道路運送法 ~タクシー・ハイヤーの柔軟な運賃設定が可能に!~

改正法(重要度:★★☆)

地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令

(令和5年7月21日政令第246号)

公布日・施行日

公布日:2023(令和5)年7月21日

施行日:2023(令和5)年10月1日

改正の概要

◆ここがポイント!→協議による柔軟な運賃設定が可能に!

今まで、タクシー及びハイヤーの運賃は、国土交通省の認可によってのみ設定されていました。

今回の改正で、地域の関係者間の協議が調い、国土交通大臣への届出がなされれることで、柔軟な運賃設定が可能となりました。

改正による影響

<必要な対応>

  • 1地域(都道府県・市区町村)の協議会で協議を調える
  • 国土交通大臣への届出

<対象>

タクシー及びハイヤーの協議運賃制度は都市部以外の地域が対象となります。

(全国で営業区域の約8割、車両数の約1割が対象)

自社の営業区域が協議運賃制度の対象地域になるのかどうかついては、各自治体にご確認ください。

改正の詳細

タクシー及びハイヤーの運賃については認可制度を堅持し、総括原価方式(営業に必要な原価+適正な利潤)を用いた運賃を、国土交通省が認可することによってのみ設定されていました。

今回の改正で創設された協議運賃制度では、1地域(都道府県・市区町村)の協議会で協議が調い、国土交通大臣への届出がなされれば運賃設定が可能となり、現行の運賃設定である、総括原価方式や公定幅外でも運賃設定が可能となりました。

道路運送法第9条の3項

「一般乗合旅客自動車運送事業者は、第一項の認可を受けた運賃等の上限の範囲内で運賃等を定め、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」

に追加して、

「一般乗合旅客自動車運送事業者は、次に掲げる者を構成員とする協議会において、地域における需要に応じ当該地域の住民の生活のための旅客の運送を確保する必要がある路線又は営業区域(以下この項において「路線等」という。)に係る運賃等について協議が調つたときは、第一項及び前項の規定にかかわらず、当該協議が調つた事項を国土交通大臣に届け出ることにより、当該運賃等を定めることができる。当該協議会において当該運賃等の変更について協議が調つたときも、同様とする。」旨の規定が創設されました。

協議会の構成員は、自治体、事業者、運輸局、地域住民(労働者が外れた)で協議するにあたり、公聴会その他の方法で利害関係者(労働組合など)の意見を反映させることになっています。

改正の背景

人口減少等による長期的な利用者の落ち込みに加え、新型コロナウイルス感染症のまん延により、地域交通を取り巻く状況は年々悪化しています。そこで、あらゆる交通モードにおける地域の関係者の連携・協働を通じ、利便性・持続可能性・生産性が向上するよう、地域公共交通ネットワークを再構築することが求められています。

協議運賃制度は、タクシー及びハイヤーについて運賃設定を柔軟にし、より利用者を確保することで運送収入を増やすことを目指して導入されました。

関連法【消費税法施行令】

今回の改正では、消費税法施行令((昭和63年政令第360号)についても、一部改正されました。

一般乗用旅客自動車運送事業のうち、当該一般乗用旅客自動車運送事業として行う旅客の運送の引受けが営業所のみにおいて行われるものとして、協議運賃制度により設定された運賃等が適用されるものについても、適格請求書発行事業者が適格請求書に代えて適格簡易請求書を交付することができる事業から除外される旨の規定が創設されました。

インボイス制度の規定におけるタクシーについては、適格請求書に代えて適格簡易請求書を交付することができます。しかし、ハイヤーについては、協議運賃制度が創設されたことにより、「適格簡易請求書の交付が認められる事業の範囲」から除外される規定が創設されました。したがって、ハイヤーについては、適格請求書の交付となります。

参考情報

【参考資料】

◆国土交通省

 『パブリックコメント』

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=155230108&Mode=1

◆国土交通省

 『国土交通省HP「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律」概要』

Microsoft PowerPoint – 230206 ;’ “˜ÕI Õ‰H‡† aj÷jWr33.pptx (mlit.go.jp)

◆国土交通省

 『国土交通省HP 新旧対照表』

001620017.pdf (mlit.go.jp)

◆国土交通省

 『国土交通省HP』

https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo12_hh_000328.html

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行政処分事例の解説 新規許可編①

こんにちは、サポート行政書士法人の三瓶です。
 
本日は、一般乗用旅客自動車運送事業の新規許可後に行われている行政監査を発端とした行政処分事例について、その内容を紹介します。
 
行政監査というと、●年に1回といったように一定の周期で行われているイメージがありますが、新規許可後一定期間を開けて実施されることがあります。
この事例を参考に自社の監査対策をしっかり行っていきましょう!

