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2014年2月1日

貨物自動車運送事業法における荷主勧告の運用通達の改正

サポート行政書士法人・物流チームの三瓶です。

 

国土交通省は「貨物自動車運送事業法における荷主勧告制度の運用通達の改正について」を発表しました。

 

運送業者の適正な事業運営には、荷主の協力は欠かせません。

 

現在、運送業界では、行政処分の厳罰化やマネジメントシステムの導入など、悪質業者の徹底排除をスローガンに取り組んでおり、今回の荷主勧告の制度改正もその一環といえます。

 

詳しく見ていきたいと思います。

荷主勧告制度とは、トラック運送事業者に対して過積載運行等の法令違反があった場合に、その法令違反に荷主が指示するなど、荷主の主体的な関与があった場合に、国土交通省がその荷主に対する是正措置を勧告する制度をいいますが、実際のところ運送業者の方でもこの制度自体を知っている方がほとんどいないと言っていいほど、制度自体が形骸化していていました。これまで勧告実績もありません。


今回の改正ポイントは2点です。


①荷主勧告

改正前は、荷主勧告の前提となるトラック運送事業者の違反行為は、過積載運行・過労運転防止違反・最高速度違反の3つに限定されていました。

今回の改正では、この3つ以外でも輸送の安全に係る違反であれば、荷主勧告の対象となるように改正されました。

また、改正前は、荷主勧告を行うためには、「警告的内容の協力要請書」という警告書が発出されている必要がありましたが、今後はトラック運送事業者の違反が、「主として荷主の行為に起因するものであると認められるとき」には、いきなり荷主勧告を発動できるようにもなっています。


②警告書

現行の「警告的内容の協力要請書」を「警告書」に変更します。


 

また、現行「警告的内容の協力要請書」は発出するためには、「一般的内容の協力要請書」の発出実績が必要である運用を、荷主勧告に至らないものの、トラック運送事業者の違反行為に荷主の関与が認められ、違反行為の再発防止のため必要なときは、「警告書」を発出できるように改正がされました。

 

 

 

制度全体をまとめると

 

現行、最終的な荷主勧告を行うためには、

 

 

トラック運送事業者の違反行為 ⇒ 一般的内容の協力要請書 ⇒ 警告的内容の協力要請書 ⇒ 荷主勧告

 

 

このような段階を踏む必要がありましたが、

 

今回の改正で、荷主の関与状況に応じて、

 

 

トラック運送事業者の違反行為 ⇒ 即 荷主勧告

 

 

トラック運送事業者の違反行為 ⇒ 即 警告書(警告的内容の協力要請書)

 

 

トラック運送事業者の違反行為 ⇒ 協力要請書 ⇒ 警告書 ⇒ 荷主勧告

 

 

このように対応方法が増えたというかたちになります

 

トラック運送事業者の対応方法としては、荷主に対して、案内等を送るなど、国交省の取組みをバックに、荷主にアピールすることが必要だと思います。

 

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国土交通省 資料 荷主勧告制度改正の概要

 

1:改正趣旨

荷主勧告とは、貨物自動車運送事業法(以下「法」という。)第64条に より、実運送事業者が行政処分等を受ける場合に、当該処分等に係る違反行 為が主に荷主の行為に起因するものであると認められる場合に、当該荷主に 対して、再発防止のための勧告を行うものである。

 

現行の荷主勧告の運用を定める局長通達等について、安全阻害行為を一層 的確に防止するため、荷主勧告の対象とする重点的な類型等を明示すること や、荷主勧告発動に先駆けて、「協力要請書」の発出を要件としないことと する等を措置することを内容とした改正を行うもの。

 

 

2:荷主勧告対象の重点的類型の設定及び調査端緒の明確化

(1) 荷主勧告の対象となる荷主の行為の重点的類型

荷主勧告発動の対象となり得る荷主の行為として次の類型を明記し、こ れらの類型に掲げる荷主の行為が認められた場合は、法第64条第1項の 構成要件に該当するかを、個別具体事案について適切に調査の上、運輸局 より速やかに本省に勧告案を上申することとする。

 

ア:荷主が、実運送事業者に対する優越的地位や継続的な取引関係を利用 して次の行為を行った事例

(ア) 非合理的な到着時間の設定

(イ) やむを得ない遅延に対するペナルティの設定

(ウ) 積込み前に貨物量を増やすような急な依頼

(エ) 荷主管理に係る荷捌き場において、手待ち時間を恒常的に発生させ ているにもかかわらず、

  実運送事業者の要請に対し通常行われるべき改 善措置を行わないこと

 

イ:実運送事業者の違反に関し、荷主の関係者が共同正犯若しくは教唆犯 又は強要罪で公訴が

  提起された事例その他荷主の指示等が認められた事例

 

(2) 調査端緒

実運送事業者の違反に関し、荷主勧告の調査の端緒とするべき状況は、 およそ次の類型とする。

ア:実運送事業者に対する監査等において、運送契約書等の書類、関係者 からの証言等から、

  当該事業者が行った違反に関し、荷主の主体的な関 与の疑いが認められた場合

イ:同一の荷主と取引関係にある複数の実運送事業者について、同一の違 反を行った場合

ウ:過去3年以内に警告書(警告的内容の協力要請書を含む。)が発出された荷主について、

  該荷主の運送依頼により、実運送事業者が同種の 違反で行政処分を課された場合

エ:実運送事業者の違反に対し、荷主関係者が共同正犯、教唆犯、強要等 で捜査機関が捜査

オ:荷主が、過積載車両の運転の要求等(道路交通法第58条の5第1項 各号に規定する行為)を

  行ったとして、警察署長が同条第2項に基づく 再発防止命令書を発出

 

3 :「荷主勧告」、「警告書」及び「協力要請書」の位置付けの整理

(1) 荷主勧告

法64条第1項の規定により、実運送事業者の違反行為が主として荷主 の行為に起因するものであり、かつ、実運送事業者への処分のみでは再発 防止が困難であると認められる場合に発動するもの。 荷主勧告を発動した場合、当該荷主名及び事案の概要を公表する。

 

(2) 警告書(現行の「警告的内容の協力要請書」を「警告書」に改める)

荷主勧告制度を補完する観点から、荷主勧告には至らないものの、実運 送事業者の違反に関し荷主の関与が認められる場合に発出するもの。

 

(3) 協力要請書

荷主勧告制度を補完する観点から、実運送事業者の違反に関し、荷主の 明確な関与は認められないものの、当該違反の再発防止のため、荷主の協 力を要請する必要がある場合に発出するもの。

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