東 周平

ピザパンになるな、ピザまんを目指せ

東(アズマ)です。

世の中には、似ているようで決定的に違うものがあります。
たとえば「ピザパン」と「ピザまん」。
どちらも「ピザ風」の食べ物ですが、その立ち位置には大きな差があります。

ピザパンは、パンの上にチーズやトマトソース、ベーコンなどを載せて焼いた総菜パンです。
コンビニやパン屋で手軽に買えて、値段もリーズナブルですが、ピザパンはあくまで「ピザの代用品」という印象が拭えません。
ピザパンが食べたいと思っていた時に、誰かが気を利かせてピザを買ってきたとしたら、「ピザが食べれるなんてラッキー!」と思う人が大半でしょう。
この意味で、ピザパンは、いわば「廉価版ピザ」のような立ち位置にあります。

一方で、ピザまんはどうでしょうか。
ピザまんは、モチモチの皮、その中にはとろけるチーズとトマトソース。
コンビニのレジ横でホカホカと湯気を立てているあの姿には、ピザとは異なる魅力があります。
ピザまんが食べたいと思ったとき、代わりにピザが出てきたら、私なら「いや、そうじゃないんだよな」と思います。
ピザまんは、ピザと似ていながらも、ピザでは満たされない独自の欲求を満たしてくれます。
この意味で、ピザまんはピザよりも安価ですが、決してピザに劣らない対等なポジションにあると言えます。

もっと突き詰めていうと、ピザパンは「模倣品」で、ピザまんは「独自ジャンル」です。
ピザパンはピザの廉価版として生まれ、どこかで「本物には敵わない」という業を背負っています。
一方、ピザまんは、ピザを参考にしつつも、「中華まん」という全く別の土俵で勝負をしています。

ピザまんに見られる巧みな戦略は、「ピザ」に限らず、いろいろな分野で有用です。

成功している「ピザ」がいたとして、その成功を模倣し、少し安価に、少し手軽に仕上げた「ピザパン」では、その分野においていつまでも「二番手」にしかなれません。
上位互換が常に存在するという構造の中で戦い続けることになり、また自分以外も真似をしやすいので、第二・第三の「ピザパン」が出てきた時に、「ピザ」だけでなく「ピザパン」同士の競争にも巻き込まれます。
ピザパンの戦場はレッドオーシャン、生き残るのは至難の業です。

一方、自らの強みや独自性を活かし、ピザとは似て非なる領域で勝負する「ピザまん」になれば、競争相手は激減し、自らの存在価値を確立できます。
ピザの良さは尊重しつつも、別の方向で「これじゃなきゃダメ」と思われる存在を目指す。
「ピザは中華まんにしても美味しいのでは!?」という最初の気付きはハードルが高いですが、そこをクリアすることで、競争相手の少ないブルーオーシャンでの戦いに持ち込むことができます。

自分だけの中身、自分だけのスタイル、自分だけの皮をまとい、自分なりのジャンルを確立する。
簡単ではない道ですが、目指すべき道だなと感じます。

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