児童発達支援認可

児童発達支援申請人的要件

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児童発達支援の認可には、多くの要件をクリアする必要があります。
しかし、要件が多すぎてよくわからないという方も多いと思います。

これから始める事業者の方もどんな要件があるのか、説明できる方は少ないです。
そこで今回は、児童発達支援の申請要件について人的基準に絞って解説します。

サポート行政書士法人は、年間100件の障害福祉サービスに関する相談を受けています。
その中で培ったノウハウを皆さんに公開します。

本ページは、これから児童発達支援で開業する事業者又は検討されている事業者向けに要件を詳細に記載しています。
東京都を事例に事前準備から申請の流れ、難しい人員配置についてを網羅しています。
本ページを確認すれば、児童発達支援の開業までに必要な人的要件を把握する事が出来ます。

児童発達支援の要件は人の配置が最も重要になります。
しっかりとこのページで把握しておきましょう。

前提の話 児童発達支援とは

小学校就学前の6歳までの障害のある子どもに対し、児童発達支援センター等の施設に通わせ、日常生活における基本的な動作や知識・技能の指導、保育園や幼稚園の様に集団生活へ適応させる場を提供することを目的とした施設です。

児童発達支援の種類

・児童発達支援事業所

障がいのある未就学児が、お住まいの近隣地域にて発達支援を受けられる施設となります。
障害を持つ未就学児の支援のほか、その障害を持つ未就学児のご家族に対しても支援を行っています。
また、児童発達支援事業所では、できる限り身近な地域に多く設置することを目指しており、
事業所数の拡大を図るという狙いも持った施設となります。

・児童発達支援センター

児童発達支援センターは、各地域での児童発達支援の中核的な役割を担っています。
児童発達支援センターを「市役所」と例えると、児童発達支援事業所は「支所」と捉えることができ、
児童発達支援事業所と違って規模感はかなり大きく、実施されるサービスもより豊富になります。

1回「障害児通所支援の在り方に関する検討会(オンライン開催)」 資料4より抜粋

事前準備

 児童発達支援指定を受けるに当たり、以下の点について事前準備しておきましょう。


1法人格が必要です。
 個人事業主として指定を受ける事はできません。予め、法人格を取得する必要があります。
 
2定款及び登記簿謄本の目的欄に、申請を行う事業についての記載が必要です。
 児童発達支援事業を行う際には、定款及び謄本の事業目的欄に、「児童福祉法に基づく障害児通所支援事業」の表記が必要です。
 上記の表記を行う事で、居宅訪問型児童発達支援、児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援の5つの事業をまとめて記載している事になります。
 
3事業所を運営するには、初期費用・運営資金が必要です。
 給付費はサービスを行った月の翌々月に振り込まれます。
 これから法人を立ち上げるという事業者の方は、法人及び事業所立ち上げにかかる費用
(登記手続き、事務所賃借費、工事費、備品の購入等)、運転資金(2~3ヶ月分の従業員の人件費、賃貸料、消耗品費等)が必要になります。
 

児童発達支援指定までの流れ(東京都を事例に)

東京都が実施する「障害児通所支援事業所指定協議説明会」に参加し、出席する。

 指定を受ける4ヶ月~半年前を目安に年に三回程度実施される説明会に参加する必要があります。例)東京都の場合は、4月、8月、12月の三回実施されます。8月、9月、10月、11月の1日に指定を希望する場合、4月の説明会に出席します。
 
説明会出席後、指定希望月の4ヶ月前までに、区市町村へ相談の上、調査票に必要事項を記入し、区市町村へ提出した後、東京都に送付する。その上で、東京都庁にて事前相談を行う。
事前調査票に記載がない場合、また不十分な場合等ヒアリングが出来ない場合は、事前相談が断られる場合があります。また東京都庁へ訪問する場合は、事前に電話で予約を入れる必要があります。
 
物件や人員が要件を満たしているか、東京都に確認を取る。
 賃貸物件の場合、必ず賃貸契約前に図面等の相談をするようにしましょう。賃貸契約を結んでから要件が足りないという事にならない様にしておく必要があります。
 
