建設業法違反で大手グループ企業16社が監督処分、2週間の営業停止など
投稿日:2025年8月21日
パナソニック ホールディングスは2025年1月31日、グループ会社による資格違反を受け、国土交通省の各地方整備局、岡山県、沖縄県から営業停止命令などの処分を受けたと発表しました。
大手グループ企業で何が起きたのか?
パナソニックグループは、2021年8月31日、実務経験基準を満たしていない社員が技術検定試験を受検し施工管理技士の資格を取得していたことと、実務経験に不備があった社員が営業所の専任技術者や現場の技能者として配置されていたことを公表していました。その処分として、グループ企業16社が、国土交通省の各地方整備局、岡山県、沖縄県から処分を受けた模様です。
建設業法第28条第3項に基づく営業停止処分命令を受けたのは9社、建設業法第28条第1講に基づく指示処分を受けたのは10社となり、指示処分の対象企業10社については、再発防止のための違反行為と処分内容の周知、建設業法や関連法令の順守徹底を目的とした研修や教育の計画を策定し、継続的な実施に加え、業務管理体制の整備や強化が行われました。
何が問題だったのか?
今回の件では、具体的に以下のことが原因となりました。
- 資格要件を満たさない者を工事現場の主任技術者や監理技術者として配置していた
- 営業所の専任技術者として資格要件を満たさないものを配置していた
- 所定の実務経験を満たさない技術者が国家資格を不正に取得していた
- 複数の工事現場において主任技術者や監理技術者が不設置となっていた 等
なぜこういった事案が発生したのか、建設業法の観点から見ていきましょう。
◆前提として
まず、事業者が建設業許可を取得・維持するためには、営業所に常勤かつ専任の技術者(営業所技術者)を設置する必要があります。また、建設業許可を取得した業種の請負工事の現場には、営業所技術者とは別に、配置技術者という現場での技術者の配置も必要となります。この配置技術者は、工事現場の工種・請負金額等により、適切な有資格者を配置する必要があります。
◆建設業法として
今回の件は、受験資格を満たしていない者が試験に合格し、有資格者となって営業所技術者や配置技術者になっていたことが焦点です。なぜなら、配置技術者の配置義務違反は、罰金刑などの刑事罰に処される可能性も十分にある行為だからです。悪質な行為だと判断され、罰金刑を受けた場合、許可の欠格要件に該当するため、向こう5年間は建設業許可を取得することができなくなってしまいます。
過去に実際にあった行政指導例
◆事例1
建設業法第7条第2号イ、ロ又はハのいずれにも該当しないAを主任技術者として配置し、資格要件を満たす主任技術者を配置しなかったため、30日間の営業停止となった。また、令和3年3月31日を審査基準日とする経営規模等評価の申請において、技術職員実務経験申立書にAの虚偽の経歴を記載し、技術職員名簿に資格要件を満たさない同人を記載したとして指示処分を受けた。
◆事例2
施工管理技士と監理技術者の資格において、実務経験の承認作業が形骸化しており、資格を不正取得した社員が電気設備工事などに関与していたことが第三者委員会で発覚し、社名公表の上で監督処分を受けた。
◆事例3
「施工管理技士」に関し、受検に必要な実務経験の期間を満たさないまま技術検定試験を受け、不正に資格を取得していたことが第三者委員会で発覚し、社名公表の上で監督処分を受けた。
まとめ
「行政処分」と聞くと、とても悪質/違法性の高い事例が思い出され、「当社には無縁/関係ない」と思っている方もいますが、実際に行政処分事例を見てみると、「適確に業務を遂行する為の必要な体制が整備されていない」等、一部の建設業者の方はきっとヒヤっとするであろう内容かと思います。
特に今回のケースでは、虚偽の証明行為を、大手グループ企業が組織ぐるみで長期間にわたって行っていたということで、大企業に対しての社会的な信用やコンプライアンスへの取組姿勢が問われる問題だったといえます。
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