家族滞在ビザの就労ガイド|採用時のチェックポイントを解説
更新日:2025年8月22日
家族滞在ビザを持つ優秀な外国人材の採用を検討する際、他の在留資格とは異なる特有のルールに戸惑うことがあるのではないでしょうか。
本記事では、家族滞在ビザの基本情報から、雇用に不可欠な資格外活動許可の注意点を解説します。
また、週28時間ルールの運用や正社員へ登用するための具体的な手順まで、採用担当者が知っておくべき法的知識をまとめています。
家族滞在ビザの基礎知識を再確認したい採用担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
◆もくじ◆
家族滞在ビザとは
まず、家族滞在ビザの基本情報について以下の3つにわけて解説します。
- 家族滞在ビザの概要
- 家族滞在ビザの対象者
- 家族滞在ビザではフルタイムで働けない
この在留資格は、一般的な就労ビザとは目的がまったく異なります。
雇用主は採用を検討するにあたり、家族滞在ビザの特徴と法的な制約を正確に理解しておきましょう。
家族滞在ビザの概要
家族滞在ビザとは、日本で適法に在留する外国人(扶養者)の家族が、一緒に生活するために取得する在留資格です。
このビザの根本的な目的は、あくまで家族の同居であり、日本で就労することではありません。
そのため、採用候補者の在留カードでこの資格を確認した際は、まず「就労を主目的とする滞在ではない」ということを理解する必要があります。
家族滞在ビザを持つ方が収入を得る活動に従事するためには、後述する「資格外活動許可」という特別な許可を出入国在留管理局から受けることが条件です。
企業側にも、この許可の有無を確認する法的な義務が課せられています。
家族滞在ビザの対象者
家族滞在ビザの対象となるのは、特定の在留資格で日本に在留する外国人から、経済的な扶養を受けている配偶者または子に限られます。
なお、養子や内縁の配偶者は原則として家族滞在ビザの対象にはなりません。
また、このビザを新たに申請する際には、主に以下の2点が重要な審査項目となります。
- 安定した生活を支える経済力の証明
- 公的書類による家族関係の証明
安定した生活を支える経済力の証明
扶養者が、呼び寄せる家族を含めた全員の生活を支えられるだけの経済的基盤を持っていることが条件です。
年収〇〇円以上といった明確な基準はありませんが、扶養者の収入状況、勤務先の安定性、居住地の物価や家賃などが総合的に考慮されます。
公的書類による家族関係の証明
扶養者と呼び寄せたい家族との関係性を、法的に証明することも不可欠です。
配偶者であれば本国の政府が発行した婚姻証明書、子であれば出生証明書などが必要となります。
家族滞在ビザではフルタイムで働けない
家族滞在ビザを持つ外国人を、正社員や契約社員としてフルタイム(週40時間など)で雇用することは法律上できません。
パートやアルバイトとして短時間雇用する場合であっても、事前に本人が地方出入国在留管理局へ申請し、資格外活動許可を取得することが必須です。
家族滞在ビザでの詳しい雇用条件については、後述します。
家族滞在ビザでの雇用に必要な許可の種類
家族滞在ビザを持つ方を雇用するために必要な資格外活動許可には、大きくわけて以下2つの種類があり、それぞれ働ける条件や業務内容が異なります。
- 包括許可
- 個別許可
採用担当者は違いを正確に理解し、適切な確認をおこなう必要があります。
包括許可
包括許可は、家族滞在ビザを持つ方が、パートタイムやアルバイトとして就労する際に必要となる、もっとも一般的な資格外活動許可です。
在留カードの裏面に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」といった趣旨のスタンプが押されているものがこれにあたります。
包括許可の概要は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
就労時間 | 週28時間以内 |
活動内容 | 単純労働を含む、幅広い職種(風俗営業関連は除く) |
雇用形態 | パート、アルバイト |
この許可のポイントは、週28時間以内という就労時間の上限です。この時間内であれば、風俗営業関連を除く幅広い職種で働くことが認められます。
個別許可
個別許可は、包括許可で認められるような一般的なアルバイトの範囲を超えた活動に従事する場合に、個別の申請と審査を経て与えられる特別な資格外活動許可です。
たとえば、企業がフリーランスの通訳者やデザイナーとして、家族滞在ビザを持つ方と業務委託契約を結ぶケースがこれに該当します。
個別許可の概要は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
