グローバルFTA時代に備える ― 英印FTA合意から見る、原産地証明の重要性
投稿日:2025年5月7日
2025年5月、英国とインドは自由貿易協定(FTA)に合意しました。
交渉は英国のEU離脱後、2022年から続いており、3年超を経ての大枠合意です。
英印FTA合意の主なポイント
- 関税撤廃・引下げ対象は全輸出品の90%以上
→ ウイスキーやジンは150%→40%に段階的削減、自動車は100%超→10%へ - 化粧品・医療機器・電気機械・チョコレートなど幅広い品目に恩恵
- インドへの公共調達アクセスや、現地製造義務の一部緩和(英国製品20%以上で可)
- インド人労働者の3年間の社会保険料免除措置
上記、決着に至った背景には、「トランプ関税」に象徴される米国の保護主義強化への懸念があります。
いま、世界ではFTAを活用して米国依存からの脱却と相互利益の確保を進める動きが加速しています。
こうした中で、日本の輸出企業、とりわけ「大型機械」や「類似製品を大量に輸出する製造業」などでは、原産地証明書を戦略的に活用することが、今後の競争力を左右する重要な要素となりつつあります。
原産地証明書を「営業ツール」に!
原産地証明書は単なる通関書類ではありません。正しく取得・活用することで、企業の営業力・価格競争力を直接的に高める武器となります。
・大型機械など、高関税品目の輸出において関税ゼロまたは軽減の恩恵を直接訴求できる
・特定原産地証明書を取得していることで、サプライチェーン管理や品質体制の信頼性をアピールできる
・類似製品の大量輸出を検討している場合でも、初回の原産性判定と証明体制構築により、以降の申請を効率化できる
これにより、海外バイヤーとの価格交渉での優位性や、輸出先政府の入札要件(例:原産地要件付き)への対応にもつながります。

特定原産地証明書 取得支援サービスのご案内
原産品判定依頼から証明書発給まで、実務を一貫サポートします。
当事務所では、特定原産地証明書の取得に必要な各段階を、制度の理解から書類作成まで一貫してサポートしています。下記の3つのステップで貴社を支援します。
① 原産品判定依頼サポート
FTAを活用する第一歩は、製品が協定の「原産品」として認められるかを確認することです。
🔹サポート内容
- 原材料情報・生産工程の確認
- CTC・VA等、適用規則に基づく原産性の判断
- 対比表や計算ワークシートなど根拠書類の作成
- 日本商工会議所への提出用書類一式の作成
- 判定依頼が承認されるまでのやり取りを全面支援
② 原材料HSコード調査サポート
判定依頼では、「原材料リスト」や「HSコード」「価格情報」の提出が必要です。
🔹サポート内容
- 一次材料の選定方法のレクチャー
- 各材料のHSコード調査及び税関確認
- 商工会議所提出用の原材料一覧の作成支援
③ 証明書発給申請サポート
商工会議所への発給申請は、実際の輸出ごとに毎回行う必要があります。
🔹サポート内容
- 発給完了までの確認・フォロー
- スケジュールに合わせたタイムリーな申請対応
「どの協定を使えばよい?」「材料が多すぎて整理できない…」といった初期段階から、輸出に合わせた証明書発給まで、企業様ごとの輸出形態に合わせて柔軟にサポートいたします。
まずはお問い合わせください。
(著者:石倉)