≪情報配信≫ 宅建業法の改正について(H30.4.1~)(1)

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今回は、平成30年4月に施行を控えている宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)の改正、

「建物状況調査(インスペクション)の活用等」についてです。

 

━━━━━< 目次 >━━━━━━━━

1.平成28年6月3日公布 改正宅建業法の概要

2.法改正の背景

3.法改正の具体的な内容

4.実務上の対応&ポイント

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≫≫≫ 平成28年6月3日公布 改正宅建業法の概要

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平成28年6月3日に公布された「宅地建物取引業法の一部を改正する法律」では、

大きく、以下3つの改正事項が盛り込まれました。

 

(1)既存建物取引時の情報提供の充実

・・・建物状況調査(インスペクション)の活用等

 

(2)不動産取引により損害を被った消費者の確実な救済

・・・営業保証金等の弁済対象者から宅地建物取引業者を除外

 

(3)宅地建物取引業者の団体による研修

・・・業界団体に対し従業者への体系的な研修実施の努力義務を課す

 

上記の内、(2)・(3)については、平成29年4月1日付で既に施行されていますが、

(1)については、平成30年4月1日付の施行ということで、現在施行待ちの状況です。

 

改正に向けて、媒介契約書や重要事項説明書の様式変更等、様々な対応が必要です。

 

直前に慌てて整備することがないよう、今の内から改正内容をしっかり理解し、

準備を徹底しておきたいですね。

 

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≫≫≫ 法改正の背景((1)既存建物取引時の情報提供の充実)

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「(1)既存建物取引時の情報提供の充実」とありますが、

要は、「中古物件の取引の際の情報提供をもっと充実させよう」という改正です。

 

なぜこのような法改正に至ったかというと、

背景には、欧米諸国に比べて盛り上がりに欠ける「日本の中古住宅マーケット」の実状があります。

 

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●日本の中古住宅マーケットの実状

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日本の中古住宅の流通マーケットは、欧米諸国に比べて、極めて低い水準で推移しています。

 

その原因として・・・

消費者が中古住宅の購入を検討する際に「中古住宅の品質情報が明らかでないこと」が、

消費者の取引意思を躊躇させているとして問題視されていました。

 

実際、国土交通省が新築住宅購入者に対して行ったアンケート結果を見ると、

「中古住宅を選択しなかった理由」として以下の回答が挙げられています。

 

「隠れた不具合が心配だった」

「耐震性や断熱性などの品質が低そう」

「給排水管などの設備の老朽化が懸念」

 

このような中古住宅に関する品質情報不足を少しでも解消し、中古住宅取引が活性化するように、

今回の法改正で、宅地建物取引業者に対して、以下の事項が義務付けられました。

 

(1)媒介契約時、建物状況調査実施者のあっせんに関する事項を

記載した書面を交付すること

(2)買主等に、建物状況調査の結果概要等を重要事項として説明すること

(3)売買等契約成立時に、建物の状況について当事者双方が確認した事項を

記載した書面を交付すること

 

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●今後10年の日本の中古住宅マーケットの可能性

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なお・・・

今後10年の国の住宅政策指針として昨年3月閣議決定された「住生活基本計画」では、

「既存住宅流通・リフォームの市場規模を倍増する」という国の方針が明記されており、

 

平成37年までに、既存住宅流通市場を8兆円の規模に(参考:平成25年時点で4兆円)、

リフォーム市場を12兆円(参考:平成25年時点で7兆円)の規模に、

それぞれ拡大する成果目標が定められています。

 

国としても積極的に取り組んでいく成長市場ということです。

 

その上で、今回の「建物状況調査(インスペクション)等を活用した中古住宅の品質確保策」は、

消費者の不安を解消し、中古住宅取引を前向きに検討する一助として注目されています。

 

 

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≫≫≫ 法改正の具体的な内容

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それでは、具体的な法改正内容と実務上対応すべきことを見ていきましょう。

 

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(1)媒介契約書への記載事項の追加(宅建業法第34条の2第1項)

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宅建業法第34条の2では、宅地・建物の売買・交換の媒介契約を締結した際に、

「宅地建物取引業者は、遅滞なく媒介契約書面を作成・交付しなければならない旨」を定めています。

 

今回の法改正では、この媒介契約書に記載しなければならない事項として、以下が追加されました。

 

「当該建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査(括弧略)を実施する者の

あっせんに関する事項」

 

 

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(2)「建物状況調査(インスペクション)」とは?

