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プログラム医療機器(SaMD)で知っておきたい、認証ルートの新基準

2026年11月2日から、プログラム医療機器(SaMD)の製造販売認証申請において、製品に搭載された機能の記載や、既存製品との同等性の確認に関する取扱いが見直されます。
これにより、認証基準の範囲内であることを、より明確に説明する必要があります。
きっかけは、すでに認証を受けていたSaMDの中に、実は認証では扱えない機能を持つものが見つかり、販売できなくなった製品まで出たことです。
これからSaMDで事業を始める方に向けて、何が変わるのか、開発のどの段階で何を考えておけばよいのかをまとめました。

「認証」か「承認」かで、事業計画は大きく変わる

SaMDを日本で販売するには、機器承認/認証と業許可は、リスクに応じた国と都道府県の手続きが必要です。主にクラスⅡの製品で、国が「認証基準」を定めている種類であれば、民間の登録認証機関の審査(認証)で市場に出せます。規格に合致し、すでにある製品と同等であることを示せばよく、素早く進められるルートです。

一方、既存製品との同等性を説明できず、一般的名称の定義や認証基準の範囲を超える機能を持つ製品は、原則として登録認証機関による認証の対象とはならず、厚生労働大臣の承認を受ける必要があります。承認申請では、製品の特性に応じた性能評価や臨床評価等の資料が必要となり、認証申請と比べて開発期間や費用、必要なデータの準備が大きく異なる場合があります。

今回問題になったのは、既存医療機器と類似性の論証がPMDAの検査で適切と認められず、機能を認証で出していたケースが本来は承認が必要と判明されたことです。
PMDAが認証機関におおむね1年ごとに行う検査でこうしたSaMDが見つかり、機能の削除や認証の整理(製造販売業者が自主的に認証を抹消し、その製品の販売はなくなります)につながりました。
これを受けて厚生労働省は2026年7月31日、SaMDの認証申請の基準を全面的に改めました。

4つの事例から学べること

PMDAと厚労省は、問題になった4つの事例を公表しています。

製品の種類何が問題だったかどうなったか学べること
汎用の画像診断ソフト「データ処理」をうたっていたが、実際はデータを送受信するだけで、解析は人が手作業で行っていた認証整理裏で人が処理する仕組みは、医療機器の機能とはみなされない
汎用の画像診断ソフト病理のデジタル画像を、CTやMRの画像と同じ扱いで処理していた拡大・回転などの基本処理に限って継続画像の種類が変われば、同等である根拠も改めて必要になる
放射線治療計画ソフトMR画像からCT風の画像を作る機能に、根拠も前例もなかった機能を削除して継続前例のない機能は、認証では出せない
X線画像の診断ソフト胸部X線画像から骨密度に関する数値を出していたが、その数値の臨床的な意味が確立していなかったほかに中核となる機能がなく認証整理新しい指標を出す製品は、承認が前提になる

注意したいのは4つ目のようなケースです。製品の価値そのものが認証の範囲外だと、機能を外して残すこともできません。認証で出せるかどうかは、事業の根幹にかかわる判断です。

基準はどう変わるのか

狙いは、審査する側が申請書を読めば「認証の範囲内かどうか」を判断できるようにすることです。

  • すべての機能を、仕組みまで書く:製品の中核となる機能(主たる機能)は、どういう原理で何をするのかを申請書に書き、性能の仕様と試験方法も決めます。書き漏れは申請書の不備として扱われます。
  • 補助的な機能にも説明が要る:診断に影響しない補助的な機能(付帯的な機能)も、すべて原理まで書きます。既存品と同等といえない機能は補助的な機能として扱えず、承認が必要になります。
  • 「一覧に載っているから大丈夫」は通用しない:国が示してきた補助的な機能の一覧(付帯的な機能リスト)は、汎用の画像診断ソフトとその専用機器には使えなくなりました。ほかの製品でも、一覧にある名前の機能が、中身次第で中核の機能と判断されることがあります。
  • 機能が複数の分類にまたがる場合:別の分類(一般的名称)に当たる機能があれば、複数の分類で取得するか、製品を分けて取得します。
  • 審査は名前ではなく中身を見る:認証機関は機能の原理と内容から判断し、迷えばPMDAに問い合わせます。

