児童発達支援認可

児童発達支援の報酬体系

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児童発達支援事業を開業する上での難関が、収支予算書の作成です。

福祉事業の売上は、給付費が主になるので「いつから給付費が入るのか」、「初期投資・運転資金がどれくらいか」を把握していないと融資計画も立てづらいと思います。


弊社は、年間約100件の児童発達支援に関する相談を受けています。

その中で自治体の収支計画に関するヒアリングをクリアできず、本申請に中々進めないという業者を多く見てきました。

そこで、今回は行政書士事務所の観点から見た児童発達支援の収支の仕組みを説明します。


具体的には、


〇福祉事業の報酬と売り上げの基本的な仕組み

〇児童発達支援事業の給付費の仕組み

〇児童発達支援事業所で更なる売上を獲得する方法


の順番に重要なポイントを解説します。


このページを読めば、児童発達支援のキャッシュフローの仕組みだけでなく、売上を獲得する方法まで理解いただけます。ぜひ収支計画作成の参考にしてください。


福祉事業の報酬と売上の基本的な仕組み

児童福祉事業では 利用料の10%を利用者負担とし、残りの90%は児童福祉法に基づいた障害児通所給付金として事業者に支払われます。

毎月利用者ごとに報酬加算・減算を加味した総利用額を計算し、その金額を利用者負担分(1割)と国保連負担分(9割)にわけ、それぞれに請求します。

つまり利用者が支払う利用料+国保連からの入金が、売上となります。


総利用額の内訳

①給付費  : 利用料のこと。1回あたりの金額が決められている

②報酬加算 : 条件を満たしていればプラスして請求ができる

③報酬減算 : 基準に満たないと減算をされる


①の計算方法は、以下の通りです

総利用額合計=基本給付単位×定員×開所日×地域等級単価

そのうち、利用者への請求額(1割)、国保連への請求額(9割)となります。


この給付金が事業者に振り込まれるのは、利用からおよそ2か月後になります。

児童発達支援事業の給付費の仕組み

具体的に児童発達支援事業の場合で①給付費を計算してみましょう。


児童発達支援事業には、基本的な区分がいくつかあります。

その中で最もミニマムな運営体系である


“児童発達支援事業(障害児(重症心身障害児を除く)の場合)”で“未就学児を対象とした運営形態”


と仮定して、試算してみようと思います。


*ある月の給付費算出の例*

例:定員10名の児童発達支援事業所が、20日開所し児童を受け入れた場合

 

→827単位(基本給付)×10人(定員)×20日(開所日)×10円(地域等級単価)

 =1,654,000円/月


 

利用者への請求額(1割):165,400円

 

国保連への請求額(9割):14,886,000円


以上が、基本的な売上となります。


おやつ代などの実費については、1割の負担分や上限額とは別に利用者に請求します。

総利用料の9割と利用者負担の上限額を超えた金額は、公費での負担分として、国保連(国民健康保険団体連合会)に請求します。

請求から支払いまでの流れについては後ほど詳しく解説します。

報酬額が支払われるまでの流れ

先ほど解説したように、報酬額のほとんどが公費によってまかなわれています。

公費による報酬はどのように申請するのか、報酬が支払われるまでの流れを解説します。


1.総利用額を計算する

利用実績の記録をもとに、加算・減算を加味した、利用者ごとの1か月分の総利用額を月末締めで計算します。


2.利用者負担上限額管理結果票の提出または受け取り

事業所で上限管理を行わない場合は、サービス提供月の翌月3日くらいまでに「利用者負担額一覧表」を作成し、上限額管理事業所に提出します。


上限額管理事業所は、受け取った「利用者負担額一覧表」をもとに「利用者負担上限額管理結果票」を作成し、サービス提供月の翌6日までに関係施設に提出します。


3.国民健康保険団体連合会に請求する

サービス提供月の翌月10日までに国民健康保険団体連合会(国保連)に「障害児通所給付費・入所給付費等請求書・明細書」と「サービス提供実績記録票」、上限管理をする利用者がいる場合は「利用者負担上限額管理結果票」を提出します。提出は原則、国保連が提供する「簡易入力システム」または「取込送信システム」を利用してインターネットで行います。


4.支払いを受ける

サービス提供月の翌々月の中旬から下旬に報酬が支払われます。

報酬を得るにあたって注意すべきポイント

ここまで、報酬の算出方法や仕組みについて解説してきました。報酬のほとんどが公費でまかなわれたり単価が定められていたりするなど、他の業種とは異なる点が多くあります。そこで、児童発達支援事業所の開業や運営にあたって注意すべきポイントについて解説します。


