RCEP協定における仕向け国別の判定依頼について
投稿日:2025年9月22日
タイやベトナムなど複数の国に輸出している事業者にとって、RCEP協定の判定依頼・証明書発給の取り扱いは分かりにくい点のひとつです。
「国ごとに判定依頼が必要なのか」「どこまで共通で使えるのか」を理解しておくことで、手続きを効率化し、コスト削減にもつながります。
仕向け国別の原産品判定依頼申請手続きについて
同じ製品をタイ向けとベトナム向けに輸出する場合、判定依頼申請は1件で足りるケースが多いです。
ただし、特例もあるので注意が必要です。
輸出産品のHSコードが異なる
同一の輸出産でも国ごとにHSコードが異なるケースが多くあります。
HSコードが異なる場合は、別途、原産品判定依頼申請が必要となります。
まずは輸出産品のHSコードを輸入国側の税関へ確認ください。
税率差ルールがある場合の特例
RCEP協定では「税率差ルール」が設けられており、対象品目については仕向け国ごとに判定が分かれる場合があります。
例えば、一定のHSコードに対し、中国が税率差ルールを定めていた場合、当該産品についてRCEP協定において仕向国に応じ、2つの判定を取得しなければならない可能性があります。(「中国」向けと「その他」)。
・「中国」を選択し判定依頼をした場合:中国向けにのみ発給申請が可能
・「その他」を選択し判定依頼をした場合:税率差ルールを定めている国を除いた他の仕向国向けに発給申請が可能
そのため、輸出が決まった際に対象となる品目が税率差ルールの適用があるのか確認が必要です。
仕向け国別の発給申請手続きについて
特定原産地証明書は仕向け国ごとに必要となるため、発給申請は輸出国ごとに手続きが必要となります。
注意点としては下記です。
仕向け国の選択を正確に行う
特に税率差ルール適用品目では、仕向け国によって発給の可否が変わります。
判定依頼申請にて選択した仕向け国と発給申請時に選択する仕向け国が一致しているか確認が必要です。
税率逆転(Tariff Reversal)に注意
税率差ルール対象品目を中心に、協定税率より一般税率が低いケースが存在します。
発給申請をしたが、利用すると関税率が上がるため不要となることがあるので、
申請前に必ず対象仕向け国の関税率を確認しておく必要があります。
特定原産地証明書の取得支援はサポート行政書士法人へ
弊所では、EPA(経済連携協定)に基づく特定原産地証明書取得における原産品判定依頼及び発給申請手続きについて、以下のサポートを行っています。
・判定依頼申請の手続き支援
・HSコード(輸出品目)に基づく関税率・税率差ルールの確認、アドバイス
・各協定の活用提案
・複数国向け輸出に対応した効率的な証明書発給手続き提案
複数国向け輸出など複雑かつ煩雑な手続きを安心して行えるよう、実務面からしっかり支援いたします。
著者:石倉