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改正資金決済法成立、暗号資産仲介業が新設されます

近年、暗号資産(仮想通貨)の取引量や関心が急増している中、日本国内においても適切な規制や利用者保護が求められています。
こうした状況を受けて、「改正資金決済法」が成立しました。

本記事では、この法律の改正内容とその影響を詳しく解説します。

今回の改正では、「暗号資産仲介業」が新設されました。
これまでは暗号資産交換業者としての登録が必要で、厳格な要件を満たさない限り暗号資産取引に参入できませんでした。
しかし、仲介業の導入により、内閣総理大臣の登録を受けることで交換業者や電子決済手段取引業者としての登録なしにユーザーとの媒介行為が可能になりました。

これにより、多くの事業者が容易に市場参入できるようになり、イノベーションを促進する環境が整備されます。
一方、仲介業者には利用者への説明義務や広告規制が交換業者等と同様に課されますが、資本規制は不要となり、参入障壁が大きく引き下げられることになります。

暗号資産業界では、国外拠点の取引業者が破綻した際に顧客資産の流出が大きなリスクとなっていました。
特に2022年11月に経営破綻した米FTXの事例では、日本国内においてもFTX Japanへの国内保有命令により資産の国外流出を阻止した経緯があります。

これまで金融商品取引法ではデリバティブ取扱事業者に対してのみ国内保有命令が可能でしたが、暗号資産現物のみを扱う事業者には適用されていませんでした。
今回の改正により、現物を扱う事業者も国外流出の懸念がある場合には内閣総理大臣が資産の国内保有を命じることが可能となり、顧客資産の保護体制がさらに強化されました。

また、国境を越える資金移動が増加する現状を踏まえ、収納代行を行う国内事業者に対して資金移動業としての登録が新たに義務化されました。
これにより、事業の透明性が向上し、規制当局が監視を強化することで違法なオンラインカジノなどの無登録業者への取り締まりが一層厳格化されます。
さらに、国際的な金融犯罪防止の観点からも有効な措置となることが期待されています。

QRコード決済をはじめとしたキャッシュレス決済が急速に普及する中、資金移動業者の破綻時に利用者への迅速かつ確実な返金が課題でした。

今回の改正により、信託銀行や保証会社を通じて直接利用者へ返金できる仕組みが新たに認められました。
この措置により、資金移動業者の破綻時でも利用者資産が確実に返還される体制が整い、安心してサービスを利用できる環境が強化されました。

今回の改正資金決済法は、業界の参入障壁を下げて新たなビジネスチャンスを生み出すとともに、利用者保護をさらに強化することで、健全かつ安全な暗号資産市場の発展を促す狙いがあります。
法改正を契機として、日本の暗号資産業界がさらに成熟し、安全かつ革新的な金融環境を実現していくことが期待されます。


(著者:矢嶋)

暗号資産仲介業に関するご相談について

サポート行政書士法人では、暗号資産仲介業の登録支援サービスを展開することを検討しています。
登録に関しては、要件確認等の事前の準備や、必要書類の整備が重要となります。
弊社は既存の金融許認可の手続きに精通しており、当該許認可についてもスムーズな登録を支援できるよう準備を進めています。


現時点ではまだご相談等を受け付けていませんが、今後の動向に合わせて情報を随時更新を行う予定です。
暗号資産・電子決済手段仲介業に興味をお持ちの方は、今後の発表をお待ちください。

主任コンサルタント 行政書士
公認AMLスペシャリスト 
清水 侑

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