指定希望月の前々月までに、申請書類を提出
 物件の工事が発生する場合、指定希望月の前々月までに終わらせておく必要があります。
また、申請書類の提出の際には、管理者と児童発達支援管理責任者の面接も行いますので、同席させる必要があります。
 
指定希望月の前月に、自治体による現地確認
 設備に関する要件や消防法、建築基準法に遵守しているかを確認されます。現地確認の際にも管理者と児童発達支援管理責任者等の立会いが必要になりますので、予定を開けておく等しておきましょう。
 
問題が無ければ、指定希望月1日付けで指定。
 
まとめると、以下の様になります。
 

 

日程

手続き

4月、8月、12月の指定された日

「指定協議説明会」に参加

指定希望4ヶ月前

事前調査票提出

事前調査票提出後~指定前々月

指定前相談、面接、申請書類確認

指定前々月末日まで

申請書類の最終提出

指定前月

現地確認

指定日(指定月1日)

事業開始

以上を踏まえた上で、本ページのメインである人的要件についてみていきましょう。

児童発達支援の基準について

児童発達支援の人員基準

人員基準で必要になる職種は以下の三つです。
①管理者
②児童発達支援管理責任者
③従業者、児童指導員又は保育士

 ①管理者

・事業所ごとに配置されている必要があります。
・指定を受ける事業所の管理業務を専業にする者である事。
 (但し、管理運営上支障がない場合は、同事務所の他の職務や同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができます。)
 

 ②児童発達支援管理責任者

・事業所ごとに1人以上配置
・一人以上は常勤かつ専任であること。
※常勤の従業者が従事する時間数(32時間以上)に達していること
〇児童発達支援管理責任者の要件は、実務経験に加え、研修受講していることが条件です。
 

・研修を受ければ必ず児童発達支援管理責任者になれるものではありません。
実務経験を満たしかつ研修を受講する事が条件になります。

・実務経験年数は、直接支援業務で8年又は相談支援業務で5年以上が必要であり、かつ障害児、児童、障害者に対する相談支援または直接支援が3年以上必要です。
特定の有資格者の場合は実務経験年数が短縮される場合があります。
 
児童発達支援管理責任者の実務経験を表にまとめたものが以下になります。
 

 

1

次の①から⑦に記載する者が、相談支援の業務に従事した期間

業務内容

地域生活支援事業の従事者

障害児相談支援事業の従事者

身体障害者相談支援事業の従事者

知的障碍者相談支援事業の従事者

児童相談所の従業者

児童家庭支援センターの従業者

身体障害者更生相談所の従業者

精神障害者社会復帰施設の従業者

知的障害者更生相談所の従業者

福祉に関する事務所の従業者

発達障害者支援センターの従業者

障害児入所施設

乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設

障害者支援施設

老人福祉施設の従業者

精神保健福祉センターの従業者

救護施設及び更生施設の従業者

介護老人保健施設及び介護医療院の従業者

地域包括支援センターの従業者

障害者職業センターの従事者

障害者就業・生活支援センターの従事者

学校教育法第一条に規定する学校(大学を除く)その他これらに準ずる機関の従事者

病院若しくは診療所の従事者(社会福祉主事任用資格者等【注1】並びに第6に掲げる資格を有している者、第1の①から⑤に掲げる従事者及び従業者の期間が1年以上の者に限る。)

その他これらの者に準ずると都道府県知事が認めた者

 

次の①から⑥に記載する者で社会福祉主事任用資格者等、児童指導員任用資格者等並びに精神障害者社会復帰指導員任用資格者が、直接支援の業務※を行い、並びにその訓練等を行う者に対して訓練等に関する指導を行う業務その他職業訓練又は職業教育に係る業務に従事した期間

業務内容

障害児入所施設、乳児院、児童家庭支援センター、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、障害者支援施設、老人福祉施設、介護老人保健施設及び介護医療院の従業者

助産施設、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設の従業者

療養病床関係病室の従業者

障害児通所支援事業の従業者

児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、小規模住居型児童養育事業、家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業、病児保育事業、子育て援助活動支援事業

障害福祉サービス事業の従事者

老人居宅介護等事業の従事者

病院若しくは診療所又は薬局の従事者

訪問看護事業所の従業者

特例子会社の従業者

助成金受給事業所の従業者

学校その他これに準ずる機関の従業者

その他これらの者に準ずると都道府県知事が認めた者

 

