【専門家が解説】葛飾区の旅館業・民泊条例が大幅改正。令和8年4月から「常駐」と「巡回」が義務化へ
投稿日:2026年1月20日

葛飾区において、住宅宿泊事業(民泊)および旅館業の適正な運営を確保するため、条例が大幅に改正されました。今回の改正は、周辺住民の生活環境を守るための「管理体制の強化」が主眼となっており、新規申請や今後の運営に多大な影響を及ぼします。
本記事では、許可・届出業務に携わる専門家の視点から、事業者が押さえておくべき重要な変更ポイントを解説します。
1. 住宅宿泊事業(民泊)の主な変更点
(施行日:令和8年4月1日)
民泊に関しては、これまでの「180日ルール」の運用が、管理体制によって厳格化されます。
① 営業実施制限の強化(商業地域以外)
- 変更点:
住宅宿泊事業者や管理者が「常駐」しない場合、平日の営業が禁止されます。 - 制限内容:
月曜日正午から土曜日正午まで(祝日・年末年始を除く)は宿泊させることができません。 - 実務上の注意:
毎日営業を行いたい場合は、「届出住宅内」や「隣接する建物内」等に管理者が常駐する体制を整える必要があります。
② 管理体制の厳格化と記録保存
- 巡回の義務化:
届出住宅および周辺の毎日巡回が義務付けられます。 - 苦情対応の記録:
苦情の内容や対応を記録し、3年間保存しなければなりません。 - 違反者の公表:
業務改善命令に違反した場合、氏名等が公表される規定が新設されました。
2. 旅館業の主な変更点
(施行日:令和8年4月1日 ※一部先行施行あり)
旅館業についても、いわゆる「無人ホテル」や「簡易宿所」に対する規制が強まります。
① 営業従事者の「常駐」義務化
- 変更点:
原則として、宿泊者が滞在する間、営業従事者を施設内または同一敷地内等に常駐させることが義務付けられます。 - 目的:
感染症発生時や緊急時における迅速な対応体制の整備です。
② 構造設備基準の新設
- 常駐用設備:
営業従事者が常駐するための「居室」や「専用の便所」を設けることが基準に加わりました。 - 実務上の注意:
既存施設(施行時に許可を受けている施設)は当面適用除外となりますが、建て替え時にはこの新基準を満たす必要があります。
③ 巡回と記録の義務化
- 毎日1回以上の巡回:
施設の衛生状況や周辺環境を確認し、「巡回時確認点検表」に記録して備え置く必要があります。 - 多言語説明:
騒音防止やゴミ出しルールについて、宿泊者の言語に応じた書面等での説明が義務化されました。
3. 申請書類の変更(令和7年12月17日から先行施行)
旅館業の営業許可申請において、以下の添付書類が一部不要・変更されます。
- 不要になる書類:
土地・建物の登記事項証明書、賃貸借契約書の写し等。 - 新たに必要な確認事項:
賃貸物件の場合は「承諾書」。
分譲マンション等の場合は「管理規約で禁止されていないことを証する書類」。
専門家からのアドバイス
今回の改正により、葛飾区での民泊・旅館業運営は「ただ貸し出すだけ」ではなく、「地域の一員としての徹底した管理」が法的義務として強く求められるようになります。
特に令和8年4月以降、商業地域以外で「管理者が常駐しない民泊」を検討されている方は、収益モデル(週2日程度しか営業できない点)を再考する必要があります。
また、旅館業の新規申請を予定されている方は、設計段階で「常駐用スペース」の確保が必須となる点に十分ご注意ください。
サポート行政書士法人では、最新の条例に基づいた適法な運営シミュレーションや、許可申請のサポートを行っております。
制度の詳細や、ご自身の施設が新基準に適合するか不安な方は、お早めにご相談ください。

塚本 純平
【出典】 葛飾区「規制の新旧対照表(住宅宿泊事業・旅館業)」
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