「医療」在留資格保持者の永住許可申請における注意点
投稿日:2025年8月19日
1. 「医療」在留資格の位置づけ
- 「医療」は、外国人医師・歯科医師などが日本国内で医療業務に従事するための在留資格。
- 医師の場合、医学部卒業後に「医師国家試験」合格、医籍登録を経て「医療」資格を得て、臨床研修を行うことが一般的。
2. 臨床研修期間中の報酬の性質
- 医師は「医師法」に基づき、臨床研修を修了しなければ独立して医師業務を行えない。
- この「臨床研修」は医師に課される義務的な研修であり、いわゆる通常の就労とは区別される。
- 研修病院から支払われる報酬は「就労対価」ではなく、研修に伴う生活補助的な性質を有する。
- そのため、臨床研修中に受ける給与は、永住申請における「安定的な就労による収入」と評価されない。
3. 永住許可申請に影響するポイント
- 永住申請においては「生計の安定性」が重視されるが、研修医期間の収入はこれに含めない。
- 特に、臨床研修終了前の申請は「自立した収入基盤を有していない」と判断され、却下されるリスクが高い。
- よって、臨床研修を修了し、独立した医師として勤務を開始し、安定的な報酬を得てから申請するのが望ましい。
4. タイミングの目安
- 臨床研修終了後、フルタイムの勤務医として契約を結び、数年分の安定収入を証明できる状態が理想。
- 特に短縮要件(高度専門職や日本人配偶者など)がない場合は、研修期間終了後からの安定収入実績を数年積むことが安全策。
5. 実務上の留意点
- 永住申請を準備する際は、研修中の収入明細だけでなく、研修修了証明書、医師免許証、勤務先病院の雇用契約書なども添付して経緯を明確にする。
- 永住審査では「今後も安定して生活できるか」が判断基準のため、研修終了後のキャリアパスを申請書で丁寧に説明することも重要。
要点まとめ
- 臨床研修中の報酬は「就労対価」と評価されない
- 永住許可申請は「研修修了後、安定収入を得てから」が安全
- 証拠書類で研修とその後のキャリアを明確化することが大切
(執筆者:朴)
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