老人福祉施設、救護施設、更生施設、介護老人保健施設、介護医療院、地域包括支援センターその他これらに準ずる施設の従業者又はこれに準ずる者が、相談支援の業務その他これに準ずる業務に従事した期間及び老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、療養病床関係病室その他これらに準ずる施設の従業者、老人居宅介護等事業その他これに準ずる事業の従業者又は特例子会社、助成金受給事業所その他これらに準ずる施設の従業者であって、社会福祉主事任用資格者等、児童指導員任用資格者等又は精神障害者社会復帰施設指導員任用資格者である者が、直接支援の業務に従事した期間を合算した期間

 

第2①から⑥に掲げる者であって、社会福祉主事任用資格者等、児童指導員任用資格者等又は精神障害者社会復帰施設指導員任用資格者でない者が、直接支援の業務に従事した期間

 

老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、療養病床関係病室のその他これらに準ずる施設の従業者、老人居宅介護等事業その他これに準ずる事業の従業者又は特例子会社、助成金受給事業所その他これらに準ずる施設の従業者であって、社会福祉主事任用資格者等、児童指導員任用資格者等又は精神障害者社会復帰施設指導員任用資格者でない者が、直接支援の業務に従事した期間を合算した期間

 

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士又は精神保健福祉士が、その資格に基づき当該資格に係る業務に従事した期間

※直接支援の業務とは身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者又は児童福祉法第四条第一項に規定する児童につき、入浴、排せつ、食事その他の介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行う業務又は日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、生活能力の向上のために必要な訓練その他の支援を指します。


 児童指導員又は保育士
・児童指導員又は保育士とは、障害児に適切な指導を行う能力がある者を指します。
・1人以上は常勤であり、利用者である障害児が10人までは2
 障害児の数が10人を超える場合は、5人増えるごとに1人ずつ増やす必要があります。
 例)障害児の数が10人までの場合、児童指導員等の数は2
   障害児の数が11~15人までの場合、児童指導員等の数は3
   障害児の数が16~20人までの場合、児童指導員等の数は4
   障害児の数が21~25人までの場合、児童指導員等の数は5

・機能訓練担当職員や医療的ケアを実施する事業所については看護職員を基準人員の合計に含められます。
ただし、基準人員の半数以上は児童指導員又は保育士である必要があります。

ここで言葉の定義の説明です。

〇児童指導員とは
 児童福祉施設職員養成学校を卒業したもの、社会福祉士、精神保健福祉士、小・中・高校の教諭となる資格を有するもの、学校教育法規定の大学または大学院で社会福祉学・心理学・教育学・社会学のいずれかに関する学部・研究科・学科・専攻を卒業したもの、2年又は3年以上児童福祉事業に従事したもの
 
〇機能訓練担当職員とは
 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理指導担当職員※を指す。
※心理指導担当職員とは大学の学部で心理学を専修する学科若しくはこれに相当する課程を修めて卒業した者であって、公認心理士、臨床心理士又は臨床発達心理士の資格を有する者
 
〇看護職員とは
 保健師、助産師、看護師、准看護師を指す。
 

 〇児童指導員となる要件について
児童指導員になるには、以下のいずれかに該当する人でなくてはいけません。
一 都道府県知事の指定する児童福祉施設の職員を養成する学校そのほかの養成施設を卒業したもの
二 社会福祉士の資格を有する者
三 精神保健福祉士の資格を有する者
四 学校教育法の規定による大学において、社会福祉学、心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者
五 学校教育法の規定による大学において、社会福祉学、心理学、教育学又は社会学に関する科目の単位を優秀な成績で修得したことにより、大学院への入学を認められた者
六 学校教育法の規定による大学院において、社会福祉学、心理学、教育学若しくは社会学を専攻する研究科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者
七 外国の大学において、社会福祉学、心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者
八 学校教育法 の規定による高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者、同法第九十条第二項の規定により大学への入学を認められた者若しくは通常の課程による十二年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。)又は文部科学大臣がこれと同等以上の資格を有すると認定した者であって、二年以上児童福祉事業に従事したもの
九 教育職員免許法に規定する幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中等教育学校の教諭の免許状を有する者であって、都道府県知事が適当と認めたもの
十 三年以上児童福祉事業に従事した者であって、都道府県知事が適当と認めたもの