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「建物状況調査(=インスペクション)」とは、建物の基礎・外壁等に生じているひび割れ・雨漏り等の

劣化事象・不具合事象の状況を、目視、計測等により調査することをいいます。

 

建物状況調査(インスペクション)は、今までも存在していましたが、

売主・買主ともに建物状況調査自体の認知度が低く、実用が進んでいない実状がありました。

 

売主・買主自ら建物状況調査(インスペクション)の理解を深め活用してくれればいいのですが、

中古住宅の売買は個人間で行われることが多く、素人の個人消費者ではなかなか普及が進まない・・・

 

 

ということで、今回、その取引の仲介(媒介)を行う宅地建物取引業者に対して、

建物状況調査(インスペクション)に関する書面(媒介契約書)交付義務が課せられた形です。

 

ちなみに、この建物状況調査(インスペクション)は、誰でもできる訳ではなく、

「国の登録を受けた既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士 (既存住宅状況調査技術者)」が実施します。

 

講習を修了していない建築士の方等が実施した調査は、

宅建業法上の建物状況調査(インスペクション)にはあたらないので注意しましょう。

 

 

 

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(3)建物状況調査(インスペクション)の対象不動産は?

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建物状況調査の対象となるのは、「既存の住宅」とされています。

 

「既存の住宅」とは、「(1)人の居住の用に供した住宅」又は、

「(2)建設工事の完了の日から1年を経過した住宅」のいずれかに該当するものをいいます。

 

「戸建て住宅」「共同住宅(例:マンションやアパート)」等が対象となる一方、

「店舗」や「事務所」等は、対象外とされています。

 

ちなみに、最近、国土交通省の配信情報等を見ていると「既存住宅」という言葉をよく見かけます。

どうやら「中古住宅」という言葉のニュアンスがよろしくないということで、登場した言葉のようです。

 

<参考>

国土交通省HP「改正宅地建物取引業法に関するQ&A」(Q1-14)

https://www.mlit.go.jp/common/001188389.pdf

 

 

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(4)媒介契約書への記載方法

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本改正を受けて、媒介契約書に具体的にどのような記載をすればいいかというと、

既に国土交通省にて、改正法に対応した標準媒介契約約款を公開しています。

 

<参考>

国土交通省HP(【改正後】平成30年4月1日施行標準媒介契約約款)

http://www.mlit.go.jp/common/001180503.pdf

 

媒介契約書には、「建物状況調査を実施する者のあっせんの有無 ( 有 ・ 無 )」を追加し、

媒介契約約款には、以下の条文を追加する形です。

 

「第●条(建物状況調査を実施する者のあっせん)

乙は、この媒介契約において建物状況調査を実施する者のあっせんを行うこととした場合にあっては、

甲に対して、建物状況調査を実施する者をあっせんしなければなりません。」

 

 

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≫≫≫ 実務上の対応&ポイント

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1)「建物状況調査って何?誰がどうやって調査するの?必須?やらないと問題あり?」等、

想定される質問にしっかり答え、顧客が建物状況調査について適切に認識した上で取引に臨めるように、

宅建業務に従事する方は、「建物状況調査」について適切に説明できるように理解を深めておきましょう。

 

2)あっせんする建物状況調査実施業者が、「既存住宅状況調査技術者」であることを必ず確認しましょう。

既存住宅状況調査技術者の確認は、例えば「公益社団法人日本建築士会連合会」のような機関が開設する、

検索ページで行うことができます。以下は、検索ページです。

 

<参考>

公益社団法人日本建築士会連合会 既存住宅状況調査技術者検索ページ

https://aba-svc.jp/house/inspector/index.html

 

 

3)建物状況調査を実施するには、あらかじめ「物件所有者の同意」が必要なので注意しましょう。

 

4)建物状況調査実施者をあっせんする行為は、媒介業務の一環です。

その為、宅地建物取引業者は、建物状況調査実施者をあっせんした場合において、

報酬とは別に、あっせんにかかる料金を受領することはできないとされていますので注意しましょう。

 

5)客観性を担保する意味で、宅地建物取引業者は、自らが取引の媒介を行う場合に、

その物件の建物状況調査の実施主体になることは避けましょう。

 

 

 

以上です。

残りの法改正ポイントは、次回またご案内します。

 

 

今日の頻出ワードは、「建物状況調査(インスペクション)」でした。

 

「建物状況調査(インスペクション)」は、不動産の売買等の取引時に限らず、

売買契約後や入居後にも利用することが可能です。

 

専門的な視点で不動産の見えない部分も調査してもらうことで、

その後のリフォーム・メンテナンス工事等をより適切に行うことができるので、

今後上手に活用が進んでいくことが期待されますね!

 

それでは、よろしくお願い致します。

 

 

≪≪≪ 出典・参考(国土交通省HPより)≫≫≫

 

「改正宅地建物取引業法の施行に向けて 参考資料」

file:///C:/Users/sg1355sg/Downloads/m15517030102.pdf

 

「新たな「住生活基本計画(全国計画)」の閣議決定について」

http://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000106.html

 

「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」【平成30年4月1日以降】

http://www.mlit.go.jp/common/001179814.pdf

 

 

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