2020年5月13日
指摘事例 第38条 購買情報
第38条 .購買情報 |
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省令 |
製造販売業者等は、他の方法によることが適切であることを文書により示すことができる場合を除き、購買物品に関する情報(以下「購買情報」という。)を明確にし、かつ、購買情報に次に掲げる購買物品要求事項を含めなければならない。 一 購買物品、購買物品の供給者の事業所における手順、工程並びに設備及び器具に係る要求事項 二 購買物品の供給者の構成員の適格性の確認に係る要求事項 三 購買物品の供給者の品質管理監督システムに係る要求事項 2 製造販売業者等は、購買物品の供給者に対し購買物品要求事項を提示するに当たり、あらかじめ、当該購買物品要求事項の妥当性を確認しなければならない。 3 製造販売業者等(限定第三種医療機器製造販売業者を除く。)は、第四十八条第二項の規定により手順書に定めた追跡可能性を確保した上で、関連する購買情報が記載された文書及び記録を作成し、これを保管しなければならない。ただし、限定一般医療機器に係る製品については、この限りでない。 |
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通知 |
第38条(購買情報)関係 (1)この条は、ISO13485:2003 の「7.4.2 Purchasing information」に相当するものであること。 (2)第1 項の「他の方法」とは、例えば、製造販売業者等と供給者との合意による取り決め等を指すものであること。 (3)第1 項の「購買情報」には、次のものが含まれうること。 ア.技術的な情報及び購買物品の仕様 イ.試験検査方法及び合否判定基準に関する要求事項 ウ.購買物品の品質に関する要求事項 エ.作業環境に関する要求事項 オ.法令の規定等に基づく要求事項 カ.特別な設備の要求事項や特別な指示事項 キ.評価における条件及び合意の更新に係る事項 ク.供給者の構成員の資格や力量に関する要求事項 ケ.供給者のQMS 省令又は関連する規格等の適合状況 (4)第48 条第2項の規定に基づき必要な追跡可能性を定める上においては、第3 項の規定を勘案し、作成及び保管すべき購買情報が記載された文書及び記録としてどのようなものが求められるかを定めておくべきものであること。 (5)例えばある構成部品を購買するときに、当該構成部品の仕様書の改訂に関する情報(例えば、版番号等)が製品の追跡可能性を確保する上で重要な場合においては、当該情報は購買情報が記載された文書又は記録の一部として保管されるべきものであること。 |
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指摘事例 |
購買情報の文書化 ・「品質マニュアル」の7.4.2 項では参照文書として「購買仕様書」、記録は「購買情報」が上げられていた。しかしながら、それらに該当する文書、記録を確認できなかった。 ・供給者と基本取引契約を締結していたが、品質を維持するための活動に関して、取り決めされていなかった。 ・添付文書の購買に係る購買情報が品質文書又は記録として保管されていることを確認できなかった。 ・製品の原材料の購買物品要求事項について、購買先に明示し合意していることを確認できなかった。また、当該原材料の納品仕様書の記載内容が承認書と整合していることを確認できなかった。 ・製造工程で使用する接着剤等の購買仕様が明確でなかった。 購買物品要求事項の妥当性の確認 ・購買情報である「注文書(T 社)」を確認したところ、購買物品要求事項の妥当性を確認した結果が確認できなかった。 |
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解説 |
コメント ・供給者に係る要求事項が含まれているか確認。 →実物に関する要求事項だけでなく、職員の適格性確認やQMSに係る要求事項も含めることが要求されているので注意する。もちろん、逐条解説のア~ケに記載された事項を含める。 ・購買物品要求事項の妥当性が、あらかじめ確認されているか。 →事前に妥当性の確認をする。購買品に関しても妥当性を確認した後に購買先に提供するシステムにする。妥当性を確認する時期も手順にしておく。電子システムの場合、バージョンなども具体的に規定しておく。 ・購買情報のトレーサビリティが適切に確保されているか。 →まずトレーサビリティが必要なものが明確にする。そして、その記録を手順に従って保管する。 ・購買情報が具体的に文書化されているか。 →文書化される形態により、取決め書、購買・納入仕様書、図面、検査・試験仕様(手順)書、QC 工程表、検査表、カタログ、安全データシート(SDS)等の形式をとりうること。 ・顧客要求事項が供給者にとって受け入れ可能なものか注意。 →購買物品要求事項は、供給者に伝達されて、存誦される必要がある。よって、供給者にとって受け入れ可能なものでなければならない。 ・識別の仕方が供給者と製造販売業者で異なる場合。 →供給先での識別(製造番号、製品名など)と製造販売業者等における識別の仕方が異なるなら、相互が明確に紐づけられるようにし、文書化もしておく必要がある。 ・再評価の判定基準はあるか。 →最初の評価は当然だが、再評価の判定基準も規定する。 ・購買情報は供給者に伝達がきちんとできているか注意。 →取り決め書などにも含めて、文書で伝達しておくようにする。 |