2017年12月11日
不動産特定共同事業法の改正(平成29年12月~)
こんにちは。
新宿本社の増野です。
今日は、平成29年12月に改正を迎えた不動産特定共同事業法について、
改正ポイントを見ていきたいと思います。
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■ 法改正の背景
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不動産特定共同事業は、ちょうど4年前(平成25年12月)にも大きな改正があり、
それまで「第1・2号事業」しか存在しなかった不動産特定共同事業の行為種別に、
「第3・4号事業」が新設され、現物不動産投資の分野でも倒産隔離スキームが選択できるようになりました。
その時「いよいよ不動産特定共同事業が使いやすくなるぞ!」と盛り上がったものの、
「第3・4号事業」の場合、「出資者(事業参加者)が特例投資家(プロ投資家)に限定される」という
大きな問題点がありました。
いわゆる一般の投資家を対象に不動産特定共同事業を行う場合は、
結局、一番ハードルの高い「第1号事業」を目指すしかない現実がありました。
また、「第1号事業」を使った従来スキームでも、「第3号事業」を使った倒産隔離型スキームでも、
不動産特定共同事業許可を取得するには、「会計監査を受けた財務諸表(3期分)の提出」(※)が
求められるようになり、一般の事業者の方にとっては、どちらにしてもハードルが高い現実がありました。
(※平成25年10月1日以後に開始する事業年度に係る書類から、会計監査が求められています)
このような背景から、平成25年に法改正はあったものの以下の状況は変わりませんでした。
・現物不動産を信託受益権化して、第二種金商業×投資運用業の範囲で運用するしかない。
・TMKスキームを使おうにも、資産流動化計画等の負担や制限事項により、利用できるケースが限られる。
・そもそも地方の小規模不動産は、信託受益権化ができないので、結局手つかずに。
・地方事業者にとっては、そもそも許可取得が非現実的で、不特スキームが選択肢になり得ない。 等
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■ 改正不動産特定共同事業の概要
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地方の空き家問題等が深刻化する中で、地方の老朽化・遊休不動産に民間の資金をまわし、
地方創生等をより進めるにあたって、不動産特定共同事業のハードルの高さがネックになっていたことから、
今回平成29年12月1日付の法改正により、テコ入れが行なわれた格好です。
具体的には、以下のような改正が行われました。
①小規模不動産特定共同事業の新設
②電子取扱業務の創設
③特例事業の投資家(事業参加者)要件の緩和
④特例投資家(プロ)向け事業における約款規制の廃止
⑤プロ向け事業の創設(「適格特例投資家」の新設)
注目を集めているのは、「①小規模不動産特定共同事業の新設」です。
次回以降、改正の詳細に触れていきたいと思います。