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運輸安全マネジメント 内部監査の解説 4.内部監査の取組方法①

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サポート行政書士法人・物流チームの山田です。  

 

国土交通省が公表している「運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン」の内部監査の項目には、「事業者は、必要に応じ、社外の人材を活用し、内部監査を実施することができる。」と記載されています。

サポート行政書士法人は、運輸安全マネジメントの導入・運営の支援を得意としており、事業者にて行う内部監査サポートも行っております。

 

■内部監査をどのようにしたらいいかわからない

■内部監査をしたことにしていて、実際どのあたりに問題があるか把握できていない

■内部監査の要員が育っておらず、内部監査が効果的にできていない

 

このような事業者様はぜひご相談ください。

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4.内部監査の取組方法①

 

内部監査の実施体制

 

内部監査というのは、運送事業者が経営目標を効果的に達成することを目的として、法令遵守や業務の合理化の観点から、事業の遂行状況を検討・評価し、経営陣に対して報告、その是正や予防の措置を行うことになります。

 

したがって、内部監査は、法令遵守の観点からは各法規制の知識を要し、また業務の合理化の観点からは自社内の業務プロセスをよく理解しておかなければ意味のある効果的な内部監査はできません。。

 

内部監査を行う場合は、このような観点から内部監査の体制を決める必要があります。

 

国土交通省が提供する資料では、内部監査の実施体制として以下のような例が挙げられています。

 

(1)監査部や監査室など監査専門部署所属のメンバーで内部監査チームを構成

 

(2)安全担当部署のメンバーで内部監査チームを構成

 

(3)監査の都度、各部門から監査要員を選抜して臨時の内部監査チームを構成

 

(4)(1)(2)(3)に加え、経営トップや安全統括管理者の安全の取組状況は監査役による監査で確認

 

(5)社内に適当な人材がいない場合等には外部機関に監査を委託

 

内部監査の趣旨はよく理解していても、実際内部監査をしようとしたら、適当なメンバーがいないというのはよく聞く話です。日常の業務でも最低限の人数でまわしているのに、1年に1回の内部監査のために人員を確保するのは難しいというのが現場の正直な意見だと思います。

 

内部監査を担当するように指名された担当者からすると、いつも一緒に仕事をしている同僚に対して厳しい意見をする必要があったり、経営陣に対しても指摘することも必要になってくるので、心理的にも非常に荷が重い仕事です。

 

もし、自分が担当した内部監査で法令上の問題点を発見することができず、それが原因で事業停止などの行政処分となってしまったらと不安になる担当者もいるようです。

 

 

しかし、運輸安全マネジメントを導入する運送事業者にとって、内部監査というのは、法令遵守や業務効率化の最後の砦といえます。

 

内部監査の良し悪しは、内部監査要員の力量・資質に委ねられるといっても過言ではありません。

 

運送事業者は、内部監査を行う担当者に各法令の知識や内部監査の手法などを理解させる必要もあり、長期的に育成していくことも必要になってきます。

 

また、国交省の資料にもあるように、外部機関への内部監査を委託するというのも、内部監査を効率的に実施するよい方法といえます。

 

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※外部機関に監査を委託する場合の注意点

 

①外部機関に監査を委託する場合であっても、あくまで、その実施主体・責任は監査を受ける事業者側にあります。

 

②①のことから、外部機関に監査業務を全て任せるのではなく、監査の計画から完了までに至る一連の作業の中で、監査の客観性を確保しつつ、適宜、事業者側から必要な指示等を行うとともに、外部機関から報告・連絡を受けるよう努める必要があります。

 

③外部機関による監査ではありますが、事業者で決めた内部監査の手順に従って監査を行うとともに、監査を行う要員については内部監査要員の要件を満たす必要があります。

 

④内部監査では、必要に応じ、監査の過程で知り得た機密情報(個人情報など)を守秘することについて、外部機関から誓約を取り付ける必要があります。

 

⑤必要に応じ、事業者は、外部機関による監査の状況を監査現場で確認するとともに、外部機関による監査で指摘を受けた問題に対する是正・予防措置の実施状況を定期的に社内で把握・検証するなどして、外部機関の監査自体が自社の安全管理体制の構築・改善上、役立っているか否か評価・検証するとよいでしょう。

 

国土交通省資料「安全管理体制に係る「内部監査」の理解を深めるために」より

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運輸安全マネジメントとは、鉄道・自動車・海運・航空の運輸事業者が、経営トップから現場まで一丸となって、いわゆる「PDCAサイクル」の考え方を取り入れた形で安全管理体制を構築し、その継続的取組みを行うことと定義されています。

 

運輸局への手続きが必要な事業者は対象範囲がありますが、運輸安全マネジメントはすべての事業者にて実施が義務付けられています。

 

■平成25年10月1日から安全管理規程(運輸安全マネジメントマニュアル)の作成・届出が義務付けられている事業者

対象事業者 事業の種別
①貸切バス事業 全ての事業者に対象拡大
②乗合バス事業 (貸切委託運行の許可を得ているもの) 全ての事業者に対象拡大
③乗合バス事業(②を除く) 乗合バスの事業用自動車を合計200両以上
④特定旅客事業 特定旅客の事業用自動車を合計200両以上
⑤トラック事業 事業用自動車(被けん引自動車を除く。)を合計300両以上
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運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン

内部監査

 

1)事業者は、安全管理体制の構築・改善の取組に関する次の事項を確認するために内部監査を実施する。なお、内部監査の範囲は、安全管理体制全般とし、経営トップ、安全統括管理者等及び必要に応じ現業実施部門に対して行う。また、事業者は、必要に応じ、社外の人材を活用し、内部監査を実施することができる。

 

① 安全管理体制の構築・改善の取組が、安全管理規程、その他事業者が決めた安全管理体制に関する規程・手順に適合しているか。

 

② 安全管理体制が適切に運営され、有効に機能しているか。

 

 

2)内部監査の一般的な手順等は、以下のとおりである。

 

① 事業者は、監査対象となる取組状況、過去の監査結果等を考慮して、監査方針、重点確認事項等を含めた監査計画を策定する。

 

② 事業者は、監査の範囲、頻度及び方法を定めて、経営トップ及び安全統括管理者等に対しては、少なくとも1年毎に内部監査を実施する。さらに、重大事故等が発生した際は適宜必要な内部監査を実施する。

 

③ 事業者は、内部監査の実施にあたっては、内部監査を受ける部門の業務に従事していない者が監査を実施するなど、監査の客観性を確保する。

 

④ 事業者は、内部監査を効果的に実施するため、内部監査を担当する者(以下「内部監査要員」という。)には、内部監査の方法等について、必要な教育・訓練を実施する。

 

⑤ 内部監査要員は、監査終了後、速やかに監査結果を取りまとめ、経営トップ及び安全統括管理者に報告するとともに、被監査部門関係者に監査結果を説明・伝達する。

 

⑥ 被監査部門の責任者は、監査で指摘を受けた問題点の原因を遅滞なく除去するために、必要な是正措置・予防措置を実施する。

 

⑦ 事業者は、取られた措置内容の検証を行い、検証内容をマネジメントレビューで報告する。

 

 

3)内部監査の実施にあたっては、必要に応じ、経営トップ等がその重要性を事業者内部へ周知徹底する等の支援を行う。

 

 

4)事業者は、安全管理体制の構築・改善のために有効な内部監査の取組を推進するため、内部監査の取組状況や内部監査要員の力量を定期的に把握・検証し、内部監査の方法や内部監査要員に対する教育・訓練などの見直し・改善を図る。