主任コンサルタント 三瓶 良輔

<処分内容> 輸送施設の使用停止(90日車)

処分理由

  • (1)運転者に対する指導監督義務違反
  • (2)定期点検整備等の未実施
  • (3)整備管理者の研修受講義務違反
  • (4)運王管理規程の制定義務違反

この処分理由の中から、「(1)運転者に対する指導監督義務違反」について解説します。

※日車とは、1台の車両を1日運行停止すれば、「1日車」という単位で表します。
  例えば車両が10台ある輸送施設の場合、毎日5台を18日間運行停止すると
 「5台×18日=90日」という計算になり、90日車分の停止処分を受けたことになります。

<解説> 根拠法令:旅客自動車運送事業運輸規則第38条第1項

この条文では「乗務員の監督」について規定されています。
事業者として、雇用している運転者に対して運転技術や法令で定められている運転に関する事項について適切な指導監督をしなければならないとされています。ではどのように指導監督をしていくのか。
 
具体的な指導監督の内容は「運輸規則第38条第1項及び第2項の規定に基づき旅客自動車運送事業者 が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」として告示されています。
実際に内容を読み解くと、指導及び監督に関する具体的な内容や実施にあたって配慮すべき事項、特定の運転者に対する特別な指導の指針などについて書かれています。
事業者としては、この告示内容をしっかりと理解し、指導監督を実行していく義務があります。
加えて、指導監督を行った場合は「指導及び監督を実施した日時、場所及び内容並びに指導監督を行った者及び受けた者を記録し、かつ、その記録を営業所において保存するもの」とされています。
つまり行政監査においては、指導監督の記録が確認され、適切な実施がされているのか、記録の保存ができているかが見られます。
 
「運転者に対する指導監督義務違反」が行政処分の理由となる場合、特定の運転者(初任運転者や高齢者など)に対する特別な指導が行われていないことや、そもそも指導監督に対する記録が確認できない場合が多いです。告示内容をしっかり理解し、事業者として実施する体制の構築が不可欠です!改めて告示の理解を深めていきましょう。
 
やっと許可を取得していざスタート!となるとこういった事業上準備が必要な対応がおろそかになりがちです。今一度、運送事業者として課せられる義務を理解し、事業スタート時から適切な運営管理体制を構築できるよう準備が必要です。
 
弊社ではスタートアップ時はもちろん、既存の事業者に対しても適切な運営管理体制を構築するためのサポートを実施しております。 お気軽にお問合せください。




国土交通省が運送事業者の支援対象を拡大

国土交通省が貨物自動車運送事業分野に係る経営力向上に関する指針等の 一部を改正する告示案を公表しました。具体的な改正の内容は、従来は中小企業のみを対象としていた経営力向上計画の認定対象を中小事業者意外にも拡大するほか、M&Aを支援対象として明確します。意見募集の手続きを経て、令和3年7月下旬にも改正を公布・施行する予定とのことです。

 

「経営力向上計画」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画で認定された事業者が税制や金融の支援等を受けることができる制度です。

中小企業等経営強化法では、事業分野を所管する省庁において、基本方針に基づき、事業分野ごとに生産性向上の方法等を示した事業分野別の指針を策定することになっています。経営力向上計画に取組む事業分野において、「事業分野別指針」が策定されている場合、認定を受けようとする当該指針を踏まえて策定する必要があります。

経営力向上が特に必要と認められる分野ついては、各分野の監督官庁が個別に指針を設定し、経営力向上計画を策定する事業者はその指針に従うこととされています。

経営力向上が特に必要と認められる分野ついては、各分野の監督官庁が個別に指針を設定し、経営力向上計画を策定する事業者はその指針に従うこととされています。

 

 

自動車運送事業は事業分野別の指針が設定されている事業分野の一つです。国土交通省により、「貨物自動車運送」、「旅客自動車運送」、「自動車整備」の各事業分野について、経営力向上に関する指針が定められています。

 

サポート行政書士法人では、経営力向上計画の策定サポートを行っています。設備投資等を検討している事業様は認定を受けることで支援を受けられる可能性があります。サービス内容についてはリンクをご確認ください。




トラック事業のハードルがあがった?

こんにちは!

自社のトラックを用いて運送を行う事業(一般貨物運送事業)の審査基準改定をご存知ですか?

この11月より施行された新しい審査基準では新規参入を考える上では見逃せない改訂がありました。

その改訂内容の一つは「資金計画の計上期間の延長です。

 

一般貨物運送事業の許可を受けるには事業開始にかかる資金計画の作成が求められ、その資金を確保していることが必要です。

その資金計画は事業開始からどれぐらいの期間を想定すれば良いのか?この計上するべき期間の基準が以下のように変更になりました。

 

・人件費、燃料費、油脂費、修繕費 2か月→6か月

・車両費、施設購入、使用料 6か月→12カ月

 

この改訂により、事業開始当初に準備しておくべき資金がより増加しました。

 

トラック事業への参入・事業拡大を考えている事業者様にとっては難易度が上がったと言ってよいでしょう。

 

我々物流チームでは、数多くの高難易度の物流業参入のサポート実績があります。

 

色々準備してきたけどこのまま許可を受けられるかわからない・・・

 

