「みんなで大家さん」行政処分のその後
投稿日:2026年11月4日
「不動産特定共同事業」に基づく投資サービス「みんなで大家さん」。
営業者である都市綜研インベストファンド株式会社は大阪府から、販売代理人であるみんなで大家さん販売株式会社は東京都から、2024年の一時的な業務停止命令を経て、2026年9月1日、「事業許可の取り消し」という行政処分の中で最も重い処分が下されました。
本記事では、これまでの経緯と許可取り消しの理由、そして現状についてまとめました。
1. 2024年の行政処分から「許可取り消し」までの経緯
事態の発端は2024年6月に遡ります。テナントから家賃が支払われていないのに事実と違う説明をして販売を続けたとして、東京都と大阪府から業務の一部停止などの処分を受けました。
このニュースを知った出資者の間で不安が広がり、解約の申し込みが殺到しました。
その結果、会社側の資金繰りが追いつかず、返金の遅れが常態化してしまいます。
さらにその後、行政へ報告していた「再発防止策」が実行されず、同じ違反が繰り返されました。これを重く見た両自治体は、2026年9月1日、不動産特定共同事業法に基づく「事業許可の取り消し」という厳しい処分を下しました。
2. 許可取り消しの理由
今回の許可取り消しは、運営会社の都市綜研インベストファンドには大阪府が、販売会社のみんなで大家さん販売には東京都が、それぞれ別の理由で行ったものです。
処分理由は次の2つに分けられます。
① 純資産要件を満たしていない=要件不備
対象は都市綜研インベストファンド(営業者)です。
同社が2026年7月28日付で提出した2025年度の事業報告書では、純資産(資産の合計額から負債の合計額を控除した額)がマイナス約2,881億円となっており、資本金(約29億円)の90%に相当する額を満たしません。
このため、許可基準(不動産特定共同事業法第7条第2号)に適合せず、許可取消し事由である同法第36条第2号に該当すると認定されました。
一方、みんなで大家さん販売に対する東京都の処分理由には、この純資産要件は含まれていません。
(出典:大阪府「不動産特定共同事業者に対する処分について」、別紙(PDF))
② 実務上の法令違反
テナントからの賃料が支払われていないにもかかわらず、投資家に適切に説明しないまま、9商品の販売を続けました。
2024年の処分後も同じ条項への違反を繰り返したほか、償還期日を過ぎた9商品で出資金を返還できておらず、財産状況から全額の返還も極めて困難とされています。
2026年6月末時点で、償還が遅延している9商品と今後満期を迎える29商品を合わせて約1,912億円(約7万2,000名分)の返還が必要とされる一方、現金預金残高は約9,242万円(償還が必要な額の0.05%程度)にとどまっています。
販売代理人として、対象不動産の賃料が一定期間支払われていなかったにもかかわらず、営業者に賃料の支払状況を調査しないまま、適切な説明のない契約成立前交付書面を交付し、事業参加者を誤認させました。
同社は2024年6月の指示処分を受け、AIツールの活用や外部弁護士による書面チェックを再発防止策として掲げましたが、実際には行わず、同種の違反を繰り返しました。
東京都は、同社が違反を認めず改善措置も講じていないことから業務運営態勢の改善は期待できないとして、情状が特に重いと判断しています(同法第24条第1項、第36条第5号ほか)。
3. 会社側の見解と現在の法的立場
許可は取り消しとなり、新規のファンド組成はできなくなりましたが、既存の契約に基づく業務や責任が直ちに終了するものではありません。
法律上は、次の旨が定められています。
既に締結されている不動産特定共同事業契約に基づく業務を結了する必要があるときは、その業務を結了する目的の範囲内において、なお不動産特定共同事業者とみなす(不動産特定共同事業法第65条第1項)
会社側は、今回の行政処分を極めて重大なものとして受け止めていると謝罪はしつつも、「事実関係や法的評価の全てについて、行政庁と同一の見解に立っているわけではない」とHPで対外的に説明を行っています。
会社発表情報は下記を参照ください。



