宅建業法の改正について(H30.4.1~)(2)

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今回は、前回に引き続き、平成30年4月1日に施行日を控えている、
宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)の改正についてです。


━━━━━< 目次 >━━━━━━━━
1.改正宅建業法の概要 ー前回のおさらいー
2.法改正の具体的な内容
3.実務上の対応&ポイント
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≫≫≫ 改正宅建業法の概要 ー前回のおさらいー
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平成28年6月3日に公布された改正宅建業法の内、
「既存建物取引時の情報提供の充実」に関する改正は、平成30年4月からの施行待ち
の状況です。

この改正で、宅建業者に対して具体的に義務づけられた新たな対応は、以下3点でし
た。

ーーー(改正対応)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(1)媒介契約時、建物状況調査実施者のあっせんに関する事項を
記載した書面を交付すること
(2)買主等に、建物状況調査の結果概要等を重要事項として説明すること
(3)売買等契約成立時に、建物の状況について当事者双方が確認した事項を
記載した書面を交付すること
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前回は、上記(1)の改正についてとりあげましたので、
今回は、上記(2)の改正対応について解説します。


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≫≫≫ 法改正の具体的な内容
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それでは、具体的な法改正内容と実務上対応すべきことを見ていきましょう。


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(1)重要事項説明書への記載事項の追加等(宅建業法第35条)
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宅建業法第35条では、いわゆる「重要事項説明」に関する説明・書面交付義務が定め
られています。

今回の法改正では、この重要事項説明書に記載し、説明・交付しなければならない事
項として、以下が追加されました。

「六の二 当該建物が既存の建物であるときは、次に掲げる事項
イ 建物状況調査(実施後国土交通省令で定める期間の経過していないものに限
る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要

ロ 設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で
国土交通省令で定めるものの保存の状況 」


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(2)建物状況調査の実施時期等
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建物状況調査の実施時期に制限はあるのでしょうか。

あまりにも前に実施した建物状況調査の結果では、現況と乖離してしまう可能性がある為、
重要事項説明の対象となる建物状況調査は、「実施後1年を経過しないもの」とされています。

また、前回のおさらいになりますが、宅建業法上の建物状況調査は、
「既存住宅状況調査技術者」が実施しなければなりません。

既存住宅状況調査技術者講習を修了していない建築士等が実施した調査は、
宅建業法上の建物状況調査にはあたらないので、くれぐれも注意しましょう。


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(3)「国土交通省令で定めるもの(書類)」とは?
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保存状況を説明しなければならない「建物の建築及び維持保全の状況に関する書類」
としては、以下が挙げられています。

(1)建築基準法に規定する確認の申請書、計画通知書及び確認済証
(2)建築基準法に規定する検査済証
(3)建物状況調査の結果報告書
(4)住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく既存住宅に係る建設住宅性能評価書
(5)建築基準法に規定する定期調査報告書
(6)昭和56 年5月31日以前に新築の工事に着手した住宅については、
昭和56年6月1日以降の耐震基準等に適合したことが確認できる書類で次に掲げるもの

・建築物の耐震改修の促進に関する法律に規定する基本方針のうち
同法の技術上の指針となるべき事項に基づいて建築士が耐震診断を行い、
作成した耐震診断結果報告書
・住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく既存住宅に係る建設住宅性能評価書
・既存住宅の売買に係る特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基
づく既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書
・上記に掲げるもののほか、住宅の耐震性に関する書類


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(4)重要事項説明書への記載方法(建物状況調査の実施の有無&結果の概要)
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本改正を受けて、重要事項説明書に具体的にどのような記載をすればいいかというと、
既に国土交通省にて、改正法に対応した重要事項説明書の様式例を公開しています。

<参考>
国土交通省HP(別添3重要事項説明書の様式例)
http://www.mlit.go.jp/common/001180512.pdf

まずは、重要事項説明書に、「建物状況調査の結果の概要(既存の建物のとき)」欄を追加し、
「建物状況調査の実施の有無(有・無)」を記載します。

建物状況調査の実施状況は、売主や管理会社等にヒアリングを行い、
もし実施している場合は、更に「建物状況調査の結果の概要」として、
建物状況調査実施者が作成した「建物状況調査の結果の概要(重要事項説明用)」を
添付する形です。

ちなみに、「建物状況調査の結果の概要(重要事項説明用)」は、以下をご参照下さい。
(国土交通省HPより)

■鉄筋コンクリート造等・・・
http://www.mlit.go.jp/common/001180521.pdf

■木造・鉄骨造・・・
http://www.mlit.go.jp/common/001180522.pdf


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(5)重要事項説明書への記載方法(建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の
保存状況)
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「建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存状況」についても、
同様に、重要事項説明書の中に該当の欄を新たに設け、上述した対象書類について、
それぞれの保存状況を「有・無」で記載し、説明を行う形になります。

保存状況として「有」と記載した書類については、具体的に誰が保存しているのかを
備考欄に記載します。

例)上記で「有」と記載した書類は、本物件の管理組合(●●組合)が保存していま
す。

<参考>
国土交通省HP(別添3重要事項説明書の様式例)
http://www.mlit.go.jp/common/001180512.pdf


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≫≫≫ 実務上の対応&ポイント
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1)国交省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によると、
建物状況調査の実施状況は、売主等(必要に応じて管理組合及び管理業者)への照会を行い、
実施の有無が判明しない場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになる
とされています。

2)実施後1年を経過していない建物状況調査が複数存在する場合は、
「直近に実施された調査」が、重要事項説明の対象です。

ただし、本来対象外である「直近以外の調査」において、
取引の判断に重要な影響を及ぼす調査結果を把握している場合は、
それらも説明する必要があるので注意しましょう。

3)建物状況調査後に大規模な自然災害が発生している場合等、
「重要事項として説明する建物状況調査結果」と「現況」とが異なる可能性がある
場合でも、当該調査結果について重要事項として説明が必要とされています。

その場合は、その事実(例:調査後に調査結果を左右する事象が生じていること、
あくまでも調査実施時点での結果であること、自然災害等による建物への具体的な
影響を把握することは困難なこと等)も含めて説明する必要がありそうです。


以上です。
残りの法改正ポイントは、次回またご案内します。


≪≪≪ 出典・参考(国土交通省HPより)≫≫≫

「改正宅地建物取引業法の施行に向けて 参考資料」
file:///C:/Users/sg1355sg/Downloads/m15517030102.pdf

「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」【平成30年4月1日以降】
http://www.mlit.go.jp/common/001179814.pdf