主な活動 | 個人事業主としての活動、業務委託 |
就労時間 | 活動ごとに個別に指定(週28時間の制限はない場合もある) |
確認方法 | 個別に発行される「資格外活動許可書」 |
具体例 | フリーランスの通訳、デザイナー、ITエンジニア、語学講師 |
具体例にあげたような専門的な業務は、事業性が高いとみなされるため、個別許可が必要になります。
どの企業のどのような業務に従事するのかを具体的に申請し、活動内容ごとに個別の審査を経て許可が下りる仕組みです。
雇用の際は、在留カード裏面の許可印だけでなく、個別に発行された資格外活動許可書を提示してもらい個別許可の内容を確認する必要があります。
家族滞在ビザで雇用する際の注意点
企業の信頼と経営を守るため、雇用するうえで注意すべき具体的なルールと、違反した場合の重大なリスクについて解説します。
主に以下の3点に注意しましょう。
- 労働時間は「週28時間以内」を厳守する
- 禁止業務に従事させてはならない
- 不法就労は企業側も罰せられる
資格外活動許可のルールは厳格であるため、採用担当者はルールをしっかり理解しておきましょう。
労働時間は「週28時間以内」を厳守する
資格外活動許可(包括許可)を得て働く方を雇用する際、企業が負う管理責任の中でもとくに大切なのが、週28時間以内という就労時間の厳守です。
このルールのポイントは、以下のとおりです。
- 1分でも超過すれば違反とみなされます。
- 特定の週だけ30時間働き、翌週26時間で調整するといった、月単位での調整は認められません。
- 自社での勤務時間だけでなく、他社でのアルバイトや業務委託など、本人が従事するすべての収入を伴う活動を合算した時間で判断されます。
たとえば、他社で週20時間働いている方であれば、自社では週8時間までしか雇用できません。
この確認を怠ると意図せず不法就労に加担してしまうおそれがあるため、注意が必要です。
禁止業務に従事させてはならない
資格外活動許可は、すべての職種に有効な万能の許可ではありません。
とくに風俗営業関連の店舗で働くことは、全面的に禁止されています。
禁止される業務の具体例は、以下のとおりです。
- 接待を伴う飲食店:キャバクラ、スナック、ホストクラブ、バーなど
- 遊技場:パチンコ店、麻雀店、ゲームセンターなど
- その他:ラブホテル、アダルトショップ、ソープランドなど
ここで大切なのは、この制限が職種を問わないという点です。
たとえば、パチンコ店内で直接接客をしない清掃業務や、スナックでの皿洗いといった業務であっても、風俗営業の許可を受けている施設内で働くこと自体が法律違反となります。
飲食店やサービス業の経営者は、自社の事業が風俗営業の許可や届出の対象となっていないか、今一度確認することが求められます。
判断に迷う場合は、自己判断で雇用を進めず、管轄の警察署や法律の専門家である行政書士に相談することがおすすめです。
不法就労は企業側も罰せられる
もし許可の条件に違反して家族滞在ビザの方を働かせた場合、その責任は本人だけでなく、雇用した企業側にも及びます。
これは不法就労助長罪という犯罪にあたり、重い罰則が科される可能性があります。
不法就労助長罪が成立する主なケースは、以下のとおりです。
- 在留カードを確認せず、不法就労であることを知らずに雇用した場合
- 在留カードの有効期限が切れていることを知りながら雇用した場合
- 許可されていない業務に従事させたり、許可された時間を超えて働かせたりした場合
罰則は「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」と非常に重く、企業の評判やその後の採用活動にも深刻な影響を及ぼしかねません。
「本人が大丈夫だと言った」といった弁解は原則として通用しないため、企業側の対策が求められます。
家族滞在ビザのスタッフを正社員に登用する手順
パート・アルバイトとして活躍している家族滞在ビザのスタッフを、その能力や人柄から正社員として本格的に登用したいと考えるケースもあるでしょう。
そのための手順と、企業の役割について解説します。
- 就労ビザへの「在留資格変更」を申請する
- 受け入れ企業として、申請に必要な協力をおこなう
それぞれを詳しくみていきましょう。
就労ビザへの「在留資格変更」を申請する
家族滞在ビザのスタッフを正社員として雇用するには、本人が「在留資格変更許可申請」をおこない、適切な就労ビザを取得することが絶対条件です。
どのビザに変更するかが、申請の準備や要件を左右する重要なポイントとなります。
就労ビザには、以下のような種類があります。