児童発達支援等の単位について把握しましょう。

児童指導員等は10人に対して2人ずつ必要になります。

例えば、10時―15時の間で、20人の利用者を相手にする場合は、10人を1単位としてカウントすると合計4人の児童指導員等が必要になります。
しかし、同じ20人を相手にする場合でも、10時-12時で10人、13時―15時で10人の場合は、対応する児童指導員等は最低2人の職員の配置で構いません。
このことを知っておくと、開業する時の必要スタッフの考え方がはっきりします。

〇単位を把握した上で利用定員について考える。

指定児童発達支援事業所の利用定員は10人以上とされています。
また指定児童発達支援事業所は、次の各号に関して、運営規程で定めておく必要があります。




一 事業の目的及び運営の方針
二 従業者の職種、員数及び職務の内容
三 営業日及び営業時間
四 利用定員
五 指定児童発達支援の内容並びに通所給付決定保護者から受領する費用の種類及びその額

 

1 午前クラスと午後クラスに時間帯を分けて実施する場合
午前クラス 定員5名 + 午後クラス 定員10名 ⇒1日の利用定員合計15
↑単位ごとの定員     ↑単位ごとの定員     ↑事業所の定員
 

2 同時間帯に2クラスで実施する場合
Aクラス 定員5名 + Bクラス 定員5名 ⇒1日の利用定員合計10
↑単位ごとの定員    ↑単位ごとの定員   ↑事業所の定員

人員配置の具体例

人員配置(重度心身障害)の場合

最後に重度心身障害を抱える障害者を利用者とする場合の人員配置を見ておきましょう。

1 管理者
・事業所ごとに配置
・指定に係る事業所の管理業務に従事する者であること。
・指定を受ける事業所の管理業務を専業にする者である事。
 (但し、管理運営上支障がない場合は、同事務所の他の職務や同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができます。)

2 児童発達支援管理責任者
1人以上配置
3看護職員
1人以上配置

4児童指導員又は保育士
1人以上配置

5機能訓練担当職員
・必要な時間数配置

6嘱託医
1人以上配置 

最低利用定員について
主に重度心身障害にサービス提供する事業所の指定を受ける際の事業所の最低定員は、
児童発達支援のみ…5
放課後等デイサービスのみ…5
児童発達支援と放課後等デイサービス(多機能型)…5名 となります。

まとめ

本ページをまとめると、以下になります。
1法人格など事前準備する事項は指定を受ける半年前を目安に準備しておく
2人員配置は利用者数によって人数が変わる。特に児童発達支援管理責任者と児童指導員
 等の人数は変動するので、自分の事業に合わせて整える。

特に重要になるのは人員配置です。
特に児童発達支援管理責任者に該当する人物は文中でも述べた通り限られた方になります。
どの程度の人件費がかかるかも踏まえた上で準備するのが望ましいですね。
本ページは東京都の作成する「児童発達支援事業・放課後等デイサービス事業の基準について」を基に作成しています。
細かい要件が異なる場合がございますので、詳しい要件については、各自治体の要綱をきちんと確認することを推奨します。
サポート行政書士法人では初回相談が無料。
これから児童発達支援事業を始める皆さんに以下のサービスを提供しています。

①事業所の選定
事業所の要件をクリアする事業所の選定をフォローします。

②現場を訪問して、事業所のレイアウトをアドバイス
工事が開始される前に、事業所の要件をクリアする為のレイアウト作成を訪問してアドバイスします。

③社内体制の構築をフォロー
事業所の要件と共に重要になってくるのが、人的要件の構築です。弊社では、人的要件のクリアまでフォローします。

④業務上でやっていくべき事をレクチャー
独立開業や新規事業の立ち上げという名目で開業される皆様も多いと思います。そうなると社内で詳しい方がおらず、業務イメージが着きませんよね。弊社では、起業後のスムーズな業務開始の為に業務レクチャーを行っています。勿論社内で共有しなくてはいけない事もレクチャーしますので、安心して準備を進める事が出来ます。

ホームページを御覧になって、「相談したい」という方や「もっと詳しく知りたい」という方は是非問い合わせください!