1.請求してから報酬の受け取りまでに1か月半かかる


先ほど解説した通り、国保連に報酬を請求してから実際に受け取るまでには1か月半程度かかります。開業したばかりの頃は利用者が十分に集まらない場合も考えられるため、余裕を持った資金計画を立てることが大切です。


2.計算が複雑で手間がかかる

請求業務は定められた期限内に複雑な計算や書類の作成をしなければなりません。管理者や児発管と兼任しながら請求業務を行うこともあるかと思いますが、請求業務が負担となり、サービスの質が低下してしまっては本末転倒です。また、国保連への申請期限である毎月10日を過ぎてしまうと、翌月に請求することになり、入金が遅れてしまいます。請求業務を効率化し日々のサービスの質を向上するために、計算ソフトを導入したり、事務スタッフを採用したりするのも選択肢の1つです。


3.加算や減算で報酬が変動する

放課後等デイサービスの報酬体系では、加算を取得することで報酬額も大きく変動します。減算とならないように人員を配置したり、日々の業務を確実に行ったりすることはもちろん、加算を意識したサービス内容の検討や人事採用を行うことも大切です。

児童発達支援事業所で更なる売上を獲得する方法

上記にプラスして、条件を満たしていればプラスして請求ができる報酬加算というものあります。

加算しやすいものを一例としてご紹介します。


○食事提供加算        30単位~40単位/一日につき

○福祉専門職員配置等加算   6~15単位/一日につき

○欠員時対応加算(月4回上限)94単位/一回につき

○送迎加算          37単位~54単位/片道につき

○福祉・介護職員処遇改善加算                等

令和3年度児童発達支援 基本単価・主要加算の一覧

主な単価、加算は以下の通りです。


児童発達支援給付費(1日につき)

①児童発達支援センターにおいて障害児に対し指定児童発達支援を行う場合

⑴ 医療的ケア区分3

㈠ 利用定員が30人以下の場合 3,086単位

㈡ 利用定員が31人以上40人以下の場合 3,005単位

㈢ 利用定員が41人以上50人以下の場合 2,930単位

㈣ 利用定員が51人以上60人以下の場合 2,859単位

㈤ 利用定員が61人以上70人以下の場合 2,830単位

㈥ 利用定員が71人以上80人以下の場合 2,804単位

㈦ 利用定員が81人以上の場合 2,778単位

 

⑵ 医療的ケア区分2

㈠ 利用定員が30人以下の場合 2,086単位

㈡ 利用定員が31人以上40人以下の場合 2,005単位

㈢ 利用定員が41人以上50人以下の場合 1,930単位

㈣ 利用定員が51人以上60人以下の場合 1,859単位

㈤ 利用定員が61人以上70人以下の場合 1,830単位

㈥ 利用定員が71人以上80人以下の場合 1,804単位

㈦ 利用定員が81人以上の場合 1,778単位

 

⑶ 医療的ケア区分1

㈠ 利用定員が30人以下の場合 1,753単位

㈡ 利用定員が31人以上40人以下の場合 1,672単位

㈢ 利用定員が41人以上50人以下の場合 1,597単位

㈣ 利用定員が51人以上60人以下の場合 1,526単位

㈤ 利用定員が61人以上70人以下の場合 1,497単位

㈥ 利用定員が71人以上80人以下の場合 1,471単位

㈦ 利用定員が81人以上の場合 1,445単位

 

⑷ ⑴から⑶までに該当しない障害児について算定する場合

㈠ 利用定員が30人以下の場合 1,086単位

㈡ 利用定員が31人以上40人以下の場合 1,005単位

㈢ 利用定員が41人以上50人以下の場合 930単位

㈣ 利用定員が51人以上60人以下の場合 859単位

㈤ 利用定員が61人以上70人以下の場合 830単位

㈥ 利用定員が71人以上80人以下の場合 804単位

㈦ 利用定員が81人以上の場合 778単位

 

②児童発達支援センターにおいて難聴児に対し指定児童発達支援を行う場合

⑴ 医療的ケア区分3

㈠ 利用定員が20人以下の場合 3,384単位

㈡ 利用定員が21人以上30人以下の場合 3,191単位

㈢ 利用定員が31人以上40人以下の場合 3,075単位

㈣ 利用定員が41人以上の場合 2,975単位

 

⑵ 医療的ケア区分2

㈠ 利用定員が20人以下の場合 2,384単位

㈡ 利用定員が21人以上30人以下の場合 2,191単位

㈢ 利用定員が31人以上40人以下の場合 2,075単位

㈣ 利用定員が41人以上の場合 1,975単位

 