在留資格の名称 | 主な対象となる職務内容 | 主な要件(概要) |
技術・人文知識・国際業務 | 【技術】ITエンジニア、プログラマー、設計開発 【人文知識】企画、営業、経理、総務、マーケティング 【国際業務】翻訳・通訳、語学指導、海外取引業務 | ・関連する専門分野で大学を卒業していること、または日本の専門学校を卒業していること ・または、関連業務について10年以上の実務経験(一部業務は3年以上)を有すること |
特定技能 | 【1号】介護、ビルクリーニング、外食業、宿泊業など、特定12分野での相当程度の知識または経験を要する技能 【2号】1号の分野のうち、建設、造船など特定の2分野での熟練した技能 | ・分野別の技能試験および日本語能力試験に合格すること ・2号は、1号を修了し、より高いレベルの技能試験に合格することが求められる |
技能 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、ソムリエ、貴金属等の加工職人など、産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務 | ・職務内容に応じて定められた年数(例:外国料理の調理師は10年)以上の実務経験が必要 |
経営・管理 | 企業の経営者、役員、管理者(部長、工場長など)、事業の管理をおこなう者 | ・事業所の確保や事業計画の策定など、経営者または管理者としての実質的な活動要件を満たすこと |
高度専門職 | 学術研究、専門・技術、経営・管理の各分野で、学歴、職歴、年収、年齢などをポイント換算し、基準(70点以上)を満たす高度な外国人材 | ・法務省が定めるポイント計算表で70点以上を獲得すること・幅広い職務活動や在留期間の優遇措置が認められる。 |
企業としては職務と経歴のマッチングという要件をクリアできるかを見極めることが、円滑なビザ切り替えに向けた最初のステップです。
受け入れ企業として、申請に必要な協力をおこなう
在留資格の変更申請は本人がおこなうものですが、受け入れ企業による書類提出の協力がなければ手続きは進みません。
審査では本人の能力だけでなく、雇用する企業の事業安定性や継続性も評価されるためです。
企業は、事業内容や財務状況を証明する客観的な資料の提出を求められます。
企業が準備すべき書類や、その際の注意点については次の章で解説します。
家族滞在ビザから就労ビザへの変更で企業がおこなうこと
【必要書類とポイント】
在留資格の変更申請において、受け入れ企業側が具体的に何をすべきか、とくにポイントとなる3つの書類に焦点を当てて解説します。
- 雇用契約書の作成
- 会社の経営安定性を証明する書類の準備
- 採用の必要性を書類にまとめる
それぞれを詳しくみていきましょう。
雇用契約書の作成
就労ビザへの変更申請において、企業がまず準備すべきは、採用する本人と交わす「雇用契約書」または「労働条件通知書」です。
審査官は、この書類から職務内容の専門性や報酬の妥当性を確認します。
雇用契約書作成時のチェックポイントは、以下のとおりです。
- 「技術・人文知識・国際業務」ビザであれば、その範囲に該当する具体的な業務(例:海外企業との折衝、通訳・翻訳など)を明記し、専門的な仕事とわかるように記載します。
- 報酬額が同じ業務に従事する日本人社員と同等か、それ以上であることが求められます。不当に低い賃金は、ビザ不許可の直接的な原因となり得ます。
- 健康保険、厚生年金、雇用保険といった社会保険への加入を明記することも、安定した雇用関係を証明するうえで大切です。
作成にあたっては、これらのポイントが網羅されているか、曖昧な表現がないかを十分に確認してください。
会社の経営安定性を証明する書類の準備
次に、会社がその外国人を安定して雇用し続けられるだけの経営基盤を持っていることを、客観的な資料で証明する必要があります。
これは、採用した人材がすぐに職を失い、生活に困窮するといった事態を防ぐための審査項目です。
提出を求められる書類は、企業の規模によって異なりますが、一般的には以下のものがあげられます。
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
- 会社の登記事項証明書
- 直近年度の決算報告書(貸借対照表・損益計算書)の写し
- 会社案内(パンフレットなど)
もし会社が設立して間もない、あるいは決算が赤字であるといった場合は、今後の事業計画書や収支改善計画書などが必要になるケースがあります。
また、会社に税金の滞納がないことを示す納税証明書の提出も、企業の信頼性を示すうえで有効な資料となる場合があります。
採用の必要性を書類にまとめる
