における貸借対照表」、個人の場合は「金融商品取引業者等が発行する最新の取引残高報告書等」に基づき、個別に確認・判断することとなります。

Q4.個人でも、適格機関投資家届出を出せますか?

A.個人でも、必要な要件を満たせば、適格機関投資家届出を行うことが可能です。

適格機関投資家の範囲は、金商定義府令(金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令)第10条に列挙されています。
個人が対象になる選択肢としては、例えば、同法同条第1項第24号があり、「有価証券取引等口座開設後1年経過し、かつ、保有有価証券残高10億円以上の個人」は、適格機関投資家届出の対象になります。

Q5.日本非居住の外国法人でも、適格機関投資家届出を出せますか?

A.日本非居住の外国法人でも、必要な要件を満たせば、適格機関投資家届出を行うことが可能です。

適格機関投資家の範囲は、金商定義府令(金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令)第10条に列挙されていますが、日本非居住の外国法人を想定した選択肢が複数挙げられています。
手続的な相違点としては、日本非居住者が適格機関投資家届出をする場合、通常日本での連絡窓口となる方として代理人の設置が必要となり、届出時に、当該代理人への代理権限が確認できる「委任状」の添付が必要となります。

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