⑶ 医療的ケア区分1

㈠ 利用定員が20人以下の場合 2,051単位

㈡ 利用定員が21人以上30人以下の場合 1,858単位

㈢ 利用定員が31人以上40人以下の場合 1,742単位

㈣ 利用定員が41人以上の場合 1,642単位

 

⑷ ⑴から⑶までに該当しない障害児について算定する場合

㈠ 利用定員が20人以下の場合 1,384単位

㈡ 利用定員が21人以上30人以下の場合 1,191単位

㈢ 利用定員が31人以上40人以下の場合 1,075単位

㈣ 利用定員が41人以上の場合 975単位

 

③児童発達支援センターにおいて重症心身障害児(法第7条第2項に規定する重症心身障害児をいう。以下同じ。)に対し指定児童発達支援を行う場合

⑴ 利用定員が15人以下の場合 1,331単位

⑵ 利用定員が16人以上20人以下の場合 1,040単位

⑶ 利用定員が21人以上の場合 924単位

 

④法第6条の2の2第2項に規定する厚生労働省令で定める施設(児童発達支援センターであるものを除く。以下同じ。)において障害児に対し指定児童発達支援を行う場合(ホに該当する場合を除く。)

 

⑴ 主に小学校就学前の障害児(以下「未就学児」という。)に対し指定児童発達支援を行う場合

㈠ 医療的ケア区分3

a 利用定員が10人以下の場合 2,885単位

b 利用定員が11人以上20人以下の場合 2,613単位

c 利用定員が21人以上の場合 2,486単位

 

㈡ 医療的ケア区分2

a 利用定員が10人以下の場合 1,885単位

b 利用定員が11人以上20人以下の場合 1,613単位

c 利用定員が21人以上の場合 1,486単位

 

㈢ 医療的ケア区分1

a 利用定員が10人以下の場合 1,552単位

b 利用定員が11人以上20人以下の場合 1,280単位

c 利用定員が21人以上の場合 1,153単位

 

㈣ ㈠から㈢までに該当しない障害児について算定する場合

a 利用定員が10人以下の場合 885単位

b 利用定員が11人以上20人以下の場合 613単位

c 利用定員が21人以上の場合 486単位

 

⑵ ⑴以外の場合

㈠ 医療的ケア区分3

a 利用定員が10人以下の場合 2,754単位

b 利用定員が11人以上20人以下の場合 2,513単位

c 利用定員が21人以上の場合 2,404単位

㈡ 医療的ケア区分2

a 利用定員が10人以下の場合 1,754単位

b 利用定員が11人以上20人以下の場合 1,513単位

c 利用定員が21人以上の場合 1,404単位

㈢ 医療的ケア区分1

a 利用定員が10人以下の場合 1,421単位

b 利用定員が11人以上20人以下の場合 1,180単位

c 利用定員が21人以上の場合 1,071単位

㈣ ㈠から㈢までに該当しない障害児について算定する場合

a 利用定員が10人以下の場合 754単位

b 利用定員が11人以上20人以下の場合 513単位

c 利用定員が21人以上の場合 404単位

 

⑤法第6条の2の2第2項に規定する厚生労働省令で定める施設において重症心身障害児に対し指定児童発達支援を行う場合

 

⑴ 利用定員が5人の場合 2,098単位

⑵ 利用定員が6人の場合 1,757単位

⑶ 利用定員が7人の場合 1,511単位

⑷ 利用定員が8人の場合 1,326単位

⑸ 利用定員が9人の場合 1,184単位

⑹ 利用定員が10人の場合 1,069単位

⑺ 利用定員が11人以上の場合 837単位

 

⑥共生型児童発達支援給付費 591単位

 

⑦基準該当児童発達支援給付費

⑴ 基準該当児童発達支援給付費(Ⅰ) 701単位

⑵ 基準該当児童発達支援給付費(Ⅱ) 591単位

 

 

 

★指定児童発達支援の単位(主として難聴児を通わせる児童発達支援センターに限る。)において、難聴児のうち人工内耳を装用している障害児に対して、指定児童発達支援を行った場合に、人工内耳装用児支援加算として、利用定員に応じ、1日につき次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。

 

①利用定員が20人以下の場合 603単位

②利用定員が21人以上30人以下の場合 531単位

③利用定員が31人以上40人以下の場合 488単位

④利用定員が41人以上の場合 445単位

 

家庭連携加算

イ 所要時間1時間未満の場合 187単位

ロ 所要時間1時間以上の場合 280単位

 

