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大阪市の特区民泊停止と府内自治体の動向が地域経済に与える影響

大阪市の特区民泊受付停止がもたらす影響

大阪市は国家戦略特区法に基づく「特区民泊」の新規受け付けを停止しました。
これは観光産業や不動産市場に大きな影響を与える可能性があります。
特区民泊は市内の宿泊インフラとして成長を支えてきただけでなく、
地価上昇の呼び水としても重要な役割を果たしてきました。

特区民泊の役割と経済効果

大阪観光局の推計によると、2024年に大阪府を訪れたインバウンド(訪日外国人)は約1,459万人。
2014年から約3.9倍に急増しています。その受け皿となったのが2016年に始まった特区民泊です。

  • 2024年8月末時点で認定居室数は1万8,833室(4年前の2倍)
  • 市内のホテル・旅館の客室数(10万2,553室)の約2割に相当

比較的安価な特区民泊の存在はホテル価格の高騰を抑制し、稼働率の安定に寄与してきました。
特区民泊がなければさらに上昇していた可能性があります。
大阪・関西万博が開催されている2025年7月には、宿泊施設の客室稼働率が80%に達しました。

インバウンド需要と宿泊供給の課題

2024年に大阪府を訪れた外国人旅行者の消費額は1兆2,935億円と2018年から7割増加。
今後も観光需要の拡大が見込まれます。
しかし、特区民泊の受付再開が遅れれば、宿泊需要の取りこぼしやホテル価格の高騰につながりかねません。

大阪府内自治体の対応状況

大阪府は、府内34自治体を対象に「特区民泊」に関する意向調査を実施し、結果を更新しました。
大阪市の方針を受け、各自治体の対応にも変化が見られます。

  • 全域での新規受け付け停止を希望する自治体:7市町 → 27市町村
  • 実施区域の制限を希望する自治体:4市町 → 2市
  • これまで通り実施すると回答:20市町村 → 3市
  • 河内長野市:独自の規制強化策と府への要望を検討中
  • 交野市:以前から実施していない
  • 実施可能区域の拡大を回答した自治体:ゼロ

まとめ

大阪市の特区民泊は、インバウンド観光需要の受け皿としてだけでなく、
地域経済の活性化にも大きな影響を与えてきました。
しかし、大阪市をはじめ府内自治体の多くが新規受け付け停止や制限へと舵を切り始めています。
大阪・関西万博が開催されている中、特区民泊の運営ルール整備と受付再開の有無は、
観光産業の成長に直結する重要な課題といえるでしょう。

(著名:加藤 尚央)

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