宅建 IT重説スタート

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今回は、今週からスタートした、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)の

「IT重説」についてです。



━━━━━< 目次 >━━━━━━━━
1.IT重説、本格運用スタート(平成29年10月1日~)
2.具体的な運用方法
3.IT重説実施上の注意事項
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≫≫≫ IT重説、本格運用スタート(平成29年10月1日~)
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宅建業法第35条では、「重要事項の説明等」と題して、
いわゆる「重要事項説明」に関する説明・書面交付義務が定められています。

これまで、この重要事項説明は、取引士が「対面」で行う他、
取引士が記名押印した上で、「書面」で交付することが義務付けられていました。


しかし、直接×対面での重要事項説明は、遠隔地からの移動負担や日程調整負担も大きいことから、

不動産の取引現場でも、IT技術を活用することで効率化が図れないかと検討されるようになりました。

こうした現状を受け、国土交通省では・・・

平成26年から「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」を開催した後、
平成27年からは、実際にIT重説を試行する社会実験に参加してくれる宅建業者(登録事業者)を募り、

「IT重説社会実験・検証」を繰り返してきました。

その社会実験の結果等を受けて、今回、まずは「賃貸取引」に限定して、
IT重説を本格運用スタートすることとなりました。


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≫≫≫ 具体的な運用方法
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IT重説は、基本的に全ての宅地建物取引業者・宅地建物取引士が行うことができますが、
以下に掲げるIT環境整備・対応方法を、全てクリアする必要がありますので注意しましょう。

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(1)双方向でやり取りできるIT環境の整備
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「説明をする宅地建物取引士」及び「説明を受けようとする者」が、
以下の要素を備えた「双方向でやり取りできる環境」で実施する必要があります。

●図面等の書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認できること
●双方が発する音声を十分に聞き取ることができ、双方向でやりとりできる環境であること

利用するIT環境やシステムサービスの仕様等は制限されていませんので、
例えば、「社内のテレビ会議システム、パソコン、タブレット端末」等が想定されますが、

説明する側とされる側の双方で、ディスプレイ画面の大きさ・機能・解像度・音声環境等が

一定維持できていないと成り立ちませんので、IT重説を行う前に事前によく確認が必要です。


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(2)重要事項説明書等の事前送付
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IT重説は、「説明を受けようとする者」の手元に、重要事項説明書がある状態で行う
必要があります。

その為、実際にIT重説を行う前に、取引士が記名押印を済ませた重要事項説明書や、
その他必要な説明資料(添付資料)を、相手方に送付しておく必要があります。

送付に際しては、PDFファイルデータ等による電子メールでの送付は認められていませんので、

事前に、郵送で重要事項説明書等を送付し、予め内容をよく読んでおいてもらいましょう。

IT重説開始の直前に届いても、きちんと目を通すことが難しいと思いますので、
重要事項説明書の送付から一定期間を置いて、IT重説を行うことが望ましいとされています。


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(3)重要事項説明書等の準備状況とIT環境の事前確認
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重説を行う取引士は、実際にIT重説を行う前に、
説明の相手方において、「重要事項説明書等を確認しながら説明を受けられる状況にあるか」、
「適切なIT環境(映像・音声状況等)下にあるか」を確認する必要があります。

国土交通省の実施マニュアルによると、以下のような確認を行う必要があります。

●相手方の映像や音声を取引士側の端末等で確認できること
●取引士側の映像や音声を説明の相手方の端末で確認できること
●説明の相手方に事前に送付している重要事項説明書等が、説明の相手方の手元に
あること

最近、解像度も高く鮮明なテレビ会議システム等も増えていますが、
インターネット接続環境等によっては、「声が途切れてよく聞こえない」
「動画なのに、数秒間停止した状態になってしまう」といったケースもありますので、
事前によく確認を行いましょう。


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(4)宅地建物取引士証の提示と確認
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重説を行う取引士は、宅地建物取引士証を提示した上で、
説明の相手方が、取引士証を画面上で視認できたことを確認する必要があります。

具体的には、取引士証をカメラにかざし、取引士証の内容を相手方に画面上で確認を
してもらいます。

その際、取引士証の写真と照らして、取引士の顔(画像)が同一人物であることを確認してもらう他、

有効な取引士登録がなされていることを氏名・取引士登録情報で確認してもらいます。

また、相手方においてそれらの確認が画面上で適切にできていることを確認する為、
相手方に、視認できた内容を口頭で読み上げてもらう等の対応が望ましいです。

なお、取引士証には、個人の住所も記載されていますが、
個人情報保護の観点から、住所部分のみ目隠しシールを貼る等しても差し支えないと
されています。


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(5)IT環境に不具合があれば、すぐ中断
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IT重説の実施途中で、何らかの理由で、映像や音声に支障が生じた場合、
取引士は、直ちにIT重説を中断する必要があります。

そして、IT重説の再開は、その問題を解消し支障がない状況にしてからでなければなりません。

なお、IT重説を中断した場合で、残りの部分を、対面での重要事項説明に切替えも可とされています。



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≫≫≫ IT重説実施上の注意事項
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実際にIT重説を行うにあたっては、IT環境の整備の他にも、
「IT環境の事前確認」「IT重説時の本人等であることの確認」「録画・録音対応」等、
注意したい事項がいくつかあります。

特に意識したいのが「IT重説実施に関する関係者からの同意取得」です。

今後、賃貸取引は、重要事項説明に際し「対面」「IT重説」から選択が可能となりますので、
きちんと相手方の意向を確認する必要があります。

意向の確認方法は、明確に定められてはいませんが、
トラブル防止の観点から、「同意書」を回収する等し、後から問題にならないよう対策を講じておきましょう。


なお、国土交通省では、IT重説の本格運用にあたって、トラブル等に備える為相談窓口を設置しています。

<相談窓口(IT重説相談窓口について)>
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_fr3_000047.html



以上です。

これからIT重説がどこまで浸透していくか楽しみです!!!

重要事項説明書については、来年4月からの宅建業法改正も影響してきます。

次回のメルマガでは、来年4月以降の法改正(建物状況調査(インスペクション))について、
とりあげたいと思います。



≪≪≪ 出典・参考(国土交通省HPより)≫≫≫

「IT重説本格運用(平成29年度~)」
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_fr3_000046.html

「賃貸取引に係るITを活用した重要事項説明実施マニュアル概要」
http://www.mlit.go.jp/common/001202497.pdf

「賃貸取引に係るITを活用した重要事項説明実施マニュアル」
http://www.mlit.go.jp/common/001201030.pdf