補助金の返還命令が発生する事案とは?
投稿日:2025年8月21日
札幌市南区の民間動物園「ノースサファリサッポロ」が必要な許可を得ずに市街化調整区域で開設された問題で、運営会社「サクセス観光」が、国からの補助金返還命令に対し、取り消しを求め提訴を検討していることが20日、同社代理人弁護士への取材で分かっています。
経済産業省が所管する中小企業基盤整備機構によると、2023年2月、同社に「事業再構築補助金」6千万円の交付を決定しました。しかし、問題発覚を受け、7月23日付で決定を取り消し、6千万円の補助金の返還命令通知を出しました。
サクセス観光の代理人弁護士によると「同社は補助金を基に宿泊施設のトレーラーハウスを設置したが、法律に違反しておらず返還義務はない」と主張しています。オンライン申請支援や申請後の補正対応支援も、全て弊社で対応します。
補助金とは?
補助金とは、所定の要件を満たした場合に、管轄の省庁や地方自治体、団体等(以下、「支給者」という)に申請を提出し、審査を通じてそれが認められれば受給できる制度のことです。これは支給者が推進する政策等の実現のために支給されるもので、生産性を高める設備や環境に優しい設備の導入、特定の産業の活性化、テレワークを推進する企業の支援、中小企業の経営基盤の強化など、目的は様々です。
補助金の返還はなぜ発生する?
原則、補助金は一度受給できれば返還する必要はありません。ただし、場合によって受給後にも資料の提出や事業に関する進捗報告を求められることがあります。支給者による実地調査の依頼が発生することもあります。そうした求めに対応しなかったり、受給時の定めを守らなかったりした場合は、補助金の一部または全部を返還する必要が発生する可能性があります。
実際、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」には、以下の記載があります。
・補助金を別の用途で使用するなど受給時の条件に違反してはならない(第17条)
・補助金により取得した財産を、承認を受けずに譲渡・交換・貸付・担保に供することをしてはならない
(第22条)
補助金申請時の提出書類に記載した用途どおりに使用しないということは、支給者が補助金支給の目的を達成できないということになります。事後報告や調査等において当初の用途外で使用していることが分かった場合は、補助金の返還を命じられることになります。また、生産性を向上させるための設備投資として補助金を受給した後、当該設備を売却・交換・貸し付けることがあれば、これもまた補助金の目的を達成できないと判断されます。
返還義務が発生する具体例
各補助金の募集要項等を確認すると、個別に返還事由が記載されていることがあります。
・IT導入補助金
ITツール導入費の一部を補助することで、会社の業務効率化や売上増加を支援するための補助金です。
導入したITツールを一年未満で解約した場合、交付取消・返還命令の対象となります。
また、給与支給額や最低賃金が目標未達の場合、返還を求められることがあります。
・小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が直面する様々な経営課題を解決するための販路開拓や生産性向上に資する取組を支援するための補助金です。
虚偽申請や不正受給、経費の目的外利用や非承認の財産処分を行った場合、交付取消・返還命令の対象となります。
<その他>
・重複受給
本補助事業と同一の内容で国(独立行政法人含む)から他の補助金、助成金等の交付を重複して受けていた場合
・情報漏洩
事業期間中及び補助金交付後において、不正行為、情報の漏洩等の疑いがあり、補助事業者として不適切な行為を行っていた場合
・実体のない役務
対象経費が導入されていない、役務の提供がなされていない等、補助事業が遂行されていない場合
・なりすまし行為
補助事業者自身が行うべき行為(申請マイページの開設及びその後の交付申請におる手続き等)を当該補助事業者以外が行っていた場合
・キックバック
対象経費の販売金額に占める補助事業者の自己負担額を減額又は無償とするような販売方法(形式・時期の如何を問わず、補助事業者に実質的に還元を行うもの)あるいは、一部の利害関係者に不当な利益が配賦されるような行為を行っていた場合
例)・ポイント・クーポン等(現金に交換可能なものを含む)の発行・利用を行うことでITツールの購入額を減
額・無償とすることにより、購入額を証明する証憑に記載の金額と実質的に支払われた金額が一致しない
場合
・ITツールの購入額の一部又は全額に相当する金額を口座振込や現金により申請者へ払い戻すことにより、
購入額を証明する証憑に記載の金額と実質的に支払われた金額が一致しない場合
不正受給をした場合の措置と事例
補助金の不正受給が発覚した場合には、ペナルティが定められています。
・補助金の返還
・補助金返還にかかる加算金
・懲役
・罰金
・社名の公表
・刑事告訴
・他の補助金受給の停止
補助金の返還や加算金を求められるほか、担当省庁のホームページに不正受給の概要や社名が公開されます。
また、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」によると、最大で5年以下の懲役か100万円以下の罰金、又はその両方が科されることがあります。さらに、支給者を騙す意図で不正受給をした場合は、刑事告訴される可能性もあります。内容の重要性によっては新聞等でも取り上げられるなど、社会的な信用が低下することも十分に考えられます。
まとめ
補助金は、ルールに則り受給していれば返還する必要はないため、自社の経営へ有効活用すべきです。
一方で、補助金の不正受給や規程違反が発覚した場合、補助金の返還だけでなく、懲役刑や罰金刑などの刑事罰、社名公表などによる社会的信用の低下にもつながる危険性も有しています。
これは、作為的に行う場合だけでなく、知らず知らずのうちに抵触してしまっていることもしばしばあります。
そのため、今後はコンプライアンスを意識し、専門家を交えながら補助金活用に取り組んでいくことが重要です。
サポート行政書士法人では、専門性の高い知識と経験を持ったスタッフを厳選しております。
「知識不足が故の不正行為をしてしまったらどうしよう」「方法がわからず自身で申請するのは心細い」と考えている事業者様は、是非ご相談ください。