暗号資産交換業(仮想通貨)

登録する事業内容

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事業内容によって登録の難しさが変わる?

事業者が仮想通貨交換業を登録しようとする時は、すでに行いたい事業が決まっている場合がほとんどだと思います。しかし、事業内容によって登録が難しくなったり簡単になったりします。そのため、どんな事業を行おうとしているのか注意する必要があります。
今回は、どのような事業であれば登録がスムーズになりやすいのか、どうしてそのような仕組みになっているかを見ていきます。

販売所・交換所のみならスムーズ

結論から述べますが、仮想通貨の販売所・交換所のみを扱う場合は、取引所やウォレットの事業を行う場合に比べ、登録申請は簡易になりやすいと言えます。



どういうことかというと、登録申請というのは、一つ一つ規制というハードルを超えていくハードル走のようなものなのです。そのハードルは、事業内容によって増えたり減ったりします。販売所・交換所というシンプルな仕組みであればハードルは最低限で済みますが、取引所やウォレットを扱うのであればハードルは増えていくというイメージです。



では、具体的に見ていきましょう。ウォレットを提供する場合は、利用者の金銭や仮想通貨を預かるため、「分別管理」のハードルがでてきます。「分別管理」とは、利用者の金銭や仮想通貨と、事業者の金銭や仮想通貨を分けて管理するという規制です。「分別管理」をしなくてはいけない場合は、申請前にどうやって分別管理をするか具体的に決定し、その社内規定を定め、それらを当局に認めてもらう必要があります。そして登録された後はその通りに運用しなくてはなりません。実際、事業者が登録申請を進める中では、当局が「分別管理」のやり方に疑いをもち、「これはどういうことですか?これで分別管理できますか?◯◯◯のようにしてください」というような形で指導が入るケースもあります。そうして登録申請が長く厳しくなっていくのです。



また、「システムリスク対策」も突破しなくてはならないハードルとなります。「システムリスク」とは、事業者の仮想通貨交換業に関わるITシステムに対するリスクのことで、具体的な例としてハッキングや不具合が挙げられます。ウォレットを扱う場合は通常利用者の金銭・仮想通貨を預かるため、それらをハッキング等から守る対策を講じなければなりませんし、取引所を扱う場合にしても、通常はITシステムで利用者同士のマッチングを行いますから、そのITシステムが異常をきたさないように対策を練らなければなりません。当然、社内規定を定め、当局の指導を受け、認めてもらわなければ登録は進まないことになります。

事業内容は登録後に追加できる

仮想通貨交換業の登録は、事業内容ごとではなく、事業者ごとに一つ与えられます。販売所、取引所、ウォレットを全て扱う事業者は、自らがもつ一つの登録にその全ての事業を含ませることになります。新たな事業内容を始める際には、自らの登録に追加する形になります。


例を挙げると、仮想通貨の販売所だけで登録をしたチケット販売業者が、その後に仮想通貨の取引所を始める場合、自らの登録に取引所の事業内容を追加する(=当局へ変更届を提出する)とその事業が可能になります。

新規登録時にやりたい事業をすべて入れるのか、それとも最初は最低限の事業で始め後から追加するのか。どちらが良いのかはケース・バイ・ケースですが、事業内容は後から追加できると覚えておくと、登録申請を戦略的に進めやすく、事業者にとってのビジネスの戦略の幅が広がるのではないでしょうか。

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