そんな不安を抱える事業者様に我々が課題を一つ一つ解決し、スムーズな事業開始のお手伝いをさせていただきます。




資金要件について

こんにちは。 運送業許可担当 名古屋支店の井浪です。

運送業許可を取得するには資金要件をクリアする必要があります。

資金要件とは開業資金のことで、人件費、車両費、施設費、保険料等の一定の月数分を合計した金額以上の自己資金を有しているかを残高証明書で証明しなければいけません。

この自己資金は許可申請~許可取得日まで常に確保している必要があります。

何故なら申請時に残高証明書を添付して提出し、審査中のどこかのタイミングで運輸局から残高証明書を再度取得するよう指示があります。

この時に自己資金を割っていたら不許可となってしまいます。

運送業を行うには多くの資金が必要になります。計画性をもって申請を行いましょう!




トラック業者様へ 新約款適用により運賃・料金の変更届が必要です

こんにちは。
秋葉原支店の熊野です。

 

2017114日に施行した標準貨物自動車運送約款等の改正により、新約款を適用するトラック業者は、運輸支局に対し運賃・料金の変更を届け出る必要があるのはご存知ですか。

 

新約款の大きな改正点は、「積込料」、「取卸料」、「待機時間料」等の運送以外の役務の対価を「料金」として、運送状に具体的に明示する必要がある点です。これにより、トラック業者が荷主に対して、業務量に応じた「運賃」及び「料金」を収受できるようになるというメリットがあり、一部のトラック事業者は荷主との運賃改定交渉のツールとして使っているようです。

 

そのため、国土交通省は新約款の使用を推奨しており、11月4日以降速やかに届出を行うよう求めていましたが、変更を届け出たトラック業者は全体の3割程度となっているのが現状です。(1215日現在)

新約款を適用し「積込料」、「取卸料」、「待機時間料」等を収受するためには、運賃・料金の変更届の提出が必要です。また、旧標準定款又は新たに独自に定めた約款を使用する場合でも、認可申請の手続きが必須です。運賃料金変更届出又は約款の認可申請のいずれも行っていない場合、監査等において違反の対象となりますのでご注意ください。

 

弊社では、運賃・料金の変更届をはじめ各種変更届の申請をサポートしています。
初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。

 

《参考》
・国土交通省「標準貨物自動車運送約款等の改正について」http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr4_000020.html




標準貨物自動車運送約款等が改正されました

こんにちは。秋葉原オフィスの三瓶です。

 

平成29年11月4日付で標準貨物自動車運送事業約款、標準貨物軽自動車運送約款が改正されました。

今回の約款改正ポイントは以下の3点です。

 

①「運賃(運送の対価のみ)」と「料金(運送以外の役務等の対価)」の区別が明確化されました。

②「待機時間料」が新たに規定されました。

③附帯業務の内容がより明確になりました。(棚入れ、ラベル貼り等)

 

改正に伴い、既存のトラック事業者様は以下の対応が必要となります。

 

・新標準約款を営業所に掲示する

➢約款を掲示していない場合、罰則の対象となります。

 

・運賃・料金表の変更届出を行う

➢「積込料」「取卸料」「待機時間料」を新たに設定する必要があります。

 

約款の掲示はすぐに対応ができると思いますが、運賃・料金表については、

すでに作成している料金表を改正に併せて再作成し、運輸局への届出の提出が必要になります。

 

届出については変更後30日以内とされておりますので、改正のあった11月4日から30日以内での対応が必要になります。

届出に際して、ご不明点等あればお気兼ねなくご相談ください。




車庫前の道路の幅員

車庫前の道路の幅員は、一般的に6.5メートル必要となります。
これは、車両制限令という法律で決まっています。

しかし、どうしても準備できる場所の前面道路が上記幅員に満たないといった場合、
申請することができないかというと、そのようなことはありません。

貨物自動車運送事業の申請に際して、その場所を管轄する自治体に確認することをおすすめします。




道路幅員証明書の取得について

 一般的に道路の幅員証明書を取得するには、該当道路を管轄する役所(土木事務所)でどなたでも取得することが可能ですが、極稀に、土地の所有者による承諾(委任状)が必要な場合があります。

 

また、即日発行されるイメージがありますが、場所によっては証明書発行まで日数を要することがあります。

 

貨物自動車運送事業の申請に際して、幅員証明書の取得は余裕を持って行うことをおすすめします。




車庫スペースの確保

貨物運送事業の許可申請、変更認可申請の際に頻繁に問題となるのが登録(変更)する車庫の面積についてです。

 

登録する車両台数に対して必要となる面積を確保することが重要となりますが、その他にも車両ごとの間隔を50cm以上ずつ空ける必要があります。

 

この時注意が必要なのが、車両1台につき50cmで計算するのではなく、前後・左右それぞれで50cmずつの1mを考慮して配置をしなければいけないということです。

 

車両台数に対してのトータルの面積で車庫スペースを確保される業者さんがいますが、しっかりと車両ごとに配置するスペースに余裕があるかを検討する必要があります。