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指摘事例 第56条 内部監査

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第56条 内部監査

省令

製造販売業者等は、品質管理監督システムが次に掲げる要件に適合しているかどうかを明確にするために、あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければならない。

一 製品実現計画に、この省令の規定及び当該品質管理監督システム(限定一般医療機器に係る製品にあっては、製品実現計画を除く。)に係る要求事項に適合していること。

二 効果的に実施され、かつ維持されていること。

2 製造販売業者等は、内部監査の対象となる工程及び領域の状態及び重要性並びに従前の監査の結果を考慮して、内部監査実施計画を策定しなければならない。

3 製造販売業者等は、内部監査の判定基準、範囲、頻度及び方法を定めなければならない。

4 製造販売業者等は、内部監査を行う構成員(以下「内部監査員」という。)の選定及び内部監査の実施においては、客観性及び公平性を確保しなければならない。

5 製造販売業者等(限定第3種医療機器製造販売業者を除く。)は、内部監査員に自らの業務を内部監査させてはならない。

6 製造販売業者等は、内部監査実施計画の策定及び実施並びに内部監査結果の報告及び記録の保管について、その責任及び要求事項を定めた手順を確立し、これを文書化しなければならない。

7 製造販売業者等は、内部監査された領域に責任を有する責任者に、発見された不適合及び当該不適合の原因を除去するための措置を遅滞なく採らせるとともに、当該措置の検証を行わせ、その結果を報告させなければならない。

通知

第56条(内部監査)関係

(1)この条は、ISO13485:2003 の「8.2.2 Internal audit」に相当するものであること。

(2)内部監査は、当該製造販売業者等において製品の製造管理及び品質管理が適切に行われているかを評価するために、その実効性も含め定期的かつ効果的に実施されていなければならないものであること。また、以下のような場合にあっては、特別な内部監査を必要に応じて実施すること。

ア.組織変更や手順の改訂など重大な変更がなされたとき

イ.製品が不適合となる可能性が認められたとき

ウ.是正措置が採られ、それが有効であったか検証の必要性があるとき

(3)第6 項の「内部監査結果の報告」は、発見された不適合と、それらに対する必要な是正措置等を指摘する文書であること。また、原則として内部監査での指摘事項への回答及び対応には適切な期限を設けること。

(4)内部監査の結果は、適切に伝達がなされ、必要なものについて適切に管理監督者照査に付されるようにすること。

指摘事例

内部監査プロセス

・QMS 省令第 56 条では、「製造販売業者は、品質管理監督システムが次に掲げる要件に適合しているかどうか明確にするために、あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければならない。」と規定されている。しかしながら、薬機法施行後、改正QMS 省令に基づく内部監査が実施されていない。あるいは、内部監査を実施したことを示す客観的証拠の提示がない。

・内部監査計画書、内部監査チェックリスト、内部監査報告書等は、GQP、ISO13485 についての範囲であり、QMS 省令が含まれておらず、薬機法に変更されてからの QMS 省令への適合確認文書が確認できなかった。

・内部監査チェックリストのチェック項目が旧QMS 省令のままで、改正QMS 省令すべての条項を含むものになっていない。

・内部監査の基準として、旧QMS 省令第3 章を用いており、現行のQMS 省令の規定に係る要求事項に適合していることを確認していなかった。

・「内部監査チェックリスト」を確認したところ、監査の基準としてQMS 省令ではなくQMS 体制省令が用いられており、QMS 省令への適合性が確認されない計画となっていた。

・内部監査計画は製造販売業のプロセスを対象としておらず、製造販売業のプロセスには旧GQP 省令に基づく自己点検が実施され、内部監査としては実施していなかった。

内部監査計画

・内部監査手順書において「年間計画の作成」を要求しているが、当該計画書が作成されていなかった。

・内部監査手順書において作成し、保管すると定めている「内部監査実施計画書兼通知書」、「内部監査チェックリスト」が作成されていない。

内部監査の範囲

・「内部監査年間計画書」を確認したところ、内部監査の対象に総括製造販売責任者の業務が含まれておらず、当該責任者に係る要求事項への適合性が確認されない計画となっていた。

・内部監査手順において、内部監査の対象となる部署が明確ではなかった。

・QMS の対象部門が QMS 省令や品質マニュアルのどの要求事項に関与しているか明確でないため、内部監査の対象に含まれていないQMS 省令の要求事項及び部門が確認された。

不適合・是正措置

・内部監査手順書において「内部監査報告書に基づいて是正報告の必要な内容を是正項目にして回答希望日を記入して被監査部門の部門長に渡して是正措置を依頼する。」と規定されているが、回答希望日を記入した是正措置依頼書がなかった。

・内部監査で発見された不適合に対する是正措置においては、不適合の原因および是正措置の実効性の照査結果等が記録されない仕組みとなっていた。

解説

コメント

・内部監査(自己点検)の目的。

→①個別製品実現の計画に適合しているか。

→②法規制に適合しているか。

→③自分たちで決めた要求事項に適合しているか。

→④品質マネジメントシステムが効果的に実施され維持されているか。

・内部監査の注意点。

→①あらかじめ決めた間隔で実施する。

→②これまでの監査結果を考慮し実施計画を立てる。

→③内部監査員・実施の客観性と公平性。

・年1回の監査でカバーしきれない時。

→2年や3年に分けて策定してもOK。その場合は、全体計画と年度計画両方立てることを忘れずに。文書化もしておく。

・臨時の内部監査は必要か。

→QMSに影響が大きい変更があった場合は臨時監査が必要。臨時の内部監査についての手順書も文書化しておく。

・監査結果についてやるべきこと。

→逸脱があった場合は「いつまでにどのように是正するか」までが記録の対象となる。また、結果は「有効に維持されているか」の明記が必要となる。

・内部監査の範囲・頻度は明記する。

→そもそも文書化していないという事がないようにする。臨時内部監査も文書化しておく。

・部門全体としては対象ではないが、一部に該当業務がある場合。

→総務部などは特に注意する。内部監査の対象にしなければいけないので漏れないように文書化しておく。

・内部監査は手順通り実施するようにする。

→手順が実地には合わず、手順通りできない場合は、要求事項に逸脱しない範囲で手順を改定する。監査員が手順を知らない・理解していない場合なら、教育訓練をすることで対応する。

・内部監査の判定基準が曖昧でないか注意する。

→どのような場合が逸脱・不適合か手順書に明確な判定基準を記載する。また、教育訓練で監査員に周知する。

・改善事項は次の監査等でフォローアップする。

→前回の内部監査の結果で改善事項があれば次回監査へ引き継ぎができるよう必ず記録を残す。また、監査時は前回の結果を必ずチェックする。

・監査結果の記録は必ず残す。

→監査目的の内、④について。各項目に不適合○件、推奨事項○件という記録とともに、結果問題があるのかないのかという結論を残す。

・軽微な不具合だが、何度も繰り返しているケース。

→これはQMSに問題があると判断する。また、色々なプロセスで同様な不具合が発生している場合もQMSに問題があると判断する。

・監査計画書には要求事項を記載。

→ISO、QMS、法規制などは明記しておく。