認証で出せる機能、出せない機能

新基準とあわせて、判断の目安も具体的に示されました。開発中の機能がどちらに当たるか、早めに照らし合わせておくと安心です。

観点承認が必要(認証では出せない)認証で出せる可能性がある
数値・指標診療の判断を変えるような、新しい指標を出す距離、面積、体積など、既存品と同じ計測
自動診断病変の疑いを自動で見つけて印をつける(CADe)、診断名の候補を示す(CADx)正常な臓器の領域を自動で切り出し、医師が最終確認・修正できる
AI販売後も学習を続け、精度が変わっていく既存の画像処理と実質的に同じ処理(AIモデルの種類と学習データを説明する)
画像の加工そのままでは診断できない画像を、診断できる画質に作り変える拡大、回転、明るさや色の調整などの基本処理

DeepLearning等のAI技術を使っていること自体は問題になりません。問われるのは、その機能が何をするのか、既存品と同じといえるかです。

開発の早い段階でやっておきたいこと

認証で行くか承認で行くかは、開発期間、必要なデータ、資金計画のすべてに影響します。申請の直前ではなく、製品の仕様を固める前に次の点を確かめておくことをおすすめします。

  1. 中核の機能を一言で言うと、同じことをする既存品を探す:PMDAの添付文書検索などで、同じ分類・同じ機能の製品があるかを確認します。見つからなければ、認証は難しいと考えた方が安全です。
  2. 「新しい指標」「自動検出」「販売後の学習」が入っていないか確かめる:一つでも当てはまれば、承認ルートを前提に、必要なデータと期間を事業計画に織り込みます。
  3. 迷ったら、開発の早いうちに相談する:登録認証機関やPMDAの相談制度を使い、ルートを固めてから開発や資金調達を進めます。
  4. 補助的な機能も、仕組みを説明できる資料を残す:設計資料と試験結果を整理し、審査で求められたらすぐに出せるようにしておきます。
  5. 販促資料で、認証されていない機能をうたわない:カタログやウェブサイトの表現を、認証された内容にそろえます。

いつから変わるのか

新基準は、2026年11月2日以降の新規申請と変更申請に適用されます。

日付出来事
2026年7月31日新基準(通知)と申請書の記載例を公表
2026年9月9日厚生労働省・PMDA・業界団体による説明会
2026年11月2日新規申請と変更申請への適用開始

11月より前に申請する場合も、希望すれば新基準に沿って書くことができます。これから申請するのであれば、最初から新基準を前提に準備するのが確実です。
すでに認証をお持ち、製造販売中の会社には、自社製品が認証の範囲を外れていないかの自主点検が求められています。問題がなければ、記載を書き直すためだけの手続きは不要です。すでに認証を取得している製品についても、認証基準への適合性や機能の記載内容を自主的に確認することが求められています。

確認の結果、認証内容の見直しが必要となる場合には、一部変更認証申請、対象機能の削除、その他の適切な措置を検討する必要があります。判断に迷う場合は、登録認証機関への相談が推奨されます。

当法人のサポート

当法人は、医療機器・SaMDの薬事申請を支援しています。これから医療機器やSaMDで事業を始める方は、開発の初期から次のような内容をご相談いただけます。

  • 製品のコンセプトをもとに、認証と承認のどちらで出すべきかの整理
  • 同等の既存品の調査と、分類(一般的名称)の検討
  • 登録認証機関やPMDAへの相談の準備や取次
  • 申請書と添付資料の作成・ISO/IEC規格の整合性確認

「この機能は認証で出せるのか」、「こういう機器を日本で販売したい」という段階から、ご相談ください。

担当者:ジャン