不動産特定共同事業

不特事業業務運営

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法第14条第1項、第16条第1項、第18条、第20条、第21条、第21条の2、第22条、第23条、第24条第1項及び第3項、第25条第1項、第31条の2及び第65条の規定等に係る監督に当たっては、投資家保護の観点から、次に掲げる事項に留意する必要があります。

投機的取引の抑制(法第14条第2項)

例えば、不動産特定共同事業者、不動産特定共同事業者等が地価の上昇による転売益のみを目的として対象不動産を短期的に売却する行為は、行ってはいけません。これに違反した場合、法第34条又は第35条に規定する指示又は業務停止命令の対象と なりうることがあります。

標識の掲示(法第16条第1項)

法第16条第1項に規定する「公衆の見やすい場所」とは、事務所の内外を問わず事業参加者が容易に見ることができる場所のことをさします。材質については、金属等長期の使用に耐え得るものを用いなくてはいけません。

広告の規制(法第18条)

不動産特定共同事業者又は小規模不動産特定共同事業者が行う広告の表示は、投資家への投資勧誘の導入部分に当たり、明瞭かつ正確な表示による情報提供が適正な投資勧誘の履行を確保する観点から最も重要ですが、その徹底に当たっては、以下の点に特に注意してください。

(1) 申込者の判断に影響を及ぼすこととなる重要事項に関する留意事項

・申込者が支払うべき手数料、報酬、その他の対価又は費用が無料又は実際のものよりも著しく低額であるかのように誤解させるような表示をしていないか。

・許可申請書に記載した商号又は名称と異なるもの を用いた表示をしていないか。等

(2) 明瞭かつ正確な表示

・取引の長所に係る表示のみを強調し、短所に係る表示が目立ちにくい表示を行っていないか。等

(3) 誇大広告に関する留意事項

・不動産特定共同事業に係る不動産取引により確実に利益を得られるかのように誤解させて、投資意欲を不当に刺激するような表示をしていないか。等

不当な勧誘行為等の禁止①(法第20条、第21条、第21条 の2及び第22条)

法第20条、第21条、第21条の2及び第22条並びに規則第38条により不当な勧誘等に該当するか、以下のような禁止行為が該当します。

・社会的に過剰な営業活動であると批判を浴びるような勧誘をする行為

・不動産の空室リスク等を投資家に負わせないよう、一括転貸 借契約、保証契約その他により、信用補完措置が適正になされ ている場合において、その根拠を示し予想利回りを表示する行為 等

不動産特定共同事業者及び小規模不動産特定共同事業者は、法第21条の2で準用する金融商品取引法第40条の規定に基づき、投資家の知識、経験、財産の状況、 投資目的やリスク管理判断能力等に応じた取引内容や取引条件に留意し、投資家属性等に即した適正な投資勧誘の履行を確保する必要があります。

そのため、投資家の属性等及び取引実態を的確に把握し得る投資家の管理態勢を確立することが重要であり、例えば以下のような点に気を付けてください。特にインターネット取引については細心の注意が必要です。

・投資家属性等の的確な把握及び投資家情報の管理の徹底

投資家の投資意向、投資経験等の投資家属性等を適時適切に把握するため、投資目的・意向を十分確認し、当該投資目的・意向を不動産特定共同事業者又は小規模不動産特定共同 事業者と投資家の双方で共有できているか。また、投資家の申出に基づき、投資家の投資目的・意向が変化したことを把握した場合には、変更後の内容を不動産特定共同事業者又は小規模不動産特定共同事業者と投資家の双方で共有するなど、 投資勧誘に当たっては、当該投資家属性等に即した適正な勧誘に努めるよう役職員に徹底しているか。 等

不当な勧誘行為等の禁止②

さらに、高齢の投資家は、過去の投資経験が十分であったとしても、身体的な衰えに加え、短期的に投資判断能力が変化する場合もあることから高齢の投資家に対する投資勧誘においては、適合性の原則に基づいて、慎重な勧誘・販売態勢を確保するとともに、問題のある勧誘・販売を早期に発見するためのモニタリング態勢を整備する必要があります。また、商品販売後においても、丁寧にフォローアップしていく必要がります。

以上を踏まえ、以下の気を付けてください。

・商品の販売後においても、高齢の投資家の立場に立ってきめ細かく相談にのり、投資判断をサポートするなど丁寧なフォローアップを行っているか。 等

約款に基づく契約の締結(法第23条)

・不動産特定共同事業者、小規模不動産特定共同事業者又は特例事業者が締結する不動産特定共同事業契約は、法第3条第1項の 許可、法第9条第1項の認可、法第42条第1項の登録又は法第 46条第1項の変更登録に係る不動産特定共同事業契約約款に基づいて締結する必要があるものの、必ずしも不動産特定共同事業契約約款と一字一句同一の文言の契約である必要はなく、不動産特定共同事業契約において字句を修正する程度のものは法第23条に違反するものではありません。

・規則第14条又は第65条に規定する軽微な追加又は変更に該当する事項についての不動産特定共同事業契約約款の変更については、法第9条第1項の認可又は法第46条第1項の変更登録を受ける必要はありません。

不動産特定共同事業契約の成立前の書面の交付(法第24条 第1項)

法第24条第1項の規定により交付される不動産特定共同事業契約の成立前の書面において、規則第43条第1項に規定する事項が記載されていること、また、以下の点注意して交付してください。

・特例事業の場合 、 規則第43条第1項第11号に規定する「不動産特定共同事業契約の法第2条第3項各号に掲げる契約の種別及び当該種別に応じた不動産特定共同事業の仕組み」には、不動産特定共同事業契約の締結の相手方が不動産特定共同事業者ではなく特例事業者であること、特例事業者が法第4条 第1号に掲げる行為を専ら行うことを目的とする法人であること等が記載されていること。

・規則第43条第1項第31号に規定する「損失発生要因に関 する事項」は、空室の発生、賃料の下落、対象不動産の評価額の下落等により元本欠損が生ずるおそれがあるときは、その旨を含むこと。なお、法第2条第3項第3号に規定する不動産特 定共同事業契約については、安定した事業の継続又は円滑な事 業の終了を確保するための措置の有無及びその内容が記載されていること。 等

情報通信の技術を利用した提供(法第24条第3項)

令第8条第1項に規定する承諾については、あらかじめ包括的に承諾を得ることも可能ですが、その際には、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示す必要があります。交付される不動産特定共同事業契約の成立前の書面が電磁的方法により提供される場合には、投資家がその操作する電子計算機の画面上に表示される説明事項を読み、その内容を理解した上で画面上のボタンをクリックする等の方法で、投資家が理解した旨を確認することにより、規定する説明を行ったものとみなされます。

不動産特定共同事業契約の成立時の書面の交付(法第25条 第1項)

交付される不動産特定共同事業契約の成立時の書面において、法第25条第1項及び規則第47条に規定する事項が記載されている必要があります。第四号事業を行う不動産特定共同事業者が法第25条第1項の規定により交付する不動産特定共同事業契約の成立時の書面においては、当該不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務を委託された不動産特定共同事業者(第三号事業を行う者に 限る。)又は小規模不動産特定共同事業者(小規模第二号事業を行う者に限る。)に係る法第25条第1項及び規則第47条に規定する事項も記載されていることが必要です。