提出が必須ではないものの、申請の許可率に影響を与えることがあるのが採用理由書です。
この書類は、なぜ日本人ではなく、この外国人を採用する必要があるのか、その必然性を企業の言葉で審査官に伝えるためのものです。
採用理由書の説得力を高めるポイントは、以下のとおりです。
- 人手が足りないからという理由ではなく、「海外の特定地域へ事業展開するにあたり、その国の言語と商習慣を深く理解している本人の能力が不可欠である」といったように、企業の事業戦略と本人のスキル・経歴を具体的に結びつけます。
- 本人の学歴や職歴、語学力などが、自社のどのような課題を解決し、どのような貢献をもたらすのかを論理的に記述します。
- 熱意だけでなく、客観的な事実やデータにもとづいて、採用の合理性を説明することが大切です。
説得力のある理由書は、他の書類だけでは伝わらない採用の妥当性を補強する資料となり得ます。
家族滞在ビザに関する法令違反を未然に防ぐチェックリスト
これまで解説してきた内容を踏まえ、日々の業務の中で家族滞在ビザに関する法令違反を未然に防ぐための実践的なチェックリストを提案します。
- 在留カードは原本を確認する
- 週28時間を超過しないようシステムで管理する
- 年に一度は在留資格の更新状況を確認する
採用時・採用後のポイントを押さえて手順化することで、リスクを大幅に軽減できます。
在留カードは原本を確認する
家族滞在ビザを持つ方の採用選考では、必ず在留カードの原本を提示してもらいましょう。
写し(コピー)の確認だけでは、偽造や有効期限切れのリスクを見逃すおそれがあるため、原本であることが肝心です。
在留カードのチェックポイントは、以下のとおりです。
確認箇所 | チェック項目 | ポイント・注意点 |
表面 | ① 在留資格 | 「家族滞在」となっていることを確認します |
② 在留期間 | 在留期間の満了日が過ぎていないか(有効期限内か)を確認します | |
③ 就労制限の有無 | 「就労不可」と記載されていることを確認します(就労ビザではないため) | |
裏面 | ④ 資格外活動許可欄 | 「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」のスタンプが押されているかを確認します |
オンライン | ⑤ 在留カード番号の有効性 | 出入国在留管理庁の照会サイトで、在留カードが失効していないかを確認します |
この確認作業は、採用プロセスの必須項目としてルール化しておきましょう。これらを確認することは企業の法的義務となるため、必ず確認をおこなってください。
週28時間を超過しないようシステムで管理する
資格外活動許可の週28時間以内という就労制限は、1分でも超えると違反となる厳格なルールです。
この時間を個人の記憶や感覚で管理するのは難しいため、客観的な仕組みの導入が不可欠です。
労働時間管理には、以下のような対策があげられます。
- 週の労働時間が上限に近づくと管理者へアラートが通知される機能を設定する
- シフト作成担当者は、必ず週の合計時間を確認してから次のシフトを組む
- 副業・兼業について、定期的なヒアリングをおこなう
とくに、本人が複数の場所で働いているケースは管理が複雑になります。
他社での就労状況を定期的に報告するよう義務付けるなど、企業側の積極的な確認が欠かせません。
年に一度は在留資格の更新状況を確認する
年に一度は、本人に扶養者の在留資格の更新状況などをヒアリングすることをおすすめします。
家族滞在ビザは、主たる扶養者の就労ビザに依存しているため、扶養者がビザの更新に失敗したり職を失ったりすると、本人の在留資格も無効になるからです。
これは、本人の在留カードの期限がまだ先であっても起こりうるリスクです。
外国人従業員の在留期限を一覧で管理し、期限の数ヶ月前には更新の意向や状況を確認する体制を整えておきましょう。
早めに確認をおこなうことで、突然の資格失効といった事態を未然に防ぎ、従業員の定着にもつながります。
まとめ
本記事では、家族滞在ビザを持つ人材を雇用する際の基本ルールや必要な許可、具体的な注意点などを解説しました。
この在留資格は、その成り立ちから他の就労ビザと大きく異なり、とくに資格外活動許可と週28時間の就労制限に関する正しい理解が、コンプライアンスの観点からきわめて重要です。
受け入れ態勢を整えることで、意図しない法令違反のリスクから企業を守り、多様な背景を持つ人材を迎え入れやすくなります。
確かな知識にもとづき、自信を持って外国人材の採用活動を進めていきましょう。
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