令和7年薬機法改正のポイントをわかりやすく解説
投稿日:2025年8月26日
令和7年に薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)が改正されました。今回の改正は、医薬品・医療機器の供給体制や品質管理を大きく強化するものとなっており、業界関係者の皆さまにとって実務対応が必須となる内容です。
この記事では、改正の背景と実務に直結する主要なポイントをわかりやすく整理してご紹介します。
改正の背景と目的
今回の改正は、主に以下の課題に対応するために行われました。
- 医薬品の供給不足リスクが顕在化している
- 品質保証体制を一層明確化する必要がある
- 革新的な創薬を支援する環境整備が求められている
- 薬局業務における効率化・利便性の向上が必要
このような状況を踏まえ、薬機法において新たな義務や仕組みが導入されています。
改正の4つの柱
1. 医薬品の品質保証体制の強化
これまでGQP省令やGVP省令に基づき責任者の配置は行われていましたが、今回の改正で薬機法上に明文化されました。
- 品質保証責任者・安全管理責任者の設置が法的に義務化
- 責任範囲がより明確になり、製造から流通までの一貫した管理が求められる
製造販売業者は、責任者の役割や社内体制の再確認が急務です。
2. 医薬品の安定供給体制の確立
供給不足への対応が法的義務となりました。
- 供給状況の常時監視義務
- 出荷停止や供給滞りが発生した場合は厚労大臣への即時報告が必要
- 大臣による代替薬増産、流通調整、処方日数制限の指示が可能
今後は各社でBCP(事業継続計画)や供給リスク対策の整備が必須となります。
3. 創薬環境の整備
革新的な創薬を後押しする仕組みが導入されました。
- 創薬活動支援のための基金を新設
- 特に小児用医薬品の開発が重点的に支援される
製薬企業にとっては研究開発投資の促進と、新たな資金調達機会につながります。
4. 薬局機能の強化
薬局の効率化と利便性向上が大きく進みます。
- 調剤業務の一部外部委託が可能に
- 薬剤師による遠隔販売の導入が進展
これにより薬局業務の効率化が進み、患者にとっても利便性の高いサービスが提供されることが期待されます。
まとめ
令和7年の薬機法改正は、以下の4つの柱から構成されています。
- 品質保証体制の強化
- 安定供給体制の確立
- 創薬環境の整備
- 薬局機能の強化
これらの改正は、国民への迅速かつ安全な医薬品提供を実現するためのものです。
製造販売業者・薬局・製薬企業の皆さまにおかれましては、改正の趣旨を理解したうえで、社内体制の整備や実務フローの見直しを早急に進める必要があります。
今後の申請・届出業務においても、この改正内容に即した対応が求められますので、早めの準備をおすすめします。
山田
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