事業所内相談支援加算

イ 事業所内相談支援加算(Ⅰ) 100単位

ロ 事業所内相談支援加算(Ⅱ) 80単位

 

食事提供加算

イ 食事提供加算(Ⅰ) 30単位

ロ 食事提供加算(Ⅱ) 40単位

 

利用者負担上限額管理加算 150単位

福祉専門職員配置等加算

イ 福祉専門職員配置等加算(Ⅰ) 15単位

ロ 福祉専門職員配置等加算(Ⅱ) 10単位

ハ 福祉専門職員配置等加算(Ⅲ) 6単位

 

栄養士配置加算

イ 栄養士配置加算(Ⅰ)

(1) 利用定員が40人以下の場合 37単位

(2) 利用定員が41人以上50人以下の場合 30単位

(3) 利用定員が51人以上60人以下の場合 25単位

(4) 利用定員が61人以上70人以下の場合 21単位

(5) 利用定員が71人以上80人以下の場合 19単位

(6) 利用定員が81人以上の場合 16単位

 

ロ 栄養士配置加算(Ⅱ)

(1) 利用定員が40人以下の場合 20単位

(2) 利用定員が41人以上50人以下の場合 16単位

(3) 利用定員が51人以上60人以下の場合 13単位

(4) 利用定員が61人以上70人以下の場合 11単位

(5) 利用定員が71人以上80人以下の場合 10単位

(6) 利用定員が81人以上の場合 9単位

 

欠席時対応加算 94単位

特別支援加算 54単位

強度行動障害児支援加算 155単位

個別サポート加算

イ 個別サポート加算(Ⅰ) 100単位

ロ 個別サポート加算(Ⅱ) 125単位

医療連携体制加算

イ 医療連携体制加算(Ⅰ) 32単位

ロ 医療連携体制加算(Ⅱ) 63単位

ハ 医療連携体制加算(Ⅲ) 125単位

ニ 医療連携体制加算(Ⅳ)

⑴ 看護を受けた障害児が1人 800単位

⑵ 看護を受けた障害児が2人 500単位

⑶ 看護を受けた障害児が3人以上8人以下 400単位

ホ 医療連携体制加算(Ⅴ)

⑴ 看護を受けた障害児が1人 1,600単位

⑵ 看護を受けた障害児が2人 960単位

⑶ 看護を受けた障害児が3人以上8人以下 800単位

ヘ 医療連携体制加算(Ⅵ) 500単位

ト 医療連携体制加算(Ⅶ) 100単位

 

送迎加算

イ 障害児(重症心身障害児を除く。)に対して行う場合 54単位

ロ 重症心身障害児に対して行う場合 37単位

 

延長支援加算

イ 障害児(重症心身障害児を除く。)の場合

(1) 延長時間1時間未満の場合 61単位

(2) 延長時間1時間以上2時間未満の場合 92単位

(3) 延長時間2時間以上の場合 123単位

 

ロ 重症心身障害児の場合

(1) 延長時間1時間未満の場合 128単位

(2) 延長時間1時間以上2時間未満の場合 192単位

(3) 延長時間2時間以上の場合 256単位

 

関係機関連携加算

イ 関係機関連携加算(Ⅰ) 200単位

ロ 関係機関連携加算(Ⅱ) 200単位

 

保育・教育等移行支援加算 500単位

福祉・介護職員処遇改善加算

イ 福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ)

1から12の3までにより算定した単位数の1000分の81に相当する単位数

ロ 福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅱ)

1から12の3までにより算定した単位数の1000分の59に相当する単位数

ハ 福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅲ)

1から12の3までにより算定した単位数の1000分の33に相当する単位数

福祉・介護職員等特定処遇改善加算

イ 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)

1から12の3までにより算定した単位数の1000分の13に相当する単位数

ロ 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)

1から12の3までにより算定した単位数の1000分の10に相当する単位数

 

 

 

上記加算は、簡易的な要件を満たせば受給できるものと、手順書や運営指針等 あらかじめ計画を策定しなければもらえないものもあります。


ご予算や人員体制等のご状況を伺った上で、今請求すべき加算の提案や、加算を取るための書類作成等のお手伝いが可能です。

ぜひ運営後の法務担当としても、弊社に依頼いただければと思います。

まとめ

児童発達支援事業所を安定して運営するためにも、事業開始前の収支計画策定は重要です。

弊社では、事業開始前に最低でも2年分の収支計画を作成することをオススメしています。

計画をしっかりと作成し、開設後も安定してサービスが提供できる長期安定経営を実現しましょう。


弊社は初回相談無料です。

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