【運送会社向け】特定技能ビザ
更新日:2025年5月29日

更新日:2025年2月28日
2019年4月、日本政府は人手不足解消のため、一定の技能を持つ外国人を即戦力として受け入れる在留資格「特定技能」を創設しました。
当初対象は12分野のみでしたが、2024年3月に「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が追加されました。今回は、トラックドライバーとして外国籍人材を雇用可能な「自動車運送業」分野について解説いたします。
■「特定技能・自動車運送業」分野ではどのような業務を行うのか?
■外国人労働者にはどのような資格や条件が求められるのか?
■どの試験が必要なのか?
■採用時に企業はどのようなサポートを提供するべきか?
◆もくじ◆ [非表示]
- 1 特定技能「自動車運送業」とは
- 2 自動車運送業の申請要件
- 3 自動車運送業分野特定技能1号評価試験について
- 4 日本語試験について
- 5 運転免許の取得方法
- 6 採用までのフロー
- 7 特定技能外国人に対して行う支援
- 8 採用で注意すること
1 特定技能「自動車運送業」とは
自動車運送業界では、長時間労働と高齢化が進んでおり、人手不足が深刻です。特に、EC需要の増加により物流業界の労働力不足が悪化しています。これを受け、在留資格「特定技能」により、トラック運送業、タクシー運送業、バス運送業で外国人労働者の受け入れが始まりました。なお、雇用形態はフルタイムの直接雇用のみで、派遣は認められません。
【従事可能な業務】
◆ 事業用自動車の運転
◆ 上記に付随する業務全般

自動車運送業の申請要件
特定技能「自動車運送業」分野で外国人材を採用するためには、申請人(外国人本人)の要件と受入れ企業の要件の両方を満たす必要があります。
申請人(求職者)の要件
- 技能水準:従事する業務に必要な知識または技能を有していること
- 日本語能力:日本での生活に必要な日本語能力及び従事する業務に必要な日本語能力を有していること
受入企業の要件
- 道路運送法第2条第2項に規定する「自動車運送事業を経営する事業者」であること
- 「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」の認証を受けていること またまたは安全性優良事業所(Gマーク)を保有していること
- 日本標準産業分類「43道路旅客運送業」またまたは「44道路貨物運送業」のいずれかに該当すること
- 自動車運送業分野 特定技能協議会に加入すること
- 「新任運転者研修」を実施すること(タクシー・バスの場合)
※トラックについては、国土交通省告示により「初任運転者研修」の実施が求められます。
自動車運送業分野特定技能1号評価試験について
外国人が特定技能「自動車運送業」分野で働くためには、「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」に合格する必要があります。
この試験は、2024年12月4日から申請受付を開始。
試験の実施形式は2つの方法(出張方式・CBT方式)がありますが、先行して2024年12月16日から出張方式での試験が開始しました。
試験の概要は以下の通りです。
- ①自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)
- ② 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)
- ③自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)
日本語試験について
外国人が特定技能「自動車運送業」分野で働くためには、前述の通り、十分な日本語能力が求められます。日本での生活や業務上必要な日本語能力の確認のため、以下のいずれかの試験に合格する必要があります。
- ①日本語能力試験(JLPT)
- ② 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
運転免許の取得方法
特定技能1号(自動車運送業分野)を申請するために必要な日本の運転免許証と、業務を行うために必要な免許について見ていきます。日本の自動車運転免許を持っていない場合は、以下の方法で取得します。
- ①日本の自動車教習所で教習を受けて運転免許を取得する
- ② 日本の運転免許センターで外免切替手続きを行い日本の運転免許を取得する
採用までのフローについて
日本の運転免許証を持っている場合:
① | 採用検討の開始 |
② | 人材紹介会社・登録支援機関への相談 |
③ | 求人内容の確定 |
④ | 募集、選考、内定・雇用契約書締結 ※国籍により労働局の認証等も必要です。 |
⑤ | 協議会への加入 |
⑥ | 申請書類の準備、出入国在留管理局への申請(在留資格「特定技能1号」) |
⑦ | (海外在住の場合)本国で査証手続き |
⑧ | 入社 |
日本の運転免許証を持っていない場合:
上記の流れに加え、運転免許証取得手続きにも時間を要します。まずは在留資格「特定活動」で日本に入国してもらい、日本の運転免許証取得手続きや新任運転者研修を実施した後、在留資格を「特定技能1号」へ変更する手続き(在留資格変更許可申請)が可能です。
採用検討の開始から「特定技能1号」の在留資格を取得するまでは、通常6カ月以上かかりますので、人材紹介会社や登録支援機関の選定・相談は早めに行っておくと良いでしょう。
特定技能外国人に行う支援
受入れ企業は、特定技能外国人に対して、職業生活上、日常生活上または社会生活上の支援を実施する義務があります。
特定技能外国人に対して行う支援は、以下の通りです。
1.事前ガイダンスの実施
2.出入国送迎の支援
3.住宅確保のサポート、生活に必要な契約支援
4.生活オリエンテーションの実施
5.公的手続きなどへの同行
6.日本語学習機会の提供を支援
7.相談・苦情対応
8.日本人との交流促進
9.転職支援(受入れ側の都合で雇用契約を解除した場合)
10.定期的面談・行政機関への通報
採用で注意すべきこと
特定技能(自動車運送業分野)で外国人を採用する際には、受入れ企業に求められる基本的な要件に加えて、採用から業務開始までの所要時間やその間にかかる費用、運転免許証の取得要件や職場環境の整備など、多くの点に配慮しなければなりません。
例えば、海外で免許を持っていて外免切替をして日本の運転免許を取得する人と、日本に来日してから教習所に通って免許取得を目指す人では、就労できるようになるまでにかかる期間と費用が随分と違います。大型免許を取得する場合などはさらに時間がかかるでしょう。
ほかにも、外国人ドライバーが日本の運転文化に適応するためには、道路標識や交通ルール、運転マナーなどを理解させることも重要です。初めは理解が不十分な場合もありますので、受入れ企業としては、入社後も継続的に安全運転に関する研修や指導を行い、運転技術の向上やリスクマネジメントの意識を高める取り組みが不可欠です。
また、最初から大きな業務をさせるのではなく、中長距離ではなく近い場所から走らせる、簡単な業務から行うなどのステップアップを計画してあげるとよいでしょう。