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行政書士法人って何?――複数の行政書士が共同でつくる“法人”のカタチ

行政書士には、個人で独立開業するほか、「行政書士法人」という形態で複数の行政書士が一緒に業務を行うケースもあります。

行政書士法人は、行政書士同士が組織的に協力し合うことで、より幅広いサービスを提供しやすくなる仕組みとして法律で定められています。

1.行政書士法人ができるまで

設立の目的
行政書士が共同して、行政書士業務(法令書類の作成や手続き代行など)を組織的に行うために設立されます。

名称に“行政書士法人”
行政書士法人を名乗るには、その名称に必ず「行政書士法人」という文字を入れなければなりません。

社員は行政書士だけ
行政書士法人の“社員”とは、いわゆる“出資している構成員”を指します。法律上、社員になれるのは、行政書士資格を持っている人だけです。

2.登録・登記がポイント

法人として“登記”
行政書士法人は、会社と同じように登記(法務局での法人登記)をし、その情報を公開します。
登記完了で法人として正式に成立します。

名簿への登録
法人が成立したら、主たる事務所の所在地を管轄する行政書士会を経由して日本行政書士会連合会に届け出ることで「行政書士法人名簿」に登録されます。

3.社員・代表・競業の禁止など細かなルールも

社員全員が業務を執行
行政書士法人の社員は、全員が業務を行う権利と義務を負います(定款で別段の定めがある場合を除く)。
特定業務だけを扱う“特定社員”など、社員の役割も細かく決めることができます。

常駐義務
法人が事務所を設ける場合、その事務所のある都道府県の行政書士会に所属する社員を常駐させなければなりません。
特定業務を扱う事務所では、特定社員も常駐していないとその業務を取り扱えないルールがあります。

競業の禁止
社員は、自己や第三者の利益のために、法人の業務と同じような仕事を勝手に行ったり、別の行政書士法人の社員になったりすることはできません。
法人全体の利益と信用を守るための取り決めです。

4.解散や合併も可能

行政書士法人は、次のような理由で解散することがあり、その後の清算手続きや合併に関する流れも会社法を準用する形で決められています。

  • 定款に定めた理由が起こったとき
  • 社員全員が合意して解散を決めたとき
  • 合併や破産などの事由が生じたとき
  • 社員が1人だけになり、一定期間2人以上にならなかったとき など

合併する場合は、消滅する法人の権利や義務を、存続法人または新たに設立される法人がまとめて承継する仕組みになっています。

まとめ:行政書士法人だからこその強み

行政書士が共同で設立する「行政書士法人」は、組織力や専門性の高さが期待できる存在です。
複数の行政書士が一緒に業務を行うことで、より大規模な案件や多角的なサービスにも対応しやすくなるメリットがあります。

(著者:徐)