RCEP原産地証明と関税優遇活用の実務ポイント
投稿日:2025年9月10日
RCEP(地域的な包括的経済連携協定)は、日本を含むアジア太平洋の15か国・地域間の自由貿易圏を構築し、関税削減や供給網統合を促進しています。日本にとっても、対RCEP諸国への輸出入における競争力強化に大きく寄与しています。
1. 申告制度のポイント
DO (Declaration of Origin)は、認定輸出者が自ら原産地を申告する方式で、迅速かつ簡便な手続きが可能です。その一方で、より安心感や信頼性を確保したい場合には、第三者認証制度を利用することも可能です。こちらは、日本商工会議所(JCCI)が原産地証明書を発行する方法で、貿易当事者以外の第三者による証明として、その真実性・法的信用を高める特徴があります。したがって、「安心して終えたい」というニーズがあれば、第三者認証制度の利用はおススメです。
2. RCEPにおける関税率
RCEPでは品目ごとに設定されたHSコードをもとに、原産品には協定で定められた優遇関税率が適用されます。さらに、RCEPを有効に活用すれば、品目によっては大幅な減税、あるいは完全な免税を享受できる可能性が高まります。例えば、桃ジャム(peach jam, HSコード2007.99)について、従来、日本とタイ間で最大30~34%の関税が課されていましたが、RCEPではこれがゼロになることで価格競争力が大幅に向上します。
なお、免税の対象でない品目でも、RCEP協定下では多くの品目に対して段階的な関税削減が設定されています。例えば、輸入品のほとんどが協定発効後一定期間内に関税が削減され、最終的に90%以上の関税区分(tariff lines)がゼロ関税になる見通しとされています。
3. 近年の制度改定(2023年以降)
HS2022への移行(2023年1月1日施行)
RCEP参加各国は、2023年1月1日から「原産地証明書(COO/DO)」に記載するHSコードを、HS2022を用いるよう統一しています。日本もこの対応が求められています。
過渡措置(HS2012併用の扱い)
旧基準(HS2012)で作成されたDOが2023年以降も提出された場合、原産地が明らかであれば、例外的に受理される場合がありますが、可能な限りHS2022で再作成することが推奨されます。
こうした制度改定への的確な対応には、各国の実務運用や例外規定を把握しながら、文書が適切に作成できる専門知識が不可欠です。弊社では、最新のHS改正やRCEP運用に即した原産地証明書の作成支援を行っており、書類作成から申請手続きまでのサポートを提供しています。
まとめ
RCEPの第三者制度は、日本企業が原産地証明を効率的に行ううえで、とても安心感が高い方法です。関税率適用の前提として、正確なHSコードの記載と「CTCまたはRVC40%」に基づく原産性の判断が必要です。制度をしっかり理解し、対応を確実に行うことで、スムーズなRCEP原産地申告と関税優遇の活用が可能になります。不明点やサポートが必要であれば、お気軽にご相談ください!